3 魔法道具屋 始動
なんとか蒸留装置を作り、何度かの失敗の後、精油がとれた。
不純物を取り除いた水と合わせて化粧水を作った。
しばらく使ってみることにして、分量をいろいろ試した。材料が足りなくなるたびにサムさんのところで買い物をしていたので、「いい加減教えろ」と言われ、鑑定して欲しいものがあることをこっそりお願いした。
「あのなぁ、鑑定っておまえら…一体何やってるんだよ…」
化粧水が合わなかったので作ってみたこと、でも出来ているか分からないので鑑定して欲しいことを伝えた。呆れられた。でもさぁ、大事なことだし。
サムさんが店を閉め次第連れてきてくれるとのことで、とりあえずご飯の用意をして待っていた。
鑑定ができることはあまり公にしないらしく、秘密にするように念を押された。
サムさんはだれか連れてくるような言い方だったが、実はサムさんが少しは鑑定ができるようで、とりあえず見せることになった。
「はぁ。おまえらはどことなく普通じゃないとは思ってたが……これは、今までの物よりいい出来すぎる。これ、どうするんだ?自分で使う分には問題ないが違うならやばいぞ……」
「化粧水になってるなら、とりあえず使って様子見ます。そのあと、考えます。売るにしても売らないにしても私が使って大丈夫なら、また相談しますね。」
「おぅ。表には出すなよ!組合にばれたらいろいろめんどくさいぞ。気をつけろよ!」
「分かりました。でも化粧水だし、外では使わないですよ。」
と言うが、ご婦人方をなめるなよ、と言われた。すぐにばれる、と。市販の化粧水は荒れる人が多い。
その中で大丈夫だと怪しまれる。
使って大丈夫そうならすぐに連絡するように、と念を押された。
その週末、アローさん、サムさん、コーディさんと一緒にご飯を食べた。天気が悪かったので家の中でのご飯会となり、化粧水の話になった。
「で、どうだったんだ?化粧水。荒れなかったのか?」
問題なく使えたことを言うと、見つかった時のことを考えると、登録なり組合に情報を売るなりした方が安全なんじゃないか、と言われた。
簡単な物で作ったし、もっと材料とお金があればもっときちんと精油が取れそうだと言ったが、それも含めてどうするか決めるべきだ、となった。
そして、この場は単なるご飯会から、仕事へと変わった。
まず、ともくんが作った不純物を取り除く道具『精製機』。この回路を特許登録すること。
次に、簡易な蒸留装置として、仕組みを特許登録。
本当に作りたかったが、材料を手に入れられず諦めた蒸留装置として、仕組みを特許登録する。
そして、これらを使った化粧水の作り方を特許登録することに。
「この短期間でこれだけのものを作るのか……作ったらすぐ報告しろ。作りたいものがある場合も言え。対応は、みんなで考えよう。ただし、そのためのご飯会の会場は、ここだな。」
「あーそれはいいな!どうせ、また作るだろうし。組合との兼ね合わせが心配だが、サムがなんとか繋げるだろうし。」
「まぁ、おれにも利益あるしな。で、これはどうする?まるまる売るか?自分らで立ちあげるのか?」
「いやいや、僕は魔法道具屋ですし。作りたいものを作りますよ。売るのとか誰かに任せられるならそれが1番だし。ねぇ。」
「うん。私もそう思う。作って欲しいのはたくさんあるし、いろいろな繋がりを持ってるサムさんがやってくれるなら、とってもありがたいですよ。とりあえず、化粧水は手続き含めてお願いします。あ、今後も頼っていいんですよね?魔法道具も、私が思いついてなんか作る時も。」
特許登録をした人に利用料が支払われる。違反した場合、罰金が売り上げの半分取られるので多くの人はきちんと払うらしい。初めての技術、商品については割増で支払われるとのこと。
今回のことでいうと、ともくんの作った精製機、精油の作り方については割増、だが、化粧水の作り方については初めてではないので通常の利用料となる。
今回はサムさんが、特許登録に詳しい人に特許関係を全て任せて手続きが済んだ後、付き合いのある生産者に適正価格で売ることになった。特許を取るにあたり、失敗したデータも含め全て渡すように言われたので預けた。
そうして、特許が取れるまでに一月を要した。
その間、じっと待つわけなく、いろいろな精油を作って化粧水を試作して、怒られることになった。
そして、特許関係を扱ってくれていた人は私たち専属となった。オットーさんというらしい。
今後、私たちが権利を持つものはサムさんが売ってくれるらしい。
あ、そうそう特許を取るにあたり、名前が必要になったので《魔法道具屋サガワ》で登録した。




