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ロイロの日常  作者: 寸劇
第二章 いつも通りの 夏
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幽霊と少女 その六

「くそっ!またこんな事になんのか!」

「ショウ…怖い…や…」

ハリーは俺の服を引っ張る。だんだん強くなっていく。駄々をこねる子供みたいだ。

「大丈夫だから…落ち着いてくれ」

幽霊は、近づいてくる。不気味な容姿と地下室の雰囲気はマッチしていて恐怖を、引き立てているのだ。

そのせいか、先程から震えが止まらない。地下室はたしかに寒いが幽霊が現れてから、さらに寒くなった気がする。

「あぁあぁぁぁぁあ」

容姿にあった呻き声をあげる。

突き出した左腕からは、血が滴り落ちている。

ぴちょぴちょと真っ暗な世界の床に、落ちる。

「ひぃっ。」

「落ち着け、静かにするんだ…」

こんな台詞を言っているけど、解決策も対策も何にも考えついてない。

「あああああ?!」

気持ち悪い…止めてくれ。

「いやあああ…」

ハリーは 頭を抱え、その場にしゃがみこんでしまった。長い髪が、床に触れてしまっている。


その時、一瞬の、強い頭痛が襲う。

あの時、あの空間で起きた、あの頭痛が また。

何が、どうして、どうやって、奮い立たせたかは知らない。けど 逃げようって思えた。

「ハリー…逃げよう、今はそれが最善の策だ…」

相手の事を全く知らないあたりで挑むのは 自ら、死を選んでいるようなもんだ。

「…うん!」

もう一度、懐中電灯を強く握りしめ 出口に向かって走り出す。

そこまで大きい部屋じゃないはずなのに、全く終わりが見えない。暗いからだろうか?いいや、違う。

「何でっ…! 馬鹿にしてるのっ…私のこと!!」

「多分、両方 を…だ。」

幽霊はゆっくりながらも、こちらに近づいてくる。

依然、扉は見つからない。こんなに壁に向かって光を当ててるのに。

何で、何で…何で!?ああ、こんがらがってきた。

「あ……ショウ。消して、それ!」

「分かった、消そう。」

外に逃げるのではなくて、中で逃げようってか。

多分あいつは光に反応している。

こんな暗闇じゃ、幽霊でも無理なのだろうか。

肝試しとかも、光出しながら歩くからな。そのせいで幽霊に会うんじゃなかろうか。見えなくても近づいているかもしれないし。

俺も猫みたいに暗闇でも良く見えればなぁ…なんて

近くの棚の影に隠れる。棚には珈琲豆の袋があった。

その他にも置いてあるが、よく見えなかった。

「よし、じゃあ何とか巻こうか。どうする?」

静かに話しかける。

今の体勢は、ほふく前進をする時みたいに、床に這いつくばっている。

「取り敢えずあいつが諦めるのを待とう」

「ああ。」

先程から、あの幽霊は何か…俺たちを探しているのか?声の大きさが先程から違うため俺たちから遠ざかったり、近づいたりを繰り返しているかのように思える。

それにハリーも気づいたのか、先程から強く俺の服の袖を引っ張るようになってきた。

「怖い…怖いよぅ…パパ…ママ…」

「ハリー…」

その時、すぐ後ろから 一生耳についてはなれないような、あの呻き声が、聞こえた。



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