終戦条約の調印
もうちょっとで最終回です。
そうして、終戦条約の調印式がダンバーで行われることになった。そこに現れたのはシュベルツであった。彼はルルシアの新たな指導者として赴いたとのことだった。軍人は政治に口出しできないため、調印式が行われる場所の近くで俺は見守ることしか出来なかったが、彼らは勝者と敗者の関係というより、親しい友人と再会したかのようなムードだった。それを見た俺はようやく人が傷つかずに、誰もが安心して暮らせる社会に近づいたと感じて気持ちがほっこりした。その頃には戦死した隊員の家族に対して訃報を知らせることは終わっており、俺の精神的負荷はやや和らいでいた。
しかし、両国の国民感情はバラバラだった。いくら沈静化したとはいえ共和国民は侵攻に対して怒りの感情や、講和条約への不満を捨てきれていなかった。それはまだいい方でルルシア帝国民の方がより悪い状態に置かれていた。なぜならば、膠着状態だと口伝えで聞かされていた戦争に突然自国が降伏したことに対して困惑していたからだ。西方の秩序はシュベルツの統治によって比較的治安を維持していたが、首都から遠く離れた東方へは統制が行き届いていなかった。オクタピアも秩序の回復を支援したかったが、軍隊と経済の疲弊により、困難な状態だった。戦争をしている間、新大陸から無償供与されていた食料などの物資を支払う必要が最優先だった。そのため、調印したことによる西側での物の往来は増えて現地の経済は活性化したが、大陸の東側は商業を安全に行えるほどの地域の安定には程遠い状態だった。そこで、秩序回復のための戦力投入を申し出たのは新大陸の国家だった。調印式に参加していた新大陸の外務大臣が自国の意向として表明したのだ。
お読みいただきありがとうございました。もし面白ければいいねや、ポイント、ブックマーク登録をお願いします。感想をいただけると筆者の励みになります。
次回の投稿予定は6月25日です。




