現状の整理と婚約して初のわがまま
私はミシェル・モニク・ボヌール。
ボヌール皇国のお姫様。
妹が優秀すぎて、全部嫌になって従兄のところに逆プロポーズしたわがまま姫。
前世、天涯孤独な限界社畜OLだった記憶を持つ。
そんな私から逆プロポーズを受け、後日祖国のボヌール皇国と正式な書類を交わして私を婚約者にしてくれた私にだけ「だだ甘」な従兄はリュミエール帝国の皇帝であるフェルナン・グウェナエル・リュミエール。
そのフェルの乳兄弟で補佐官を務める、フェルと同じく私にだけ「だだ甘」な侯爵家の次男はエルネスト・ドナ・フルール。
二人とも私にだだ甘いので、大人しく甘やかしてもらっている。
祖国のボヌール皇国の妹ナディア・ニノン・ボヌールは、私が国を出てフェルと婚約したことで国内の有力貴族の次男と婚約して…今はとても充実して幸せらしい。
両親も私が出て行って却ってホッとしているようだ。
ちょっと悲しい。
でもそのホッとしてには、私に対してフェルとエルがだだ甘いのを知っているからというのもあるのでまあいいだろう。
「んふふー!美味しい、美味しすぎるよフェル、エル!」
「ミミは本当に美味しそうに食べるよね」
「良い、もっと食べるが良い」
フェルとエルが用意してくれたスイーツに舌鼓をうつ私。
リュミエール帝国に転がり込んでから、ずっとこの調子で甘やかされてばかりだ。
実家では「妹より劣る姉」だった私も、ここではただの「とにかく可愛い可愛い従妹」扱いだ。
ただしなにも期待されていなくて、ただ大切だから大切にされてるだけ。
私の出来の悪さも、フェルとエルが自分たちでカバーしてあげればいいとさえ思ってくれている。
それをいいことに、私はちょっとしたわがままを言うことにした。
いや、規模を考えるとちょっとどころの騒ぎではないが。
「ねえフェル。この世界ってさ、夜の灯りは蝋燭とか松明くらいしかないよね?街灯とかないじゃん」
「ん?ガイトウ…?なんだそれは。夜の街を照らす据え置きの魔道灯のことか?必要であれば魔術師たちに灯させるが?」
フェルは急に何だとクエスチョンマークを頭上に浮かべ、エルは「またミミのわがままかな?」と興味深そうにこちらを見てくる。
「ならさあ、魔道式懐中電灯や魔道式ランタン、魔道式街灯を作ってよ!魔道式ならすごく明るくなりそうだし!」
「だからなんだそれは」
私のおねだりを叶えてくれる気はあるらしいが、なんのことを言ってるかわからない様子のフェル。
この世界の夜は暗い。
夜更かしして遊びたくても、暗くて蝋燭だけでは心許ないのだ。
だからこのおねだりは絶対叶えてもらう。




