幕間 仲良しの父母 2
連絡があったのは旅行先についてしばらくした時だった。
見ていた人がいたらしく、父母は不幸な事故だと判断された。
親戚のおじさんとおばさんはかりんのお母さんには伝えてくれたらしい。
僕たちは、新婚旅行を切り上げて戻った。
タイミングよく空きがあり、帰ることができた。
父母は仲良く腕を組んだまま落ちたらしい。どこまでも仲良しだ。
昨日まで笑って喜んでくれて、帰りを待っててくれたはずなのに。
事故?あの父母が?よくよく聞くと急に母の足元に猫が現れた?らしい。そのせいで躓き落下したらしい。
いつでも帰っておいで、遊びにおいで、話はいつでも聞くよ、これ食べないかい、あそこ行ってみないかい、と言ってくれていた人が突然いなくなった。僕は呆然とした。
あんなに笑っていた人たちが目をつぶって寝ている。声をかけても返事をしてくれない。
帰りを待ってる、って言ってくれたじゃないか、おかえり、って言ってくれないと。
僕たちの話を聞いてくれるんでしょ。早く目を覚ましてよ。ねぇ!ねぇ!
僕は泣き続けていて、かりんも泣いていた。式の間中ずっと。
式が終わり、初七日も終わり、親戚のおじさんやおばさんは帰っていった。
かりんのお母さんが付き添ってくれた。
辛いけど大事なことだから言うね、と今後の手続きを説明してくれた。
かりんがちゃんと話を聞いてくれていた。
遺産はすべて僕が相続した。と言っても、知らない間に新しい口座が作られていて、僕と、かりんの名義の通帳があった。それぞれに手紙がついていた。
これは孫の一人目に使う分、これは孫の二人目に使う分。
孫の名義にできないからと、僕らの名前を使ったみたい。一度一緒に口座を作りにいった。それだ。
今後のための分よ、と笑っていたがこういうことだった。
いろいろ僕たちのためにしてくれていたんだ、とまた泣いた。僕の父母は愛情が深すぎだ。遺されたものがそれを物語っている。
そして、それからしばらくして父母から荷物が送られてきた。どこかの会社からのようだった。
開けてみると、結婚式の時、父母がたくさん撮っていた写真だ。その会社にアルバムを作ってもらい、僕たちと父母と、かりんのお母さんに宛てて送ったものだった。
その写真の父母は仲良くて幸せそうで、僕たちの幸せを心から願ってくれている、そんな顔で。
それをみて、泣いてばかりではだめだと、前を向くことにした。父母は自分たちより、僕たちの幸せを願ってくれていた。ならば笑い合って過ごさなければならないんだ、と思えた。
そして、夢に平伏して謝っている変な人が出てきた。
「あのぅ………すみません………わざとじゃないんです……ただちょっとした好奇心で降りてみただけで……ほんとにすみません……降りた場所が悪くて、巻き込んでしまうことになるとは思わず…あ、私はある世界を守護する存在で、ゼタギリウスと言います……君のご両親は共に私の世界で君より少し若くなり過ごしてもらっています。ご両親は常に君たちの心配をされています。元気で仲良く、とそう願っておられます。本当にすみませんでした。」
と、言っていた。そして、父母に見守るように頼まれている、と。
そして、目が覚めた。また泣いた。
猫があの人?別の世界?不思議だが、本当に別の世界で生きているような気がした。僕たちのことを気にかけてくれている、とそう思えた。
ならば僕も父母の幸せを願おう。そして、僕たちも父母に負けないくらい幸せにならないといけない、とそう思えた。
今度こそ前を向いて、かりんにいっぱい心配かけたことを謝って、一緒に幸せになろうという誓いを守ろうと思った。




