第三十三話 「新たなる攻略対象、三人目登場」
※本作はオリジナル作品です。
※BLゲーム世界が舞台ですが、女性主人公視点で進みます。
※次回、更新は未定です。
この目つきの悪さと、癖のある口調。
そして——あからさまにクズ男感を漂わせるこの男こそ、三人目の攻略対象・瀬屑 政宗である。
ああ見えて、彼は御伽学園の生徒会長だ。
この学園では、生徒会選挙も厳粛なルールのもと執り行われる。
その頂点に立てるということは、並大抵の人間ではないという証でもあった。
そして……
私の知る物語では、瀬屑家はこの国の裏稼業を牛耳り、海外にも太い繋がりを持つ一族。
四大財閥ですら、雑に扱えない相手。
それが、瀬屑家である。
彼は、どのルートでも非常に危険であり——
ハッピーエンドであろうと、バッドエンドであろうと、必ず雅ちゃんと結婚する運命にある男だ。
しかし。
何故そこまで雅ちゃんに執着しているのか……その理由は謎のまま。
公式でも、一切明かされていない。
それにもかかわらず。
彼は白水に負けず劣らず、前世では圧倒的人気を誇っていた。
それどころか——
彼と雅ちゃんの同人誌は世に数多く出回り、
ゲームを知らない者ですら、この二人の組み合わせだけは知っている。
そんなレベルだった。
この二人を推す者たちは数多く存在し、支持率も非常に高い。
もはや、
うゆくんと付き合ったのは野くんへの当てつけだったのでは、と囁かれるほどに。
「なんや、雅はん。
えらい冷たいなぁ……」
「………」
雅ちゃんは、本気で嫌がっている。
だが、この男。
それを理解した上で、わざと絡んでいる。
たちが悪い。
さすが攻略対象である。
顔面偏差値と引き換えに、性根を置いてきたタイプだ。
「私にはちゃんと婚約者がおります。
あなたと婚約するはずがないでしょう!?」
雅ちゃんは怯えながらも、なんとか言い返した。
「今は、な」
けれど彼は、含みのある笑みを浮かべてそう返した。
そして——こちらを、ちらりと見る。
「あんた、お連れさんか?」
「……ええ」
「ほな、自分とも友達やなぁ」
にやりと口角を上げる。
「断る理由、あらへんやろ?」
疑う余地もないほどの満面の笑みで、逃げ道を塞がれる。
彼が一歩、前に出た瞬間——
「彼女は関係ありませんわ」
「雅ちゃん……」
少し震えながらも、雅ちゃんは小声で私に耳打ちした。
「彼は相当、危険な男です。
あなたは、なるべく関わらない方がいいですわ」
私に何を話しているのか理解しているかのように、
不穏な笑みを浮かべたまま彼は——
また一歩、雅ちゃんへ近づく。
「いやぁ、怒った顔も可愛らしゅうてええけど、堪忍してぇな」
次の瞬間。
すっと笑みが消える。
何事もなかったかのような真顔だった。
「まぁ、ええわ。
また近いうち、顔合わせることになるやろ」
「……ほな、またなぁ」
後ろ姿を見せたまま手を振り、その背中は徐々に見えなくなった。
雅ちゃんは、小さく息を吐いた。
張りつめていた肩が、ようやく緩んだのが分かる。
「……大丈夫?」
私がそう声をかけると、
雅ちゃんは少しだけ黙り込み、やがてぽつりと呟いた。
「……最悪ですわ」
いつもの強気な声音ではない。
本気で、そう思っている声だった。
「……鈴乃」
珍しく、真剣な声だった。
「今後、もし彼に話しかけられても……絶対に一人で相手をしては駄目ですわ」
その言葉には、冗談など一切許さない強さがあった。
私は思わず、彼が消えていった方向を見る。
——なるほど。
これは、想像以上に厄介……いや、危険な攻略対象かもしれない。
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危険な香りのする方言男子好きですね☺︎




