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たびゆめ ~何度でも追い求め続けよう~  作者: 幸明沙夜
OUTSIDE WORLD
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2 経験と学習

 エアコンの効いた涼しい快適な室温。


「…っん」


 乱れるベッドの上。

 華やかなランジェリー姿で汗を流しながら、苦しそうに声をあげる五月女万里華(さおとめ まりか)


「…はぁ…っ」


 枕を握りしめ、息を荒くする。

 汗が首筋を伝う。


ごくっ


 万里華の喉が鳴る。



「いやぁっ!!!」


バッ

 ベッドから飛び起きる万里華。


 汗でランジェリーが素肌に纏わりつく。


「はぁ…はぁ…はぁ…」

 ベッドサイドのミネラルウオーターを一気に飲み込む。

 飲み干して一息つく。


「もぅ! サ・イ・ア・ク…ッ」


 こんな悪夢…。

 見たくなかったわ!


「はぁ…」

 大きな溜息を吐き出す万里華。


 この悪夢だけは回避したいわ!


 …やっぱり、彼しかいないわよね♡

 会ってみたかったのだけれどぉ…。

 関わるつもりは無かったのよねぇ。


 …ん~。


 こぉなったのなら、仕方ないわよね♡

 命には代えられないわ♡

 お願いしちゃいましょう♡


 肌に纏わりつくランジェリーの胸元に触れる。

「はぁ…もぅ気持ち悪いわぁ」


 シャワー♡

 シャワー♡


「あっ♡ 後でぇ。 何でも屋さんにもお願いしよう♡」






キィンキィンッ


シュシュシュシュシュッ

 無数の氷片が暁澄(あきと)に向かって飛んでくる。


 身体強化と浮遊能力で全てを避ける。

 避けきれなかった氷は素手で瞬時に弾き飛ばす。


ガンッ


グァシャーンッ


 全てを塞いだと思ったら、見覚えのある小さな猿四体が上から降ってきて、身体にしがみついてきた。


キキキキィッ


「げっ!! 東条(とうじょう)警部! 何でコレがあるんですか!?」

「ラボで許可のない遠隔操作やGPS、カメラの機能など池田との連携を全て取り除いて無害な事を確認してある」


 急に重力負荷が掛かるがギリギリの所で地面への激突は免れる。


「暁澄の能力で警視庁全体のセキュリティ強化も出来ているし、何よりも能力の特訓相手には丁度いいだろう」

「確かに。 この猿どもを思い出すと、自分に腹が立ちます。 良い思い出ではないので…頑張ります!」


 猿が一体離れて格闘技さながらのパンチを繰り出してくる。

 壁に激突しそうな程の威力だったが踏ん張って、反撃を繰り出す。

 猿一体と足や腕を使いながら攻防する。

 すると、腕にくっついていた二体目が攻防に参戦してきた。


 身体強化しているとは言え、能力を使う集中力に慣れていないため、疲労の限界がくる。

 お猿さん三体目と東条警部の氷片攻撃の挟み撃ちで見事に打ち負かされてしまった。



 大の字で特室のど真ん中で横になり呼吸を整える。

「はぁはぁ…」


「お疲れ!」

 東条警部が水を持ってきてくれた。


 今日は、タイミング良く大きな事件もなかったので東条警部が俺の手合わせ相手になってくれている。

 能力使用に慣れておかないと役立たずだし…。

 この前のような失敗もしないように能力範囲も学習しながら特訓中だ。


 寿さんは、明日から出掛ける予定で遥絆(はな)を連れて買い物に行ってくれている。

 

「そういえば、寿さん、しばらく古い資料ばかり読み漁ってましたよね?」

「ああ。 もうすぐ職場復帰予定のベテランがいるんだよ。 その人が追っていた未解決事件があるからな」


「あ、もしかして京志郎さんって人ですか?」

「聞いているのか? 寿の事件を…」


「寿さんの事件? ですか??」

「すまなかった。 聞いていないのであれば、寿から聞いてくれ」


「そうします」

 未解決事件を今さら見返すとなると何かあったのだろうか。

 お休みが終わったら、俺も協力出来ることがあるか聞いてみよう。


 お盆休みでも零係に休みは無く、当番制で誰かがいるそうだ。

 今日は、桜雅(おうが)さんが当番で上の零係にいた。

 甘々能力の少年と能力指導をしているらしい。


 囮捜査の時の桜雅さんのノリを見ていたから、不安が残るが…。

 寿さんが信頼して任せているくらいだから大丈夫なのだろう。


 どんな指導をしているのだろうか…。





「そのあとさぁ。 そいつ女に思いっきり拒否られてんの! やっぱ甘々能力使ってても無理なもんは無理なんだなぁ」

「いやいや。 兼田(かまた)少年。 そういう時はだなぁ。 女性は大切に大切にするんだ! 拒否られる前に丁寧に熟す必要があるのだよ。 どんなに我慢出来なくても女性を満足させたいのなら、そこを怠ってはイケないよ」


「へぇ~。 なぁ桜雅! 丁寧に熟す方法を教えてよ!!」

「お前、何人もリアルに見てんじゃねぇかよ!」


「?」

「それは、また今度な!」


「ちぇっ! ケチ!」

「へいへい。 じゃぁ、復習だぞ! 甘々能力をどこまでなら、使用してもいいか覚えてるか?」


「告白か手を繋ぐまで!」

「よろしい!」


「それは何でだ?」

「背中を押すだけなら、後は能力で押してはいけないこと!」


「そうだ! 兼田少年も大好きな女の子の事を独り占めしたいだろ?」

「うん! したい!!」


「お前が見てきたのは能力で二人っきりと勘違いした世界だ。 独り占めの世界だったか?」

「…俺が邪魔してた。 多分、他にもいたかも…」


「兼田少年が好きな子と二人っきりだと思ってたのに違ったら、どうだ?」

「ごめんなさい! もう絶対にしない!!」


「よしっ!! 絶対だぞ!」

 甘々能力で公然猥褻罪を多発させた兼田少年の頭を撫で回す桜雅。


「お前は、ちゃんと女の子を守れる男になるんだぞ!」

「うん! わかった。 約束する!!」



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