14 じゃま
23:50:13
「あれ? どこで知ったんですか? さすが警察ですね。 僕ここから見物しようと思っているんですよ。 一緒にどうですか?」
この若者の飄々とした態度に東条は、困惑し、調子を崩されそうになる。
「慣れ合う気はないと言っている」
「僕、暴力反対なので攻撃しないで下さいね。 彼みたいに手錠つけます?」
「君の言葉に甘えよう。 しかし、どういうつもりだ?」
若者へ手錠をかけながら、訝しげに若者に訊ねる東条。
「僕、子供がどうなるのか心配だっただけなんですよ。 大丈夫だと思うんですけど、せっかくなので最後まで無事を確認したくって♪」
「つまり、共犯ではないという事か?」
「そうですね。 誰の見方でもないと思ってますよ。 そうだ。 透明な彼は、もう手錠の中にはいませんよ」
「馬鹿な!?」
空中浮遊していた手錠は確かに地面に落ちているが、透明な人間の後を追うよりも隣にいるこの若者を確実に確保する方が賢明であると判断した。
もう片方の手錠を東条自身の右手につける。
「良いんですか? 彼を追わなくて? 僕は捕まりませんよ?」
東条は聞こえていないのか、会話を続けなくなり、イヤホン通話をしていた。
「冷たいなぁ。 言霊対策? そんな事しても無駄なのに…。 少しくらいお話してよ」
23:51:45
〟透明能力者逃走中。 どこにいるか不明。 音や気配には気を付けろ!〝
「げっ!? マジかよ?」
イヤホン越しに聞こえてきた東条警部の言葉に耳を疑う桜雅。
「あンの狸めっ!!」
くそムカつくぜっ!!
今、あの状態から抜け出せるって事は、最初からバリアも通り抜けられた。
氷の中でも自由に動けた。
ただの透明能力者でなく、すり抜け事態も自由であるって事じゃん!
あ~っ!!
騙された!! 腹立つなぁ!!
イライラしながら、二階角部屋のドアを開ける。
ガチャ
「…!!? うっっわぁぁぁぁ~ん!」
奥にいた天祥と目が合った途端に号泣される。
大丈夫か?
そんなに怖かった…んだなぁ。
「それだけ元気なら大丈夫だな…。 天祥!」
「あ!! 身体が動きます! 良かったよぉぉ…。 わぁあ~ん!」
相変わらず五月蠅い天祥にとりあえず、安心する。
透明能力者があっさり言った場所に本当に天祥がいた。
ここは、騙していない!?
何故だ?
「こっから出るぞ!」
天祥へ手を差し伸べる桜雅。
天祥は、驚いて声が出ない様子で指を指し示していた。
やっと声が出た天祥と桜雅が振り返ったのは、ほぼ同時だった。
「…桜雅後ろ!!!」
ゴンッ
「キャァーーーーーーーーーー!?」
浮いていた瓦礫片が頭上に直撃する。
やっぱり!
クソたぬ…き………―
頭に直撃の衝撃を食らった桜雅は、床へ倒れこんだ。
「桜雅! 桜雅!!」
23:54:22
23:43:34
エレベーターは、7階で止まっており、ボタンを押しても作動しなった。
よく考えて、池田の罠があるかもしれない機械を危惧し、階段を選ぶ。
7階に到着すると、エレベーターが作動して1階に向かっていた。
誰かがついさっきまでココにいた?
考えながら遥絆の元へ急ぐ暁澄。
ガチャ
「あーにぃ!!」
元気に走りかけて来る遥絆を抱きしめる。
「遥絆!! 良かった…」
「あーにぃ? 痛いよう」
「ごめん! 何もされなかったか?」
「かみキレイにしてくれたよ! かわいい?」
本当に可愛く編まれている髪に感嘆する。
「遥絆とっても可愛いよ」
「うれしい♪」
「ちょっと時間がないから、後でお話しようね」
「うん」
遥絆を抱きかかえ、窓から飛び出す。
身体浮遊の空想で空中浮遊する。
「うわぁ~! すごーい♪ きゃははは」
「ほっ」
爆発からは余裕で間に合ったことに安堵する。
上空から隣のビルの屋上に人がいることが見て分かった。
そこに降り立つ。
「やぁ! 23時46分余裕だな」
聞き覚えのある低い男の声。
スーツの良く似合う中年の男だった。
髭が伸びて、髪もボサボサだが、不潔感を感じさせないのは、哀愁と顔立ちのせいだろう。
「貴方が池田さんですか?」
「そうだ。 結城暁澄」
「約束を覚えていますか?」
どうして俺にこんなことをするのか、何故死んでもいいと言われなくてはならないのか…。
「ああ。 そうだったね」
ビル風で強風が吹く。
「あの事故の日に君は死ぬはずだった」
「!?」
「何を言っているんですか? 俺は生きています」
「そう。 能力覚醒までして君は生きている。 全て予定外だ」
ガチャガチャ
後ろのドアに鍵がかかっているのだろう破壊音とともにドアが開いた。
バゴォッ
サンタと寿さんが駆けつける。
池田は、何事もなかったように話し続ける。
「予知夢ではね。 あの日あの事故でこの世の半分は壊滅する予定だった」
「「!?」」
「事故で!? 何でそんな事が起こるんですか?」
「天災級能力者」
隣で寿さんが呟く。
「数百年に一度の能力者やさかい。 会うたことあらへんが…。 発現した能力者自身も即死やそうやで…」
「ご名答。 まだこの世が半壊する予知夢は継続中だ」
「そんな!?」
「それと暁澄君がどう関係するの?」
「事故で結城暁澄が死んで天災級大災害が起こる予定だった。 それが生き残って未来を変えた」
「あっきー。 ヤルやないかい!」
すかさず、サンタが感心する。
「それでは困る。 予想外のこの未来において、結城暁澄は、今後も未来を変えてしまう可能性がある」
ビル風の強風に煽られる池田だが、その低い声は、はっきりと聞こえた。
「君は邪魔だ」
「あーにぃ? なぁねぇがたいへんだって…」
抱きかかえていた遥絆が服を掴んで引っ張る。
イヤホンからも和みんの声がした。
「…っこれ聞こえてますぅ? 和心ですぅ…」
泣いているのか声が震えていた。
「助けて下さいぃぃ!!」
「嘘!? まだ中にいるの? 桜雅はどうしたの!?」
遥絆を寿さんへ預ける。
「お願いします!!」
「あっきー。 そんなとこから、どないすんねん!!」
10階あるビルの屋上から勢いよく飛び降りる。
「ほぅ…。 お手並み拝見しようじゃないか」
23:56:08




