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城の包囲

王宮につながる街道に対して兵站爆撃や破壊工作を行ったことによって敵の増援部隊が来ることを阻止して王城に対して擬似的な包囲を完成させた。人的損害の出た部隊を再編成が完了すると、いよいよ攻城戦が始まった。迫撃砲で城壁を破壊すると、簡易スロープを持った隊員が堀に架橋してチャーリー中隊と海兵を混成した中隊戦闘団としてともに突入した。無線でのコールサインはウイスキー1だ。城壁の内側は、バリケードがそこら中にあった。それを破壊しようと工兵隊が発破作業を開始しようとした時、その裏から火の玉が飛んできた。潜んでいた魔導士からの攻撃だった。彼らは丁度作業中だったため、回避することができず敵の攻撃が直撃した。それによって巻き込まれた数人が負傷して戦闘不能に陥った。近づくのが不可能だと考えた俺は遠距離からの破壊に切り替えた。部隊に一度後退を命じると、対戦車小隊が持っていた84mm無反動砲を用意させて発射を命じた。そこから放たれた榴弾で障害物を無効化させた。バリケードが吹き飛び、その裏に隠れていた魔導士は防御魔法で攻撃を防いだ。しかし無傷とは言い難く、傷ついた状態で片膝をついていた。その目にはまだ戦えるという熱い闘志を感じたが、実際のところ魔力は尽きていたようでその能力は残されていなかった。後ろに控えていた海兵が彼らの手を縛り付け拘束した。彼らの脇をすり抜けて、俺たちは先へ進んだ。何度も障害物に阻まれたが、その度に遠距離からの攻撃で突破した。いよいよ王の間を眼前に捉えた。しかし、そこに立ちはだかっていたのは地球から召喚された勇者だった。「ライトニングソード!」そう言って剣を振り翳した。咄嗟にタンク役が前に出ようとしたものの間に合わず前衛の二個小隊が壊滅した。ここまでの戦いで、損耗率は50%を超えていた。予想外の攻撃により、普通なら撤退する頃合いだったが、攻撃の手を緩めるわけにはいかなかった。「彼に近づくな!」まずはそう指示を出した。魔法による近距離の範囲攻撃を行っていると考えたからだ。肉薄しようとしていた部隊は命令を聞いて一斉に後退した。相対している彼の息遣いは荒かった。「落ち着こう。俺たちは同じ人間じゃないか。武器を置いて投降しても悪いようには扱わないさ。」

「うるさい、黙れ!お前らみたいな障害者は働いたり、買い物なんかしたりしないで、帝国によって闇に消えてしまえばよかったんだよ。それが何故異世界転移で勇者になった健常者の俺がお前らに追い詰められているんだよ。逆の立場じゃねーか!地球では頑張って地方の公立大学を卒業しても清掃やコールセンターの電話の受け子にしかなれなかった。そんな俺がこの世界ではヒーローになるはずだったんだ!地球でも思っていたんだ、こっちが必死に働く中で弱者と呼ばれる立場にはいくらでも公的な助けがあることはずるいと。そのはずだったのにお前らが邪魔してきた。こんな事あり得ない。嘘だ!嘘だ〜!」そう言い尽くすと彼は泣き崩れて床に突っ伏してしまった。啜り泣く声がその場に響いた。彼の眼光は戦意を喪失していた。しかし、戦力としては未だに脅威が高いと判断した。そのため、遅れてやってきた海兵たちによって彼も拘束された。内心ではかなり同情したが、敵として戦っている以上、そうしないわけにはいかなかった。


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次回の投稿予定は6月1日です。

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