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ミッションの達成

城を出ると、外で待機していた支援要員や待機中だった部隊から拍手喝采を受けた。彼らは「よく困難な任務を達成した! 」や「良くやった。おめでとう」などと口々に褒め称えてくれた。照れ臭かったが、集まった味方に対して勝敗を決める戦いを指揮した部隊長として謝辞を述べた。しかし、カーブル提督は祝賀パーティーなどを開かなかった。理由は糧食が帰りの分でキツキツだったからだ。それだけではなくて我々が豪華な食事を摂っているとルルシアの国民がそれを見たら暴動を起こしかねないとも考えたからだ。そこで、彼が下した決断は全部隊に対して輸送艦に乗り、帰還するというものだった。それを聞いた俺たちは四列になって目的地に向かった。船は接岸しており、舷側からランプドアが出ていた。そこから乗り込むと水兵に俺だけ別の部屋ら案内された。そこは個室で、6畳ほどのスペースにベッドやチェストなどの収納スペース、サイドテーブルなどが置かれていた。スキルで強化されていた腕の力を使ってなんとか、ベッドに乗り移ると顔を手で覆った。数日における戦闘で頭脳だけでなく、精神面においても疲労していた。そのため、出航の合図を聞くことなく俺は眠りに落ちた。ふと、目が覚めた時、時刻は七時を回っていた。 士官室での食事は六時からだと決まっていて、そこに行けなかったのは作戦が始まって以来で初めてのことだった。お腹が減っていたため、個室の前を通りかかった水兵に給養員を呼んでもらった。

十五分ほどして給養員が来た。彼は俺が士官室に現れなかった事を知っており、部屋に入ると「だいぶお疲れのようですね、何か食べたいものがあるなら作りましょうか?」 という提案をしてくれた。それを受け入れて要望を出した。「羊飼いのパイを頼めるかい。母の得意料理だったんだ。」「わかりました。大急ぎで作ります。今作戦における功績者なのですからこれくらいのわがままは言っていいはずですよ。艦長を含めてみんな理解しています。今はゆっくりお過ごしください。」ああ、そうなのかと思った。俺の功績で全てを終わらせる事ができた。それがもたらす意味をみんなが理解してくれている。「もう戦闘に身を投じなくていいんだ」そう短く呟いた。彼の言葉から、そのことを実感した俺の目からは、自然と涙が溢れていた。この戦いで五十人の部下が死んだことへの後悔と、その見返りとして迫害される危険性が薄まったことによる安堵の感情が錯綜したからだ。感情が溢れ出てくる様子を見ていた給仕員は俺が気づいた時には退室していた。きっと気を利かせて、一人にしてくれたのだろう。心の中で彼の気遣いに感謝した。

三十分ほど経って再び彼がやってきた。その手はカートを引いており、料理ができたことを意味していた。それを見た俺は再び号泣してしまった。簡単に会うことがかなわない母にもし再び出会うことができたら、今回の出来事をどう説明すればいいかを考えてしまったからだ。「ありがとう」俺は泣きながらも、感謝の気持ちを給養員に伝えた。「なんてことはありませんよ。コーヤさん、あなたはよく頑張りました。入港までは後一日以上あります。それまでは艦内でゆっくり過ごしてください。」到着するまでの時間を感情の整理に使った。戦略と戦術的な勝利が得られたが、その代償は激しかった。参加した全部隊のうち、三分の一が死亡。五分の一が負傷するという結果になった。俺の率いた一個連隊も度重なる戦闘で初期の人員から七割近くまで減っていた。そんな状況下で俺はどうやって遺族に説明するかなど答えのない問いに頭を悩ませていた。悶々と考えているうちに再び眠りに落ちてしまった。汽笛が鳴る音で再び目を覚ました時、個室の窓からはダンバーの街並みが遠くに見えていた。未だに頭の整理が出来ていなかったが、見慣れた街並みが近くに見えたことで俺はやや安堵した。接岸が近づくと、民衆たちの歓声が聞こえてきた。集まったほとんどの人たちは勝利を喜んでいたが、その中には親族の乗った艦艇が損傷を受けていたり、帰還していないことを知ったりしたのか、泣き崩れている人も見受けられた。無事に入港作業が終わり、サイドランプが降りると駐屯地である倉庫に向かった。高位な軍人のみに知らされていたことだったが政府が翌日に停戦を正式に発表することになっていた。おれたちの部隊では小隊長以上に知らされていたことだった。そのため、ラジオを食堂に用意して放送予定の時間に全員を集合させた。


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次回の投稿予定は6月17日です。

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