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たびゆめ ~何度でも追い求め続けよう~  作者: 幸明沙夜
ABSOLUTELY RESCUE
37/60

18 またね

未来(みくる)が天災級能力者!?」

「天災級能力者は発現時に皆死んでおる。 自分の能力も知らずに災害に巻き込まれてしまうからの」


「その災害も見たのでしょう? 何が起こったの?」

「最大の大地震じゃ」

「地震で??」



ばちこーんっ


 (とき)バアのスリッパ攻撃が飛んでくる。


「地震を馬鹿にするんじゃない! 最大と言っておろう。 もっとも能力者自身が引き金じゃから、想像しにくいかのぉ…」

 見てきた事を言葉に置き換えるのも表現しにくいのだろう。

 俺でも分かりやすいように考えてくれる。


「あの女子(おなご)が発現したのは、地震の震源地レベルではないんじゃ、隕石衝突位の規模じゃよ!」


「隕石って…!? 通常の地震とは違うから、マグニチュード11~12位かしら? 大津波も起こるし、火山活動も引き起こされる! 各地で火災も起き、それによって煙が地球を覆って気温低下も考えられるわ」

 寿さんの知識で地球が半壊してしまう意味が理解できた。


「わたしゃ、そんなとこまでは見れてないんじゃ。 だが、大地震は止まることなく揺れ続けとったわい。 揺れた状態で大津波が押し寄せてきよったからの。 そこから先は、ほとんどの者が真っ白じゃ。 京志郎(きょうしろう)の未来でも見せて貰えば、ええんじゃろうが…」

(きょう)さんも零係に復帰する予定よ」


 先程から出てくる京志郎さん、零係にいた人のようだ。

 生存者が中々いないのに京志郎さんの未来は見えるのだろうか?

 どんな能力何だろう…。


「そうかい。 戻ったら寄るように言っておくんじゃぞ!」

「近々、会うだろうし伝えておくわ」


「おや。 もうそんな時期かい?」

「ええ…」

 時バアが子供の頭を撫でるように寿さんの頭を撫でる。

 やはり、能力で警察に協力しているだけの間柄ではなさそうだ。



 お茶を啜り、一呼吸おいてから聞きたい事を時バアに尋ねた。

「あの。 天災級能力が発現する未来は、消えてなくて、まだ起こる未来なんですよね?」


「知っとるんじゃな」

「予知夢能力者の話だそうよ」

 寿さんが情報源を伝える。


「間違っておらんわい。 天災級能力は発現する。 あたしゃ発現する日付を先延ばしに変えられただけじゃわい」

「どうやって変えたんですか?」


 俺は、未来を変えた者はいないと聞いていた。

 俺が凄いとかでなく、時バアが頑張ってくれたお蔭で俺は生きられている。


「外の行列は見たじゃろう? 高校生も多いんじゃよ。 あたしゃ皆に6月22日は、縁起が悪い。 日程を変えられるものなら出掛けるな。 デートも駄目じゃ。 6月15日に変更するんじゃ! そう伝えておいただけじゃよ」

「えぇ! 口コミだけで!?」

「この店も口コミだけの店よ。 表に看板なんて一切なかったでしょう?」

 寿さんに突っ込まれて更に驚く。

 女性の口コミ力って、凄い…。



 鎌倉に遊びに行く日程を決めたのは、母さんと未来(みくる)だったからなぁ。

 未来(みくる)が晩御飯を食べて帰る時は、必ず食器の後片付けを手伝って帰っていた。

 俺が風呂上りにリビングに行くと、女同士でよく盛り上がっているのを見かけた。

 それが当たり前だった。


 

 未来(みくる)が能力発現することは変わっていない。



「今度は、いつ未来(みくる)の能力が発現するんですか?」

暁澄(あきと)! 未来は簡単に変えられん! じゃが、あたしゃ未来を変えられた。 今の未来は、新しい未来じゃ。 そして、お主が生きている! このことが重要なことじゃ!」


「暁澄君はイレギュラー。 もしかして、他の人より未来を変えやすいの?」

「そうじゃ! 天災級能力が発現する未来は存在したままじゃが、いつ起こるかは変動しておる。 こんな事は、未来を見続けてきた中で初めての事じゃ!」

「まだ止められる可能性はあるんですね!?」


結城暁澄(ゆうき あきと)! お主は決して諦めるんでないよ!! その命も無駄にするんでないよ!!」


「はい!!」


 未来(みくる)を助けられるなら…。

 家族を助けられるなら…。

 また以前のように一緒にいられるなら…。


 俺は、絶対に諦めたりしない!



「いつでもあたしゃ此処におるからの。 何かあったら、いつでも来んしゃい!」



 やっぱり、このおばあちゃんは、最高に素敵なおばあちゃんだ。

 この長蛇の列は、占いだけの力ではない。

 きっと皆、時バアに会いたくて、聞いて欲しくて、来ている人達なんだろう。


「はい!」


 貴女に救って頂いたこの命。

 絶対に無駄にしません。


 地球を壊さず、未来(みくる)を必ず連れてきます。



「ありがとうございます」

 お礼を言いながら、涙でぐしゃぐしゃになっていた。






 寿さんが車の鍵を俺に渡してきた。

「私、少しだけ話したい事があるから、先に車に戻って、エンジン掛けといてくれるかしら?」

「分かりました。 涼しくしておきますね。 何か飲み物も要りますか?」


「ありがとう。 コーヒー…ブラック、お願いして良いかしら?」

「はい。 じゃあ準備しときますね。 時バアまた来ますね」


「いってきんしゃい!」

 最高の笑顔で暁澄を見送る時バア。


パタン

ちりんりんりんんっ


 ドアが閉まり、暁澄の姿がなくなる。



「良い子じゃの」

「ええ。 とっても…」


「あたしゃ暁澄には言えんかったがトラックの運転手にブレーキを踏むなと助言してしもうたんじゃ」

「暁澄君は、それを聞いてもきっと怒ったりはしない筈よ。 最悪でも最善の選択だったんだもの」


「そうかのぅ。 …いつか謝罪をしようわい。 お主の方では何か罪状があるかの?」

「調書だけ取って、天災級能力発現防止に貢献した功労者として、丁重に対応させて頂くわ」


(れい)…。 それは可笑しくないかい? 例え防止したと言えどものぅ…。 あたしゃ未来が変わったことをタイムトラベル能力で確認したんじゃぞ。 ブレーキを踏まない未来で大事故になって、海に転落することも見た上で助言を覆さなかったんじゃぞ?」

「それでもよ! 私の考えは変わらないわ。 そのまま提出する」


「相変わらず、頑固じゃの」

「お互いさまでしょ?」


「そうじゃの。 あ、京志郎に()うたら、言伝をもう一つ。 澪、お主にも関係ある事なんじゃが…。 鶏小屋をもう一度、洗い直せ! そう言っておきんしゃい」


「…鶏小屋」

 澪が考え始めて動かなくなる。

 悪い癖じゃの。


「澪! お主、今日はゆっくり休んで仕事は明日からするんじゃぞ!」

「……」

 鶏小屋が気になって堪らなくて資料を確認しようとしていた事を見透かされる寿。

 思わず、無言で時バアと視線を合わせ、抵抗の意思を伝えようと口を尖らせる。

 視線を落とし、大きく息を吐く寿。


「分かっているわ。 無茶はしません!」

「分かれば良いんじゃ!」


「じゃっ。 また来るわ。 あ! いい加減に携帯か電話のどちらかを置いて欲しいのだけれどっ!」

「そんなもの置くもんかい!」


「もうっ!! じゃあね」

「いってきんしゃい!」


 そんな何時でも連絡なんて取れるようなもんあれば、忙しいお主は、中々顔も見せんじゃろう。

 わたしゃ澪の事を娘の様に今でも可愛がっておるんじゃ。



 会いたいじゃないかい。



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