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たびゆめ ~何度でも追い求め続けよう~  作者: 幸明沙夜
OUTSIDE WORLD
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18 イライラしちゃう?


「「「え?????」」」


 帰宅したばかりの寿さんと中年のおじさんにも聞こえたようだ。

 壁際で仁王立ちしているジョンも驚きを隠せていない。

「見ず知らずの人の家に~。 理由もなく急に押しかけるわけ、な・い・で・しょ♡」


 意外なことに万里華(まりか)様が普通のことを言っている。

 緊急事態で押しかけてきたらしい。


「どうして、ここに来たたのかしら!?」

寿さんが不機嫌そうに聞く。


 同じく同意見だ。ここには遥絆(はな)もいるんだ。

「おねぇちゃん。 助けてあげて!」

 遥絆にも聞こえてしまったようだ。

 心配そうにTシャツの裾を引っ張る遥絆。


 遥絆と同じ目線までしゃがみ込む。

「もちろんだよ。 お姉さんとお話あるから、遥絆は、良い子で待ってられるかな?」

「うん! あーにぃ、がんばってね」

 満面の笑みで応援してくれる遥絆を抱きしめる。


「はじめまして。 澤田といいます。 天祥(てんしょう)さん分かるかな? えっと和心(なごみ)さんもいるから、皆のお話終わるまで一緒に行こうね」

 中年のおじさんが遥絆に自己紹介をしている。

 子供がいるのだろう。

 あっと言う間に遥絆と打ち解けて、抱きかかえたまま旋回している。


 澤田さんが手首の黒い数珠を投げて「開け円」と叫んだら、円の奥に違う空間が見えていた。

 奥は、特室と繋がっていた。

「なにこれぇ! すごい! すごぉい!!」

「すみません。 よろしくお願いします」

 澤田さんにお辞儀をして、遥絆に手を振る。

 円の奥から、(なご)みんも手を振っていた。

 遥絆は和みんを見つけて、澤田さんに抱っこされているのに和みんへ抱きつこうとしていた。


 子供に興味がないのか万里華様は、ソファで寛ぎながら、水を嗜まれていた。

「あの。 “ここで”って聞こえた気がしたんですけど…」

「そうよ~。 万里華ここで殺されるみたいなの」


「それなら、ここに来ないで頂きたかったわ!」

 更に不機嫌そうにする寿さん。


「おばさん。 そんなにイライラしてるとシワ増えちゃうわよ♡」

「おば…!!」

 薄々感じてはいたが、この万里華様は、同性に敵を作るタイプだ。


「万里華の予知夢なんだけど~。 外れたことないの♡ だから、私を救えるのは結城暁澄(ゆうきあきと)しかいないって思って~。 来ちゃった♡」

 ここに未来(みくる)がいなくて良かった。

 寿さんと同じような形相をしかねない。

 寿さんは、何とか落ち着かせようと食べ損ねた朝食を摂りながら聞き始めた。


「申し訳ないんですが、俺にそんな(ちから)ないです」

「う・そ♡ あなた生きているじゃない♡」

「君。 存在自体がイレギュラーなんだってね。 予知夢を変化させやすい存在」

 万里華様の隣でコーヒーを飲んでいる方隆(ほうりゅう)が口を開いた。


「そもそも、あんたは何でここにいるんですか? 能力犯罪者ですよね」

「なになに~? 方隆ちゃん、いじめちゃヤ~よ♡」

 万里華様が俺の方を見ながら方隆の左肩にすり寄る。


「捕まらないと思っているから、一緒にここまで来ているのでしょう?」

 寿さんが食後のコーヒーを飲みながら、確認する。

「流石、話が早いですね。 はじめまして。 燧方隆(ひうちほうりゅう)です。 万里華さんに雇われた護衛なので、今回は共闘しましょう」

 寿さんが大きな溜息を吐く。


「共闘する理由が共通目的なのね」

「ヤだ♡ どうして分かるの~?」

 万里華様が目を輝かせて、寿さんを見つめる。


「犯罪者が警察相手に取引条件なく、のこのこ現れるわけがないでしょう!」

「そぅ? 万里華ノ・コ・ノ・コ・来ちゃった♡」

「万里華さんは、犯罪者じゃないですよ。 能力でお仕事しているだけです」


「あ♡ そっかぁ♡」

 万里華様のテンポにどうも慣れない。

「それで、共通目的って何ですか?」

「万里華さんを狙っている犯人の名前が僕の顧客の中にもいました。 12年も前ですけどね」

 この人は、いくつだろう? ふと疑問に思う。 12年も前になると、どう考えても中学生くらいじゃないだろうか。


「どうやら、万里華ね~。 その人の目的の邪魔しちゃったみたいでぇ~。 怒らせちゃった♡」

 あざと可愛いという言葉が当てはまるような素振りでお茶目に笑う万里華様。


「万里華ね~。 殺される前に名前を教えてって聞いていたの♡ えっと~。 あ♡ 有料にしても良いかしら♡」

「さっきも言いましたよね? 迷惑料で相殺して下さい」

 万里華様が可愛い膨れっ面を作り、ブーイングしている。


「もう♡ しょうがないなぁ~。 結城暁澄だから、特別よ~♡」

 しっかりしていないと、俺が悪かったのかと思ってしまう一言を巧みに使ってくる。

 商売上手だ。

「早く名前を教えて頂戴!」

 痺れを切らした寿さんがイライラし始めていた。


「ヤだ~。 おばさん怖~い♡」

 いい加減。俺もイライラしそうだ…。


「万里華さん。 お金さえ支払われれば、誰にでも情報を渡すから、こんなことになるんですよ」

「だって~。 欲しい物い~っぱいあるんだもんっ♡」


「万里華さんを殺した人の目的って何ですか?」

 進まない話をどうにか戻そう。

「なんか~。 結城暁澄狙われちゃったでしょ? その情報がダメだったみたいなのぉ」

 そういえば、お盆前に寿さんと話していた事だった。


 世界を救いたい人もいるのではないか。


 そんな推測だったのだが、間違ってはいないようだ。

「名前がね~。 クイズみたいな…。 えっと~。 “かみまえあたる”って、言い終わって、すぐよ~っ。 信じられる? 銃で撃たれちゃったのぉ~!」


次回3月17日更新

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