4 ねむたい
「ズルいです! ズルいです~!!」
「土産話で我慢しろ」
「何騒いでいるのか知らないけれど遊びではないのよ!」
「桜雅がいれば、あっきーいらないじゃないですか!?」
「何言ってるの! 暁澄君いないと何が起こるか分かったもんじゃないわっ!」
「だから、行きたいんです~!」
「全く! 見世物じゃないのよ! お仕事なのよ!!」
「ぶ~。 遥絆ちゃんのお迎え行ってきます…」
二班は、これから夜の公園で能力者確保だそうです。
これがまた、面白そうな案件だったのです!
あ~! 現場にいない事が悔しいです~!!
癒しの遥絆姫に慰めて貰います…。
「な~ねぇ! おつかれさま」
「遥絆ちゅわ~んっ♪ 今日もカワユスです」
これでもかと言わんばかりに柔肌に抱きついて頬ずりします。
「あーにぃは、おしごと?」
「そうですよ。 一緒にご飯作って待ってましょう」
遥絆ちゃんが危なくないようにしっかり手を繋いで歩きます。
「うん♪ はなおいしくできるようにガンバる!」
「遥絆ちゃん♪ 何が食べたいですか?」
「ん~。つめたいちゅるちゅる!」
「何ですか!? その可愛いちゅるちゅるとは?」
「冷麺か冷やし中華かな?」
突然聞こえてきた声に驚き、振り向きます。
「トマトとたまごさんがのってるんだよ」
「じゃあ、冷やし中華だね」
「つめたいちゅうか♪ ありがとう」
子供と言うのは、何て無邪気なのでしょう…。
こうも簡単に知らない人とお話してしまうなんて…。
イヤ…。遥絆ちゃんが人見知りをしない、人たらしだからでしょうか。
声を掛けてきた男も落ち着いた感じの人たらしな雰囲気を醸し出しています。
私より、少しだけ年上でしょうか。
可愛い小動物系お兄さん。
遥絆ちゃんは、心許しても私は、油断しませんよ。
遥絆ちゃんに何かあってはなりません!
「あ、ごめんなさい。 可愛いお話が聞こえてきたので思わず、口を挟んじゃいました。 じゃあね。 遥絆ちゃん♪」
「さようなら」
ん? 知り合いでしたか。
私たちの後ろの道を歩き去っていく。
「あのお兄さんとよく、会うんですか?」
「? はじめましてだよ」
ん? はて…。 どうして知り合いと勘違いしてしまったのでしょう??
それに私達と同じ方向を歩いていたはずなのに何故、戻られたのでしょうか?
ここは一本道、後ろを歩いていたのなら、目的地は私達の前にあるのが普通では?
???
「あ、遥絆ちゃん。 これ落とさなかったかな?」
後ろから、先程の不審な人たらしが駆けてくる。
「はなのじゃないよ。 ありがとう」
怖くなって、遥絆ちゃんを抱きあげる。
「では、急ぐので失礼します」
お辞儀をして、この場から立ち去ろうとすると、また後ろから声を掛けてきた。
「遥絆ちゃん眠くなってきたね」
急に目を擦り始める遥絆ちゃん。
声に振り向かずに今度は、歩く足を止めません。
悪い人ではないと思いますが、何か嫌な感じがします。
「和心さんも眠たいんだね」
後ろから、また声を掛けられ、違和感に気付きました。
名前!?
気付いた時には、堪らなく眠くて、どうにもならず……。
膝をついて遥絆ちゃんを強く抱き締めたまま、地面に寝転ぶ様に目を閉じてしまいました。
「ぷーさん。 そこにいるんでしょ? 早く運んで」
「うん」
誰もいない所から、声だけが聞こえる。
次の瞬間、縦にも横にも大きな男が姿を現した。
「遥絆ちゃんの方は、僕でも運べるなぁ」
「うん。 軽い」
大きな男が子供と女性を軽々持ち上げ、子供を小柄な男に渡す。
子供を抱きかかえた男が寝顔を見つめ続ける。
「可愛いねぇ~♪」




