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ロイロの日常  作者: 寸劇
第二章 いつも通りの 夏
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幽霊と少女 その五

地下室のドア横には懐中電灯があった。前々から準備されていたのだろう。付けてから中へ入る。

一年間放置され続けた地下室は、随分と埃が溜まっていてより一層、不気味に見えた。

「ここらへんで、幽霊を見たの。」

ハリーが指を指したところには、当然ながら誰もいない。ワインだとか、ジャガイモの袋だとかが、山積みにされていた。それくらいだ。

「あれ、ここ何かあったんだな。ここだけ埃が溜まってないし。」

「本当だ…何置いておいたんだっけ?」

一年前に動かしたと言うならある程度の、埃は溜まっているだろう。しかし、そこにはつい先程動かして、さらに掃除もおわしておきました。って感じの綺麗さ。


「ねぇ、こんな状況で聞くのもなんだけどクロエ嬢と付き合ってるの?」

「ほんと、なんでこの状況に聞くんだよ。」

「さあ、わかんないけど。聞いておきたいの。皆言ってたよ、前に二人で歩いてたのを見たって」

あれは…探し物だし、別に二人きり歩いていたからって、付き合っている証拠にはならないだろ。

「いやいや、見間違えだろ?俺はクロエ嬢と仲良くねーよ。(多分)」

「ふーん…ならいいんだよ。クロエ嬢狙っている男子が可哀想そうだもんねー?」

「どーゆう意味だ、それ。」

「そのまんまだよ。クロエ嬢狙っている男子は大勢いるし。さらにショウが選ばれたなんてなれば、皆、おこだよ。」

すいませんでしたね。俺が阿呆で、馬鹿で。

「まあ、余計顔もいいからイラつくんだろうねー。」

本当申し訳ない。俺は顔は父親似だ。

「んじゃあ、ハリーはもし俺がクロエ嬢と付き合ったら、怒る?怒らない?」

どんな質問しているんだろう俺。でも、全然とか言われるに決まって…

「うん、怒るよ。激おこだよ。」

懐中電灯だけじゃ、表情までは読みとれない。

「刑罰で言えば、極刑。拷問で言えば…ファラリスの雄牛かアイアンメイデン…かな?」

重すぎる!殺す勢いだ!!前者はわかりやすく言えば死刑だし、後者は焼け死ぬし、体に穴開くわ!

つまり、死ねと。

「はは…なーんてのは嘘。私は祝福するよ。ねー。」

「あはは、そっかそっか、それならいいんだよ。

別に。まだ死にたくないし。」

いやいや、本気の声色だったぞ。

ただ、そんな事ないだろ何があっても。


「まあまあ、ほら、他に何かないのか?」

「んーとね、あれ以降近づいてないからなー。」

強いて言うなら、怒りっぽくなった。らしい。

「気持ちの変化か。じゃあいいか、別に。」

「いいと思うよ?別に。」

あまり、重くない事態なのか?幽霊と会って気絶したのも、停電も、偶然なのか?

そういやブレーカーも見に行っていない気がするからなー。可能性も捨てきれないな。

「じゃあ、戻ろうか。別に何でもないし、ハリーは、今なんかあるか?」

霊感に頼っているわけじゃなく、本人の意思を尊重しているんだ。

「今は何も無いよ。付き合わせちゃってごめんね。色々と。」

「いいよ、こちらも色々としてもらったし。」

ただし、風呂のことは含めない。

「さて、戻ろうか。ハリー、気をつけて。」

「…」

「ハリー?どこ見てんだよ、変なものでも見えてんのかー?」

…!

ハリーの目線の先、古ぼけた棚の前。

俺が懐中電灯で照らしているのは、棚の下…そいつの足元だけ。

「何だ…こいつ。」

明らかに、明らかに…おかしい。

全体の輪郭が、ぼやけているし 良くある、顔が

ぼやけているやつ。そして、


そして、そいつの腕は左腕だけなかった。


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