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ロイロの日常  作者: 寸劇
第一章 変化のない 春
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黒猫と少女 その五

カフェには、雰囲気がマッチしているブルースが

流れる。この曲が何か知ってるかと尋ねると、

多分 B.B.キングでは?との事。

カフェのオーナーに、俺は、シーフードパスタを。クロエ嬢は、ストロベリーパフェを頼んだ。

結構空いているが、ここは昼時を少し過ぎたあたりによく、地域の集まり場として使われるらしい

だからか頼んでからあまり待たずに運ばれて来た。


「ん!このパスタ超うめぇ!」

シーフードパスタには、アサリ・イカ・ホタテに

サッパリとした味付け。結構美味しいしもう一度

食べに来たい。

「ねぇ これ食べない?」

「む?」

目の前に差し出されたスプーンに乗ったパフェの

クリーム。そして苺。

「食べていいのか?」

「勿論、拒否権は無いのよ。さあ、早く。」

さらに前に突き出される、スプーン。早く食べろと言わなくてもわかる表情。女王かよ。

「仕方ないなぁ、苺は嫌いじゃないからな。」

ぱくっ。口に広がる濃厚なクリーム。甘酸っぱい苺と とても、マッチしている。

「うめぇ…何だよ、やっぱまた今度来るわ。」

「私も来てあげるわよ?また呼んでちょうだい。」

それは、俺に払えと言っているのだろうか。

いや、今考えてもしょうがない。

「ああ 分かってるよ。」

「流石ね」

「なあ、俺が気を失った後 何があったんだ?」

カランと音を立てて、パフェの容器にスプーンを

放り投げるように置く。

「…あの猫は―」


「あにゃ?もしや、悪魔が気づいたんかにゃ?随分と遅いことにゃ。きっと 今は離れてるにゃね。この世界の力が強いから、本人に影響を与える位しか力を発揮できなかったわけかにゃ?」

悪い笑なのだろうか、口元がにやけている。

「て事は、今は結構消耗しているだろうにゃ」

下手したら殺されるのを覚悟して言った。

変な、ドロっとした感じの汗ばかりかいている。

「あの、私達そろそろ帰っていいかしら?」

「むぅ、仕方ない。もう少し話を聞きたかったけど、変に引き止めておいてバレても嫌にゃ。いや、バレてるからこんな感じなんだろうけどにゃ。」

…!意外な答えに変な汗もだいぶ落ち着いてきた。

「…最後に一ついいかしら?」

「何にゃ?」

一呼吸置いてから、質問する。それは、一番重要な質問じゃない。

「あんたは、何故ここに連れてきたの?」

これは、私の仮説が正しかったのかを確かめるための質問。

「うーん そりゃ変に話しかけてあの悪魔に見つかるのを防ぐのも一つ。そして、ここは私の世界。だからすべて思い通りに設定出来るにゃ。」

夕日が、もう顔を覗かせられないほど沈みゆく。

「でも、あの悪魔。確かに遅いけど予想外にゃ。もう少し伸ばしてくれればにゃあ…」

愚痴を吐いてスッキリした顔でこちらを向く。

「でも、あんたの世界なんでしょ?そんな位、大丈夫なんじゃ?」

「これは仮の姿で力が出ないし、この世界じゃ、私の力が強すぎて下手したらバレるにゃ」

「…そう。じゃあ帰らせてもらうわ。」

「あと、予想外がもう一つ。」

あっという間に朝が来た。夜は本当に短い。

ここでの早いは、ある意味時の流れが早いという事。

「あんたらが、まさか私に関係あるとは。無かったら連れてきた時点で殺してたにゃ。」

多分この猫は、また現れる。そして、私たちの知らないことを告げていく。だから次は、真相を絶対に知ろう。

「ほらこいつも連れていけ。私はずっとここにいるにゃ。聞きたいことがあれば来い。」

「どうも。」

「おっと。ただし私の事は誰にも言うにゃ。」

分かってるわ。そんなくらい。

本気で殺されるだろうから。


「…で、あの猫は殺されたくないから私達を素直に返したみたい。ただ、ごめんなさい。結局真相は掴めなかったわ。」

「いいよ。ありがとな、俺のために」

お冷としてか出されていた水の氷は、ほぼ形を残していなかった。

「さて、帰りましょうか。あと、勘定よろしくね。」

…そうだった。まあここは、男だしお礼も兼ねて払うのが普通だ。

財布を取り出してみて 気づいた。

中身は雀の涙よろしく、無かったんだ。

今日は色々と散々だ。本当に。

そのことが判明した途端 クロエ嬢の顔は曇った。

いや、分かりやすすぎるだろ。

「ごめんなさい。」

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