街灯
「懐中電灯はこう、筒から光が出るやつで、ランタンはこう、中に光源が入ってる透明の箱で、置いておくと明るいし持ち運びも出来るの!街灯はこう、背が高くてね、上から光源で照らしてくれるんだよ」
「…あー、なんとなくイメージは出来たかな。フェルは?」
「ミミの稚拙な説明でも、イメージはついた。そのくらいなら魔術師に依頼すればすぐ作れるだろう。従来の光より明るくさせればいいのだな?」
「そう!でね、魔道灯の代わりに魔道式街灯を夜の街に等間隔で並べてよ!魔道灯よりもっと近く近くに等間隔で置くんだよ?そうするとね、夜の街が明るくなるんだ!治安も暗くないから良くなるよ!それとね、夜でも明るいから経済も活発になるよ、みんなお外安心して出れるから!あ、ランタンとか懐中電灯は夜警さんに渡してね!あ、いや街灯があれば要らない…?ううん、路地裏に入ることもあるからやっぱり持たせてあげて!」
私としては「暗いの怖いし夜でも明るい方が楽しいから」というただのわがままだったのだが。
しかし、私のその説明を聞いたフェルとエルの目が鋭くなる。
「ミミ、それはとても良い提案だね。もう少し詳しく聞いても良いかな?」
言葉は優しい。
しかし「早く全容を聞きたい」「この子の頭の中にはどんな夜景があるのか」と焦れるような気持ちが声に表れていた。
これには私もびっくりだ。
皇帝とその補佐官の頭には、私の言った「治安が良くなる」「夜でも明るいから経済も活発になる」「夜警に光源を持たせる」と言った言葉がぐるぐる回る。
(…実に、魅力的な提案だ)
二人がそう思うのが、私にすら手に取るようにわかった。
私を甘やかすばかりの優しい従兄と乳兄弟の顔から、一瞬で皇帝と補佐官な顔になるフェルとエルに気圧されつつも私は口を開く。
「ええっと、詳しく説明したら叶えてくれるの?」
「ふはははは!そのくらいお安い御用だ!いいだろう、その「ガイトウ」とやらの価値をすべて語り尽くすがいい!全て叶えてやろう!」
「わーい!フェルもエルも大好きー!」
こうして私のわがままは、何故か天才二人による国家プロジェクトになっていくのだった。
私は気付かなかったのだが、この時からフェルとエルは私に対して「出来損ないの汚名を着せられただけの天才」「神童と呼ばれていた頃のミミが戻ってきた」と期待され出していたらしい。
いや本当に、このわがままも前世の現代日本の知識の賜物なので私が天才なわけではないのだが…そんなことは知らない二人にとっては、それだけ画期的な提案だったのだ。
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