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ロイロの日常  作者: 寸劇
第一章 変化のない 春
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黒橡の探し物 その2

「何やってんのよ、ショウ、エイン。」

「話していただけだよ。男二人ですることなんて遊びとお喋りくらいだ。」

興味ないわ とでも言いたげな表情で自分の机に戻って行った。

「なぁ、クロエ嬢。そっちは何で戻ってきたんだ?」

クロエ嬢は先程クラスメイトがほぼ全員出て行った時に、友達と喋りながら同じく、出ていったはずなのだ。

「忘れ物よ。でも、」

クロエ嬢は何かを言いかけて止まった。

「どうしたんだ?クロエ嬢。見つからないのか?」

エインが尋ねる。俺も少し表情を見たが、顔には少しばかりの焦りが見えた。

「そうよ、無いのよ、おかしいわ、ええ、おかしい」

「なぁに、落としただけだろ?さすが生徒会長は物を落とした経験が少ないのかぁ?」

そうだ、物を落とすのは誰でもあるだろ。なのに、ここまでおかしい、おかしいと連呼されるとこっちがおかしいのかと思えてくる。

「確かにさっき見た時にはあったのよ…」

机の中を見直して、サブバッグのチャックを開けて覗き込む。その行動を何度か繰り返していた。

「あーショウ、手伝ってやれよ…俺今日部活あるからさ。お前今日はないだろ?」

小声で話しかけてきた。耳がくすぐったい…。

「んっ、別にいいけどよ。あの人がOKするか?プライドの塊だぜ。ありゃ」

「アピール、だぜ。」

「何のだよ。」

まだ忘れ物捜索は続いていた。まあ、女子の困った顔を見れば良心が痛むのが俺だからな。

「クロエ嬢、差し支えなければ放課後、一緒に探すか?」

呆れた顔でこちら見てきた。少し考えていたのかまをあけてから

「よろしく頼むわ。」

とだけ返事を返した。

「ショウ、頑張ってやれよ。」


散っていたクラスメイトは、チャイムの鳴る本当に少し前に帰ってきた。

皆何かを見に行っていたのか、凄かったと言っていた。

何を見に行ったんだ?と前に座っていたやつに聞いたら、転入生と言っていた。

変な時期に来るもんなんだなと思った。3年の春に来るなんて相当な変人だ。

チャイムが鳴ってから3分後、先生が来た。6校時目は数学だった。

全くわからない授業ほど、つまらないものは無い。

だからこそ、窓側の席という特権を使い、外を眺めていた。

「青鈍、ここの問に答えろ。」

突如当てられて、答えられない俺に先生は

「皆、外ばかり見ているとこうなるぞ!」

「…はぁ。」

俺がいいお手本なのだろう。お手本を見せるために当てたのだろう。確かに外を見ていた俺も悪いけど、そこまで言うのも何か、悪い気がする。

そのまま授業は続いていく。淡々と、教科書通りに

進む授業だからつまらない。勿論、持論だ。

桜は一時間前よりも寂しくなっていた…気がする。

いや、多分、気のせいではなく、絶対だ。

「これで数学を終わるぞー。号令!」

日直の合図に合わせ全員が立つ。礼をして、着席。


「掃除だからな。しっかり、綺麗になるように行うのだぞ。」

各々の掃除場所に向かっていく姿を見ながら俺は、教室に残っていた。正直、教室掃除ほど嫌いな掃除場所はない。

時々、ちゃんとしてる奴もいるけど そんなの珍しくなってきた。先生も、ろくに見に来ないし。

手を抜いて掃除をしていれば隅にはホコリが溜まるもの。そんなの、見える所だけ綺麗にしておけば、世間の評価は高いのだ。

掃除も終わり、帰りの会も終われば 部活動の時間に入る。俺の所は今日、顧問が出張のため休みなので、探し物を探す予定だ。

始まりを教えるチャイムが鳴る。

先生や委員会からの連絡が大半を占めている時間だ。

「うし…頑張るか」

少し呟いただけなのに、後ろの席のエインには届いたようで

「やる気だねぇ。ショウ、好きなのかい?クロエ嬢のこと」

また恋バナに繋げてくる。やっぱ高校生だからな。

別に何でもないけど少し嫌そうな顔をして返す。

「んなわけねーだろ。少し優しく接したからってよぉ好きが理由じゃねーよ。暇なだけだし」

嫌な顔で返したからか、彼女を哀れむ目で

「へぇー クロエ嬢が可哀想だねぇ。」

「…そうか??」


放課後の忘れ物探しは、忘れらないものとなるのだった。


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