⁑リューイの居ない世界(4)
そして…その日、その時間が迫ってきた。
リカルドによる編成の元…カイト、レオ、ジョシュア…そしてルイスとヒューの5人が、外に出る事になった。
「配置を教えてくれ」
ウィルフリードが、リカルドに言った。
「こんな感じでお願いします」
いつものヘッドホン的な機械を装着したリカルドは、ウィルフリードに向かって、両手を翳した。
「よし…分かった」
彼は、格納庫に集まった戦闘部隊の面々に向かって続けた。
「皆、準備はいいか?」
「はい!」
「いつでも飛ばしてください」
「くれぐれも気を付けて…頼んだぞ」
「了解!」
そしてウィルフリードは、そこに居た全員を…一気にそれぞれの持ち場に移動させた。
「流石ですねー」
リカルドは、ふっと溜息をつきながら呟いた。
「見えてきました!」
「…っ」
中に残っていたメンバーの間に、緊張が走った。
「近付いて来たぞ!」
リカルドは、戦闘部隊員たちのイヤホンに向かって、冷静に言った。
ほどなく、相手のステーションが…外にいる5人の、肉眼でも見える距離に迫ってきた。
と、同時にステーションの外壁が…眩しく光る、薄い膜のようなもので覆われていった。
「守備は任せろ…そっちは攻撃に集中してくれ」
彼らのイヤホンに、そんな頼もしい台詞が響いた。
「よし…俺たちは、積極的に攻めていこう」
カイトが言った。
「了解」
「さっさと追い払ってやる…」
そのとき…
ついに相手のステーションからの攻撃が開始された。
幾つものレーザー光線のようなものが、矢のように彼らの上に振り降りてきた。
「行くぞ!」
そう叫んでカイトは、シュッと身を交わしながら、自分のソードを振り翳した。
他の4人もそれに続いた。
それぞれが、その光線をすり抜けて…相手のステーションに向けて、激しい攻撃を仕掛けていった。
もちろん、鉄壁の守備は…それらの光線を全て跳ね返し…こちらのステーションは、全くダメージを受ける事は無かった。
そのステーションも、なかなかの強力な守備力を備えていた。
そこまで大きくない、そのステーションの外側は…攻撃を受けるたびに、繰り返す爆発と共に…じわじわと緑色がかった光に包まれていくのだった。
「緑色だな…」
中でモニターを食い入るように見つめながら…リカルドが呟いた。
「なかなか崩れていかないな…仕方ない、応戦部隊も外に出るしかないか…」
と、そこへ…キーファーが、勢いよくエレベーターから飛び出してきた。
「リカルド!」
「な、何だ…キーファー、何しに来た?」
「テディに、手伝わさせてくれ」
「ええっ!?」
リカルドは…目を丸くして、キーファーを見た。
そんなに力の無い彼でも分かるくらいに…キーファーの身体から、青い炎がメラメラと湧き出ていた。
「…そ、それが…テディなのか…?」
「そうだ」
キーファーは、大きく頷いた。
どうして良いものか…リカルドがあたふたしている所へ、ウィルフリードが近付いてきた。
「キーファー」
「頼む、ウィルフリード…俺を上に上げてくれ」
「…」
ウィルフリードは、キーファーに向かって、大きく手を振り翳した。
次の瞬間…
キーファーは、戦闘部隊の制服に、身を包まれた。
「…!!」
「強力な守備力を装備させた…ただ、あまり長い時間は持たない」
「ありがとう、感謝する…」
更にウィルフリードは…その手にシュッと、ソードを取り出した。
「…それって…」
それを見て、リカルドが目を丸くした。
「リューイのじゃん!」
「…」
ウィルフリードは頷いた。
「リューイの中のテディも、コレを使い慣れている筈だからな…」
彼はそれを、キーファーに手渡しながら続けた。
「あとはテディが勝手に動いてくれるだろう」
「わ、わかった…」
「くれぐれも気を付けろよー」
リカルドが、ものすごく心配そうな表情で、キーファーの肩を叩いた。
「ああ…」
そしてウィルフリードは…
キーファーを、カイト達のいる上に飛ばした。
「ほ…本当に…大丈夫なのか?」
リカルドは、不安そうにウィルフリードに言った。
「…」
ウィルフリードは、黙ってモニターを見つめた。
「…キーファー!?」
「何でキーファーさんが!?」
上の皆は、そりゃあ驚いた。
青い炎に包まれたキーファーが、覚悟を決めた表情で言った。
「俺…いや、テディが応戦する」
「…!」
と、同時に…上の皆のイヤホンに、リカルドから、その旨の連絡が入った。
カイトは、ニヤッと笑って言った。
「何だかよく分からんが…足手纏いになるなよ」
「了解!」
そして、キーファー…もとい「キーファーの身体を借りたテディ」を加えての…激しい攻撃が続いていった。
ほどなく…大きな爆発音とともに…
緑色の光が、眩しいくらに、その暗闇を照らした。
モニターを見つめていたウィルフリードとリカルドは、ホッと安堵の溜息をついた。




