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【衝撃】「我が魂は炎となりて破らん!」とか叫んで突撃してきた敵の精鋭騎士団、我が小隊の魔導機関砲一斉射で1時間で全滅してしまう  作者: インフィニティ・G・イプシロン


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第4話:農村の教えと、最後の閃光

「少佐閣下。予備の冷却水と……兵站部から回ってきた温かいスープです」


硝煙と血の匂いが漂う前線指揮所に、ずんぐりとした体格の男が入ってきた。

レオンの直属の部下であるカール曹長だ。彼は帝国の最北端にある、見渡す限りの麦畑が広がる田舎村の出身だった。


「ご苦労、カール曹長。……外の様子は?」

「はい。敵の突撃波は完全に沈黙。生存者の気配もありません」


カールは携行マグカップにスープを注ぎながら、平坦な声で報告した。

一千の命が消えたというのに、彼の顔には同情も興奮もない。あるのはただ、農作業の害獣駆除を終えた後のような、淡々とした疲労だけだった。


「俺の故郷は、冬になれば雪に閉ざされる貧しい麦作りの村でしてね」


ふと、カールがマグカップを両手で包みながら語り出した。


「子供の頃、畑を荒らす巨大な『魔猪』が出たんです。村の若者が鍬(くわ)を持って立ち向かおうとしましたが、村長はそれをぶん殴って止めました。そして、深い落とし穴を掘り、鋼の罠を仕掛け、遠くから猟銃で仕留めたんです」


カールは窓の外の、無数の死体が転がる暗闇の戦場へ視線を向けた。


「村長は言いました。『勇気で獣は倒せない。命を散らして畑を守っても、麦を刈る者が死ねば家族が餓死するだけだ』と。……少佐、あいつらは馬鹿です。大馬鹿野郎だ。あんな突撃、俺の村の農民以下の戦術ですよ」


「……違いないな」


レオンは熱いスープを喉に流し込みながら、静かに同意した。


カールの素朴な田舎の教えは、軍事学の真理を突いている。

命を粗末にする戦いは、決して国を豊かにはしないのだ。


レオンは密かに、胸ポケットに収めた一通の手紙に触れた。

彼が守りたいものは、華やかな帝都の石畳の路地裏にある、小さな喫茶店にいる。


出征の前夜。珈琲の香りと彼女の香水が混ざるあの狭い部屋で、彼女は泣きながらレオンの麻痺した右脚にしがみついた。


『英雄になんて、絶対にならないで。無様に逃げてもいいから、生きて帰ってきて』


それが、愛する女の切実な願いだった。

彼女の愛に報いるためなら、レオンは喜んで「冷酷な殺戮者」の汚名を被る。英雄的な戦死など、残された者にとってはただの呪いでしかないのだから。


「……少佐!! 前方、第1ルート! 敵の生存者が一名、こちらへ向かってきます!」


通信兵の絶叫が、天幕の空気を切り裂いた。


レオンとカールがモニターへ目を向けると、そこにはひときわ巨大な「光」が映っていた。

ただの魔法障壁ではない。自らの肉体そのものを薪(まき)とし、命の全てを魔力に変換した致死の秘術だ。


光の中心にいるのは、傷だらけの敵将イグナシオ将軍だった。


『我が魂の熱量よ! 極光の刃となりて、鉄の壁を打ち砕けぇぇぇッ!!』


拡声魔術を通じた血を吐くような咆哮が、戦場に響き渡る。

彼は自らを巨大な一条の閃光と化し、帝国軍の中央ゲートへ向かって最後の特攻を仕掛けてきた。その熱量は凄まじく、地面のコンクリートがドロドロに溶け出している。


「……見事な輝きだ。帝都のイルミネーションにも引けを取らない」


レオンは感情の抜け落ちた声で呟き、通信機のマイクを握った。


「対戦車用・重魔導障壁を展開。中央砲座の全機関砲、目標に一点集中しろ」


ガァァァァァァンッ!!


一瞬遅れて、大地を揺るがす轟音が響き渡った。

イグナシオの放った命の極光は、帝国軍が展開した分厚い重魔導障壁に激突。しかし、障壁にわずかな亀裂を入れただけで、あえなく弾き返された。


直後、十字砲火のごとく集中した数百発の徹甲弾が、宙に浮いた将軍の体を容赦なく貫く。


閃光は、パツン、と風船が割れるように消滅した。

あとに残されたのは、焼け焦げた甲冑の破片と、無機質に稼働を続ける帝国陣地の機械音だけであった。


「……これで、終わりですね」


カール曹長が、冷めたスープを飲み干して言った。


「ああ。戦闘終了だ」


レオンは引きずって歩く右脚の痛みを隠しながら、机に向かった。

そして、明日の朝一番で本国へ送る報告書の束を手に取る。


『敵軍一千、全滅。我が方の損害、軽傷者三名(転倒による打撲)』


それが、無機質な数字の暴力が、狂信的な精神論を蹂躙(じゅうりん)した夜の結末だった。


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