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停戦交渉

ルルシア帝国に首都にいる抵抗勢力を排除し終えた俺たちはその後の処理をオクタピアの外交官たちに任せる事にした。「あとは任せます」彼らにそう伝え、部屋の隅に移動して交渉の様子を見守った。軍部が政治的決定を行うことはシビリアンコントロールに反すると考えたからだ。地球では石原莞爾らが暴走して満州事変を引き起こしたり、終戦間際に宮城事件というクーデター未遂が起きかけたりしたのだが、この世界ではそんなことを起こしたくはなかった。ユーコス皇帝は各師団に連絡するための貴重な水晶鏡を使って戦闘停止命令を伝えていた。それは瞬時に情報を伝達できたが、全ての兵士に届くにはしばらく時間がかかりそうだった。小一時間ほど経って皇帝はそれまで凝視していた水晶鏡から視線を外し座っていた椅子にもたれかかった。「終わった」彼はそう呟いた。その言葉から主戦線に対して命令を伝達し終えたのだと推測した。その言葉を聞いた俺は部下に対して武器を下すように伝えた。軍人の役割はほとんど終わっていた。

最後に皇帝が連絡したのは戦線から最も離れた場所にいた部隊だった。十個の師団を率いている帝国の東部方面軍が命令には従えないとして軍から離脱した。それらの兵力は帝国軍全体の25%に達した。党勢を離れた理由は彼らは状況を十分に把握しておらず、膠着していた状態から首長が突然降伏したように見えたからだと会話内容を聞く中で俺は推測した。ユーコスは必死に現状を説明したが、武装解除命令に対して首を縦に振ることはなかった。「我々はユーコス様の思想を忠実に守ってきました。しかし、ご自身が理念を守らないならば、それを引き継いであなたを賊軍として討ち取るまでです。」そう大声で言い切って通信を終了した。


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次回の投稿予定は6月4日です。

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