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たびゆめ ~何度でも追い求め続けよう~  作者: 幸明沙夜
NEVER EVER GIVE UP
13/60

13 暴走

「はぁ!? 東条(とうじょう)、何をほざいているの!?」

「そのままの意味だが、聞いてわからないのか? 寿」

 冷静沈着、綺麗で落ち着いたお姉さんが感情表現豊かになっていて驚いた。

 二人は、付き合っているのだろうか?


「あぁ…。 始まった。 いつも長いんだよなー。 おっ。 お前が暁澄(あきと)だな! オレ武下桜雅(たけした おうが)。 桜雅でいいからなっ! よろしくー」

 なんか…同級生かと思ってしまう。

 そんなノリだ。

「桜雅さん。 宜しくお願いします」


「って言っても逮捕状、出ちゃってコントロールどころじゃねぇなぁ」

「俺、何もしてないんですけど…」


「大丈夫だよ。 暁澄を犯罪者にしないために二班があるんだからなっ!」

「そうですよ! 二班は、能力者の育成・教育を担当しています。 覚醒後のひよ子さんのあっきーを守りますよ!!」

 この人達に出会えて良かった。

「わんっ!」

 白いふわふわのマシュマロが足元をスリスリしてくる。

 もちろん。サンタとも出会えて良かったよ。

 強張っていた身体が緩んで安堵する。



「何をボーっと突っ立っているんだ!? 早く容疑者を連れて事情聴取しておけっ!!」

「はい。 申し訳ありません」


 一斑と二班で全然違う…。

 本当に最初に出会った零係が二班で良かった。



 手錠を出して大人達が近づいてくる。

「あ。俺逃げたりしませんよ」

「君、能力者だから何もしないというわけには、いかないんだ。すまないね」


カシャンッ


 そう言って手錠をつけられた。



 父さん。母さん。

 俺、逮捕されてしまいました。

 親不孝でごめんなさい。



 思わず、そうつぶやいてしまったが、違う!

 犯罪者ではない!

 誤認逮捕と言うやつだ!


 地下室から地上に移動し、案内され通されたのは、テレビでよく見るような部屋だ。

 大きな鏡もある。

 向こう側からは、こちらが見えるようになっているのだろう。

 目の前には、黒いスーツの中年のおじさんが座っている。

 確か、零係は能力集団だと言っていた。

 この人も能力を持っているのか。

 どんな能力なのだろうか。



「君は、まだコントロールが出来ていないと聞いている。 魔女事件は知っているかい?」

「いいえ」


「大鎌を持って、全身黒いフードを覆った人が女性の右足を切断している事件だ。 これが被害者だよ。 見覚えはないかい?」

 被害者の写真と言われ、見せられたのは切断された右足や切断現場だった。


うわっ。

 思わず、眼を背ける。


「魔女の能力が飴能力者と同じ匂いだとサンタが報告していた」

「飴を降らせたり、切断させたり、俺には出来ません」


「コントロールが出来ないだけだろう」

 なんだろう。

 ジワジワと嫌な感じの話し方をする人だ。


「まずは、自分が能力を使えると思わなければ、能力は使いこなせないよ」

 確かに。

 俺は、能力なんて使えないと否定し続けている。

「そもそも人を傷つける事なんてしません!」



「楽しくなったんじゃないかい?」

「はい?」


「コントロールし切れずに大きな事件を起こす人は、意外に多いんだ。 自分の使った能力がニユースを見る度に取り上げられ、事件が大きくなり、楽しくなってくる。 そんな能力犯罪者も中にはいるんだよ」

「はぁ…。 僕は違います」

 この人は、何を言っているんだ。

 俺を怒らせたいのだろうか。


「魔女の出没地点は、いつも決まった場所なんだが、見覚えはないかい?」

 写真を見せられ、思わす身を乗り出す。


「知っている場所なんだね」

 知っているも何も思い出の場所だ。

 未来(みくる)を思い出す場所だ。




〝一番があきとで。二番もあきとで。三番もあきと!!〟




 10年近くも前の事なのに忘れようがない。

 この橋の上で言っていたのだ。

 そんな思い出の場所でこんな凄惨な事件止めて欲しい。


「絶対に俺の能力では、ありません」



「コントロール不十分な人の場合、強い思い出の場所に何故か能力が発現しやすいんだよ」

「そうなんですね。 でも俺は人を傷つけるようなことはしません!」

 何度言えば、わかるんだろう。

 いい加減にイライラしてくる。


「では、言い方を変えよう。 魔女に何か思い出はないかい?」

 ふと、未来が読んでいた童話を思い出す。

「本で…」


「その本に足が無くなるような話はあったかな?」

「!?」

 あった。 よく思い出してみたら最後は、足を奪われたせいで亡くなっていたはずだ。

 俺だったら、恨んでいるかもしれない…そう思った。



「やはり、思い当たる事があるんだね…面白いね」

 面白いだと?

 本当に何なんだ。

 このいけ好かない中年刑事は!?


「飴を降らせたり、本の中の魔女を実現させたり…。 あ! そうだった。 病院へ記憶改竄に駆り出されてたんだ。 足のケガも治してるんだったね」


「記憶を変えれるんですか?」

「そうだよ。 垣間見ることもできるよ。 見ることの方が難しいんだけどね」

 この人だったのか。


「じゃあ、俺の記憶を見れば、俺が何もしていないことが分かりますよ」

「いや。 無意識で能力使っているのに記憶見ても分からないでしょう?」

 能力事件が楽しくなってきたんじゃないか? そう言ったのは、どの口だ!?


「無意識でも逮捕になるんですか?」

「君の能力、自在すぎないかい? しかも広範囲能力。全世界に範囲を広げて能力を使える人は、今まで一人もいないんだよ。 自分の異常差が少しは理解できたかな?」


「危険犯罪者になり得るということですか?」

「そうだよ。 飲み込みが早いね」

 こんなことで捕まる訳にはいかない。



 遥絆(はな)が目覚める時には、傍にいてやりたい。

 遥大(はる)を探さなくてはいけない。

 行方不明の両親と未来(みくる)が乗っている車も探したい。



「事故車両も行方不明なんだってね。 もしかして、君なら車も消せちゃうんじゃないかい? 生命保険目当てで隠してるとか?」

 そんなことで事故になんて巻き込まれたくない。

 そんな物の為に日常を壊されたくない。


「何でそんなことが言えるんですか?」

 この人も何か辛い経験があったから、能力が芽生えているはずなのに…。


 海で溺れそうになる事がどんなに大変か…。

 一度、経験してみればいいんだ。




「うわぁ!!」


 気付けば、靴が濡れ始めていた。

 どこから増えてきているのか分からないが、水位が上昇している。


 そして、潮臭い…。


「海水じゃないか!? ドア開けろ!!」

 記録していた男性と一緒にドアを開けようとしているが微動だにしない。


結城(ゆうき)!! お前、何を考えて思ったんだ!?」

「!!?」



 俺か!?


 俺なのか…?


 つい、頭にきて溺れてみればいいとか思ってしまった。

 …が、今じゃないし、現実に起こって欲しいとか思ってはいない。




「結城! どうにかしろ!!」

「…わからない……」


 どうすればいいか教えて欲しいのは、俺の方だ。

 そんなに広い部屋でもない。

 もう腰まで濡れている。

 天井に助かりそうな出口も見当たらない。

 天井までいっぱいになれば…。



 窒息してしまう!



「これで分かっただろう? 結城! 危険犯罪者だと。 お前は二人も溺死で殺してしまうんだよ」


「!!」


 そんなつもりじゃない!

 止められるのなら、今すぐにでも止める。



 止められないんだ!!



 どうすればいいんだ!?


 

 誰か!?



 助けて!!




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