第41話 天然なのが最強じゃない
「だいたい、パル子もパル子だ。いくら同級生とは言え、そこはやはり部活の先輩としての……」
はぁぁぁぁ……千春ちゃんが怒ってる。
そりゃそうだよね。紬ちゃんとあれだけおしゃべりしてたら、流石の千春ちゃんだって気が付くよね。
でもさぁ……。なんて良い声なんだろう。
千春ちゃんは割と身長が高いから、声も低そうなイメージがあるんだけど、それがどっこい、カワイイ声なんだよねぇ。
しかも、透明感があるって言うかさぁ、耳に優しいって言うかさぁ。
うふふっ、それに言っている事が全てごもっとも。
理路整然としていて、とってもわかりやすい。
決して相手の人格を否定せず、いったい何が悪かったのか? これからどうすれば良いのか? と言う本人も気づきにくい課題についてキッチリと説明してくれて。それでいて、叱られた本人を軽く持ち上げつつも、自主的な反省を促すと言う高度な話術を駆使してくる。組織においては最高の上司と言える人だよねぇ。
「パル子は……」
はうはうはう。
また名前呼ばれちゃった。
アノ美声で自分の名前を呼んでもらえるなんて。
なんて甘美な音色。
なんて至福な時間なの。
この時間がもっともっと続けば良いのにぃ。
「だからパル子は……」
あぁっ、また名前をっ!
……はぁ……はぁ……。
これはっ……これはちょっとヤバみ。
私、ちょっと軽イキしちゃうかもぉ……。
「ねぇ、パル子ちゃん、お熱でもあるの? ねぇ、ちーちゃん。パル子ちゃん顔がちょっと赤いよぉ」
「おぉ、そうか? あぁ、本当だな。どうした? 調子が悪いのか?」
んもぉ! 紬ちゃぁん! いませっかく良い所だったのにぃ!
紬ちゃんって、ホント、こういう所がダメだよねぇ。
空気が読めないって言うかさぁ!
「ねぇちーちゃん。パル子ちゃんを保健室に連れて行ってあげた方が良いんじゃないかな?」
「うむ。そうだな。ここは部長の私が行くべきだろう。紬には悪いが、少し留守番していてもらえるか?」
「うん、分かった。大丈夫だよ」
んもぉ! 紬ちゃぁん! ナイスぅ!
本当は分かってたのよ、私、紬ちゃんは出来る娘だって。
ホント、紬ちゃんって、空気の読める良い娘だよねぇ!
「千春ちゃん、ごめんね。ちょっとだけ気分が……」
「いやいや、気にするな。お前の体調も考えず、余計な説教をしてしまった私が悪かった。本当に申し訳ない」
「うぅん。良いの。だって私の事を思って叱ってくれてたんだから。全然平気だよ」
「そうか、それじゃあ、とりあえず立てるか?」
「うん、ありがとう」
いやぁぁぁん、千春ちゃんの手ぇぇ!
ちょっと大きくって、そして真っ白で。
しかもつやつやで、それていてほんわかとした温もりがあってぇぇ!
ひぃぃ! これはっ! これはマジ、ヤバいかもぉ!
って言うか!
「……」
くっ! 立てません。
だって既に……勃ってるから。
だって、私。
ソコの部分は男の子のままだからっ。
しっ、仕方ない。
この場面は、バレない様にそぉぉぉっとぉ。
「ねぇ、ちーちゃん。パル子ちゃん、お腹でも痛いのかなぁ、まっすぐ立てないみたいだよぉ。
こんのバカ娘がぁぁ!
お前にはデリカシーってもんが無いのかあっ!
いま、この時点でソコに焦点をあてヤガるとはなっ!
空気が読めるなんて言った私がバカだったぁぁ!
今はとってもデリケートな時期なんだよぉ!
とっても、とってもデリケートなデリケートゾーンが、本日ぴか一でデリケートな状態になってるんだよぉう!
それなのにっ、それなのにぃぃ!
「だから、ちーちゃんが軽く支えてあげた方が良いんじゃないかなぁ」
にゃっ! にゃにおぅ!
にゃにゃにゃ、にゃんて事うぉう!
紬ちゃん、ナイス!
ナイスアシストっ! アーンド、ナイスアドバイスッ!
紬ちゃんったら、マジ神っ!
さっきはバカ娘なんて言ってごめんねっ!
バカな娘は私だったわぁぁ!
ホント、ごめんね! ホントに、本当にごめんやでぇぇぇ!
「でも、パル子ちゃん。押さえてる部分がちょっと違うよねぇ。お腹じゃなくって、股間が痛いの?」
「ぐふっ!!」
天然、恐るべし。




