不夜城
「わあ…本当に街がちゃんと輝いてる!」
フェルとエルの主導で、宮廷魔術師総掛かりで行われた国家プロジェクトはわずか数週間で完成された。
夜の街を照らす魔道式街灯のおかげで、城から見下ろした街は不夜城と化している。
夜になれば静かだったはずの街が、今では魔道式街灯のおかげでわいわいと盛り上がっていた。
魔道式街灯の技術は、このナーロッパ世界の歴史を塗り替えていた。
「これなら徹夜で作業しなきゃいけない職人さんたちが暗闇の中目をしぱしぱさせることもないし、夜は暗くて何も出来なくて暇で寝るしかない人たちも寝る前にちょっとは遊べるようになったかな」
そんな感慨深く街を見下ろす私の頭を、フェルはわしわしと撫でる。
「ふん、相変わらず甘いことだ。その臣民想いなところこそ我が妃に相応しいとはいえ…その甘さが、お前を為政者として妹より劣ると誤認させているのだぞ」
そう言いながら、フェルの手つきは優しい。
「まあまあ、フェル。その出来の悪さがミシェルの可愛いところだよ。その甘さが臣民を救い、果ては我が国の夜間の経済まで活発にしている。治安も良くなったしね。おかげで臣民たちの、フェルやミミへの評判も鰻登りだよ。ミミ、さすがだね」
そんなに両手放しで褒められると照れてしまう。
頬を染める私に、フェルもエルも楽しそうに笑っていた。
「出来の悪い姉」でしかなかった私は、その甘さから国を豊かにする「最高の賢妃」としていつのまにやら臣民たちにも認められていたのだった。
「ねえねえ、フェル、エル。私役に立った?」
「存分にな。ミミの思いつきのおかげでどれだけ治安が良くなり、経済が潤ったと思っている?褒めてやる」
「そうだね。またわがままを聞いてあげてもお釣りが来るくらい儲かっているし…治安も良くなって、夜警たちも喜んでいるんだ。ありがとう、ミミ」
エルも嬉しそうに私の髪を梳く。
「またわがまま聞いてくれるの!?じゃあおねだり!何故かこの世界では「毒」だと思われてる、ピーマン!そのレシピをいくつか書くから、しばらく私のご飯にそのお料理出して欲しいな」
目をキラキラさせてそう願う私に、フェルとエルは目を見張る。
「は?あの不吉な緑の毒を食べるだと?」
「だから毒じゃないんだって!勘違いなの!多分苦いからそう思われちゃったんだと思うんだけど…」
「でも、自分から毒味役みたいなことしなくても…」
「ううん!あのね、料理に使うとすごく美味しいの!それにね、美容効果もあるんだよ!だから毒味とかじゃなくて好きで食べるの!お願い!」
私の必死なお願いに、フェルとエルは顔を見合わせた。




