17 集合
家のリビングに見知らぬ妖艶な女性がいる。
その隣には、方隆と名乗る少年のようにも見えるが、青年だろう。
確か。
以前の事件で姿を消した、言霊使いの能力者の名前だ。
そして、先程から美容師のように女性の髪を美しく結っている。
能力の無駄遣いではないだろうか。
「ほうにぃ♪ はなにもソレしてぇ~っ♪」
目を離した隙に遥絆が見知らぬオオカミに近寄っていた。
大きな目を輝かせて、ワクワクしているのが分かる。
俺は、あの爆弾事件を許さないが…。
遥絆に免じて堪える。
今は、止めておこう…。
急にリビングのソファーとダイニングテーブルの間が歪み始めたと思えば、でっかい黒人が出てきた。
ジョン!!
急に方隆の手さばきも衰える。
「ここまででも良いですか? 万里華さん。」
「え!? ヤだヤだ~っ! どうしてぇ~?」
「あの黒い人が来たら、突然なんにも使えなくなっちゃったんですよねぇ。 そうですよね? お兄さん。」
「はい。 私の存在、能力無効デス。 二人は使えないね」
黒人の男。
捜査一課の鈴木ジョバンニが腹黒そうな笑みを浮かべる方隆に答えた。
「ヤだ! 万里華、困っちゃう! 宝くじや馬券の番号とか見なきゃイケないのにぃ~っ!!」
「今日だけ、お休みしてください。」
そのジョンの一言で鬼の形相で睨み付ける万里華。
「ちょっと! 貴方! 1日、万里華が予知を見なければ、幾らの損失が出るか分かって言ってるの!?」
「非常事態。 関係ない。」
ジョンの腕には、万里華様の豊満ボディーが押し付けられているが何の反応も示さない。
「何!? その態度~! 方隆~!! わぁぁぁぁぁ~っ!」
「はいはい。 零係に請求しましょう。」
「いやいや。 絶対に無理な額ですよね! 聞かなくても分かります。 とりあえず、家に押し掛けた迷惑料で相殺ってことでっ!」
「本当に!? ヤだ! 結城暁澄やっさしい♪」
「いいの? 押し掛けた内容聞かなくて~」
俺の言葉に万里華さんと方隆が変な反応を示す。
嫌な予感しかしない…。
「そりゃ聞きますよ! …と、言うか迷惑料発生するような内容ってことですよね?」
「え~? 万里華が迷惑かけても、迷惑って、み~んな思わないのよ♪」
「俺は思いますよ!」
なんなんだ。この猫のような女性は…!?
今まで近くにいなかったタイプの女性で扱いづらい…。
「やっぱり、結城暁澄は不思議ね。 万里華。 ますます興味持っちゃうぞ♪」
「はい。分かりました。 話しは聞きますので、それ以上近付かずに服を1枚羽織ってください!」
豊満ボディに触れないようにジップ付きのパーカーを押し付ける。
「え~! 着なきゃダメ?」
「追い出しますよ」
「しょうがないわねぇ。」
しぶしぶパーカーを羽織る万里華さんだが、元々が薄着のワンピースのため、パーカーしか着ていないように見える丈感になっている。
逆に良い!
じゃない。じゃない。
またリビングの同じ位置で歪み始めたが、自由気儘そうな万里華様は、話し始めた。
誰が来るのか知っているのだろうか。
「用件は~。万里華ここで~」
歪みの中からは、中年のおじさんと…。
「寿さん! お帰りなさい」
「ことねぇ♪ おかえりなさーい♪」
思わず、嬉しくて声をかけてしまった。
遥絆も大喜びだ。
そんな光景に話し始めたはずの万里華様は、苛立ち爆発で叫び始めた。
「もう!! 万里華殺されるの! 助けなさいよね!!」




