17 未来
やっぱり。
未来だった…。
思わず顔に触れる。
心のない人形のような未来。
姿形だけが未来そのものだ。
未来に会いたい。
そう強く想った俺の願いそのものだ。
「ごめんな」
未来を守れなかった自分自身への許せない想い。
それが魔女の姿となり、行き場のない感情が童話にない復讐という形で暴走していたのだろう。
魔女が失った足を取り戻すように…。
あの童話を読んで、俺なら復讐するかもしれないと思ってしまったから…。
あの亡くなってしまった魔女の娘を未来と置き換えて考えてしまったから…。
「未来の姿で酷いことさせた」
俺が弱いせいで…。
この魔女は俺の心だ。
事故の後から、色んな事を否定し続けてきた俺の弱い心そのものだ。
消えろと思っても消せないのは、消すべきものではないからだ。
能力を受容れた時のように現実も受容れなくてはいけないからだ。
「もう誰も傷つけなくていいんだ」
みくママが言ってくれたことを受容れていいんだ。
俺は許されることを…。
受容れていいんだ。
事故に遭って、今までの日常がなくなった。
世界が変わって見えた。
こんな筈じゃない世界が確かにあったから…。
でも、否定し続けて立ち止まっている場合じゃない。
こんな筈じゃない世界で俺は生きていかなくてはならない。
夢も希望も失った。
それでも、こんな筈じゃない世界で俺は頑張らなくてはならない。
希望はまだある。
否定し続けていては、前に進めない。
今を受け入れて、前に進まなければ…。
希望も見落としてしまう。
こんな筈じゃない世界で俺は、もう一度、前を見て歩いていく。
こんな筈じゃない世界は、まだ始まったばかりだ。
こんな筈じゃない世界は、俺自身で変えていくんだ。
こんな筈じゃない世界で俺に出来ることを精一杯頑張って!!
「必ず迎えに行くよ」
どんな姿の未来でも…。
もう一度、抱きしめて確認するまで…。
諦めないと誓うよ。
夢は、現実全てを受容れた、その先で見つけていくから…。
未来に信頼の鼻キスを送る。
身体が薄くなり、光り輝き始める。
ふわっ
輝きが俺自身を纏って溶け込んで消えていく…。
「おかえり」
受容れられなかった俺の弱い心を迎え入れる。
心配していたのだろう流涙と鼻水でグジュグジュの和みんが駆けつけ飛びついて来る。
フニャンとした透明のクッションに地面激突を助けられる。
桜雅さんが和みんの鼻水に笑いながら罵声を浴びせる。
負けじと和みんも天然攻撃を掛ける。
サンタを抱えた寿さんは、いつものお姉さんの姿に戻っていた。
寿さんに誉められ優しく頭を撫でられる。
サンタにも顔を舐めまくられる。
こんな筈じゃない世界で出会えた人達がいて本当に良かった。
皆に出会えて、幸せだ。
ふと涙が零れ落ちていた。
笑って泣けたのは、いつぶりだろうか…。




