6 組合長たちとお話し
「いくつか方法はあるんだがな……」
「あまりうちの店の知り合いばかりに頼むとそのうち他所から文句が出るだろうし。」
「あのぅ……例えばですけど、」
今回で言うなら、コタツの回路を希望する工房に、数と期間を定めて作ってもらう。
その結果一番丁寧にきちんとできているところに作ってもらう。
ただ、その時限りでは困るので、組合が認めたところのみとする。直近の売り上げは気にしない。
そして、私たちからの委託とする。
という条件はどうかと確認をしてみた。
「あーそれ面白いなぁ。で、聞くの忘れてるけど、トモキは登録してるのか?」
「あ、忘れてた…」
「オットーに聞いてみろ。特許申請する時に必要だったはずだ。登録済みなら、組合長も話を聞いてくれる。それと、オットーもそろそろなんか言われてるかもしれん。」
「あと、もう一つ私たちが作った物はアローさんが本体を作ってくれますよね?でも、私たちが委託するようになったらそれはどうなるんですか?」
そもそも魔法道具が本体と回路は別の組合なので、それぞれに繋がりが持っている。
だから、双方が協力して作っていることが多い。
それゆえ、おそらく今回は回路だけでなく本体もセットになるのではないかと思う。
とのことだ。
そこで思ったのだが、今までの物は改良が必要だったので丸投げができた。だが、シャワーに関してはどうすべきか困り、相談した。
「「シャワー?」」
アローさんは体験したので分かっていて、「あぁ、あれな。改良出来るなぁ、あれ。あのままじゃ売れないなぁ。」と言っていた。
ということで、二人も体験した。
「「うちにもくれ!」」とのことで、三人に回路だけ渡した。本体をどうすべきか一緒に悩んでもらう。賄賂だ。
木工と鉄工の組合長を巻き込むことになり、あと二つ回路を作って、交渉はアローさんとサムさんに任せた。
今日のお礼に奥様にと、カモミールとラベンダーの石鹸を三人に渡した。
石鹸をみて、また怒られたけど。
人に言わなきゃ分からないのに。
サムさんは特許申請しておくように念を押してきた。化粧水の時と同じ扱いで、対応してくれるとのことだ。
「お前らはほんとに目が離せない。ま、楽しいからいいけどな。」
オットーさんに確認したら、「登録しておきましたよ、報告しましたが。他のこと考えてましたもんね……そっか、聞いてなかったのか……」と、言われた。ごめんなさい。
今回のことを相談したところ、オットーさんも同じことを気にしていたようだ。
組合に話をしに行くときは自分も行く、と言ってくれたので交渉は任せることにした。
工房のドアが開き、アローさんが私たちの知らない人を二人連れてきた。
「すまん。今大丈夫か?組合長たちが実物を見たいと言っててな。」
「突然すまない。私は木工組合長のディロンだ。で、こちらが鉄工組合長のアンゴラだ。見せてもらえるだろうか?」
「どうぞ。私が《魔法道具屋サガワ》の知樹です。こちらが妻の深古都です。よろしくお願いいたします。」
家の1階に置いてあるので、工房を通り抜けて見てもらうことになった。
使い方の説明はともくんが行い、特許関係はオットーさんがしてくれた。
本体の制作過程についてはアローさんが鉄工部分も説明をしてくれ、今回の委託に至った経緯を説明してくれた。
「なるほど。適当では困るわけだな。」
「だが、やりたい者が選ばれなかった場合、騒動が起きそうだがな。それをどうするか、だな。」
「回路の不備は見れば分かるでしょうし、問題が起きれば明らかです。ですので、冷気が漏れる等不可とする点を明らかにした上で、見極めてはいかがでしょうか?きちんとできている物は商品として販売するが、そうでない物は認めない、というふうに。その上で、きちんとできた所を委託先に決定する、というのはいかがでしょうか?」
ディロンさん、アンゴラさん、オットーさんが話し合っていた。
「まぁそうだな。それがいいかもな。問題点がはっきりしているから文句のつけようがなくなる。それと、直近の売り上げは気にしない、というのはどういうことだ?」
「売り上げが悪いから腕が悪い、ということでもないと思います。そして、一つの工房に任せるとは限りません。お店なら大きいものが必要でしょうが、家庭によっては小さい方を望む方もいるかもしれません。ですので、作るものの大きさは出来上がりを見た上で検討すべきかと思われます。大きいものを作る工房、小さいものを作る工房、と分けるのも一つかと。売り上げが悪いから腕が悪い、というわけでもないでしょうし、腕のいい職人を希望しているためです。」
「なるほどな。分かった。当日、実物を会場に持ち込み、先ほどのように説明をしてくれ。工房は集めておく。それと、不可とする点をまとめておくように。」
「あと、確認だが、シャワーとやらだが、鉄工の方が向いているだろうから、そちらで進めるがいいか?それも今回のような形で希望を募るか?」
聞かれるだろうと思っていたので、相談していた内容を伝えた。
小さな工房だから、もう年だから、切り捨てられたから、などの理由で仕事がなくなった人に渡るといいとは思うが、雑なら意味がない。
数よりも丁寧に仕上げてくれるものの方がありがたい。
でも、選考するなら差別はよくない、だから広く募集するしか思いつかないのだ、と正直に伝えた。
選考する者は両組合長、特許申請に関わった者、制作に関わった者とし、基準は出来具合で測る、工房の大きさで決めない、と最初に宣言することにした。




