逆プロポーズしてやるわよ!
「貴様はどうしてそう、妹より劣るのだ」
「この子に国を継がせるのは心配だわ…」
前世は天涯孤独な限界社畜OLだった私。
今世はナーロッパな世界の大国にお姫様として生まれて、勝ち組人生だと思っていた。
でも現実は非情だ。
幼い頃は現代日本の知識(義務教育のおかげで培ったものと、ブラック企業戦士として培ったもの)を駆使して神童とさえ呼ばれた。
でも、後に生まれた妹がそんな私以上に優秀だったのだ!
妹は最初からなんでも出来るわけじゃない。
でも教えられたことはスポンジみたいにスルスル吸収して完璧になっていく。
一方で私は、前世の記憶という貯蓄はあるが物覚えが悪い。
結果的に、今では妹に追い抜かされていた。
特に国をどう動かしていくかとかそういう今世ならではの求められる知識には対応できない。
これは確かに、大国を治めるとしたら大問題だ。
両親の失望もわかる。
でも…でも、いくらなんでも不憫な扱い過ぎやしないか!?
最初は神童と持ち上げて、最後は妹と比較されて出来ない子扱いなんて!
私は神童扱いされてた頃、妹が悪く言われたら庇ってあげてたのに…妹は今私を庇ってくれることもないし…。
しかも、その姉妹間格差のせいで私にも妹にも未だ婚約者が決まっていない。
何故なら国を継がせる方には国内の有力貴族の次男との婚約を、継がない方には母の祖国の王家…つまり従兄との婚約をさせるつもりらしいからだ。
「だったらこんな出来損ないの娘、こっちからさっさと出てってやるわよ!」
ある日ついに我慢の限界を迎えた私は、身一つで家出のように馬車を走らせて母の祖国にやってきた。
急に何の連絡もなく現れた私に何事かと目を丸くする従兄とその乳兄弟。
「私が嫁ぐから!」
それは逆プロポーズ。
あまりにも破天荒すぎるその行動に、だけど私の性格を知り尽くしている従兄とその乳兄弟はそういうことかとむしろ納得した様子だ。
いつかこうなるだろう。
そう予測していたのかもしれない。
私のわがままも、頭が足りないところも、従兄への甘えも全てこの男たちは知っていた。
「まあ良い。ゆっくりしていけ、嫁になる気があるなら貰ってやろう」
「君の実家は君の価値が分かってないようだから、うちに来て正解だよ」
「ありがとう二人ともぉ…!」
涙目で従兄に抱きつくと、優しく抱き止めてくれる。
そんな従兄はその後すぐに、急に私がいなくなってパニクる実家に連絡してくれた。
連絡を受けた実家は「ならそちらとの婚約を認めよう。正式な書類は後日必ず。これで優秀な妹を遠慮なく後継者にできる」と却ってホッとしていたらしい。
一方で私は。
「ああ、幸せすぎる…」
私にだけ「だだ甘い」従兄とその乳兄弟に甘やかされ、穏やかな日々を送り始めていた。




