15 とめる
終盤の方を修正させて頂きました。
23:56:10
爆発までの時間がない!
考える暇もなく俺は飛び降りた。
身体浮遊で10階から2階を目指す。
窓が邪魔だ。
「念のため、和みん。 窓の近くから離れて!」
イヤホンで和みんに注意を促す。
『は…はぃ』
身体強化で飛び降りた所から一番近くの窓を足蹴りする。
シュッ
ガシャンッ
ガシャ
パリパリパリ…
割った窓の先は、廊下だった。
廃墟の窓を開けること自体に時間のロスを感じ、邪魔なガラスを足で排除したら、空中浮遊でそのまま2階廊下を飛び急ぐ。
2階角部屋は、奥の一室だけだった。
一目散に進み勢いよくドアを開ける。
バンッ
「あっきー!! 桜雅が…」
「大丈夫。 息はある」
頭頂部から出血があり、殴打されている様だった。
「ゆ…幽霊がぁ…わぁぁ~っ」
「和みん大丈夫! 幽霊じゃないから落ち着いて!!」
パニックの和みんをなだめる。
この状態で遥絆に伝えられただけでも和みんなりに頑張っていると思う。
中央で時間を刻んでいる機械に目をやる。
23:58:20
二人を抱えて外に出るのは簡単だが爆風に巻き込まれないか不安な時間だ。
待てよ…。
機械を壊した時に池田は触れて直していた。
触れないと治せないなら…。
「和みん捕まってて!」
「は…はい!!」
桜雅さんを肩に担ぎ、和みんを片腕で抱きかかえる。
深呼吸をして想像を整える。
すぅー…
23:59:15
「Delete!」
ふっ
「ヒューーーヒュッ♪ あはははは。 結城暁澄。 彼、馬鹿なの?」
ビルの様子を離れた場所から見ていた方隆が感嘆と笑いを堪えながら、東条へ尋ねる。
東条と仲良く手錠をしているままである。
「……」
東条も目の前の惨状が理解しづらく、呆然としている。
隣の方隆の声は、言霊能力対策で聞こえない様にシャットダウンしているままのようである。
ダンッ
和みんと桜雅の二人を抱えて、地面に着地した暁澄。
目の前の光景を見て、驚いていた。
「……」
暁澄は、言葉を失い呆然と立ち尽くしていた。
そこにイヤホンから悲鳴が聞こえてくる。
イヤホン越しでなくても隣のビルにいた筈の寿さんの叫び声と遥絆の悲鳴が上空から降ってきた。
「キャーーーーーーッ!!?」
「もうっ!! 暁澄!! 心臓に悪すぎよぉ!」
バンジージャンプでもしているかの様な心境だろうが寿さんに命綱は付いていない。
助けてと言わない辺り、能力で着地可能なのだろう。
それにあまりの惨状に頭がついていけていない。
呆然と立ち尽くしていると、寿さんは遥絆を抱きかかえたまま、何度か回転し、強固な足で土埃と轟音を立てて地面を破壊し着地していた。
サンタも慣れているのか、何度か寿さんの背中を蹴りながら空中から落下しており、最終的に寿さんの背中に降りて地面に到着していた。
目の前の着地が無事に終わったことを確認し、ようやく息を吐く。
呆けていた頭も冷静になり、やっと言葉が出る。
「本当にすみません…」
俺は廃墟ビルと爆弾をなくそうと思っただけなのだ。
それが…。
爆発を無事に回避できたと思って周りを見たら…。
直径1㎞弱位だろうか…。
荒野だ。
幸いと言っていいのは、ここが住宅街でなくオフィス街で人がいなかったという事位だろうか…。
大失敗だ。
消去のコントロール精度を上げなくては迷惑すぎる。
建造物を修復するのも俺自信だ。
先が思いやられる…。
そう考えていると、上空に変な機械が飛んでいた。
そう言えば、池田は落下していない。
「和みん。 桜雅さんをお願いします」
「はいです!」
空中浮遊で上空の機械まで飛んでいく。
間近で見ると、車にしか見えない出で立ちをしていたが空を飛んでいる。
池田は、透明な何かに身体を引っ張り上げられている所だった。
「結城暁澄! やはり、その能力は天災級能力の妨げになりかねないな」
「貴方は、そんなにこの世を消したいのですか?」
空飛ぶ車に乗り込みながら話を続ける池田。
「そうだ。 でも君に身内は消せないだろう? 例え世界が半壊してもな」
「身内を!??」
「まだ気付かないのか? あの事故の車に乗っていた行方不明の誰かが天災級能力者だ」
「!?」
「探し物は同じだ。 必ず私の方が先に見つける」
空飛ぶ車が動き始める。
ハンドルから、透明に変わっていき、空飛ぶ車が見えなくなりそうになる。
「逃がしませんよ!」
車が消える前に上空で網を作り車を覆う。
エンジン全開で引っ張る力に不可を掛けられるが身体強化のお陰で空中でも吹き飛ばされないくらいの怪力を発揮する。
「せっかくの飛車が壊れるじゃないですか」
そう言いながら、池田が余裕のある様子でタブレットに触れる。
すると、車の中から小型の小さい猿が五匹現れて飛びかかってきた。
「うわぁ!?」
引っ張ることで精一杯の俺の手足にしがみついてきた。
一匹は刃の歯で網を切り始める。
「結城暁澄。 また機会があれば、お会いしましょう」
その言葉の次の瞬間、網が切れたと同時に身体全体に重力不可が掛かった。
「ヤバッ!!」
と、声が出たときには遅かった。
物凄いスピードで地面に激突した。
ドゴォォォォッッ
土ぼこりと共にでっかいクレーターが出来ていた。
身体強化のお陰で無事である。
両手足の猿のせいで立ち上がることも出来ない。
俺は、見えなくなった空飛ぶ車に向かって叫ぶ。
「天災なんか絶対に止めて見せます!! 俺は絶対に死なせたりしません!」
叫びながら、温かいものが頬を伝う。
皆が生きている!
絶対に探し出して、助け出す!!
天災級能力も止めてやる!




