幽霊と少女 その二
実家から徒歩五分位歩くそこがハリーの実家。
ハリーの家も両親は幼なじみらしく、実家はすぐ近くにある。今回は父親の実家の方。
母親は医師、父親は警官。恵まれた環境で育ち、
明るくいい子なのだ。俺もそう思うし、皆、口を揃えていい子だと言う。
「久しぶりに見たな…この家も。」
小さい頃は何度か遊びに来ていた。俺と妹。あとハリーと…あと、一人。最近あっていないからか顔がはっきり思い出せない。
ブルーベリーの木に薔薇の植えられた花壇。家の外壁は赤レンガで屋根はこげ茶。いつ見ても どこから見てもメルヘンチックな家だ。
チャイムを鳴らすと、すぐにドアが開いた。
「あー!いらっしゃい!どうぞどうぞー!」
「おじゃまします。」
軽い足取りで、リビングへ案内してくれた。
壁に飾られた花には枯れかけていた。どうやら、手入れが行き届いてないみたいだ。
「おい ハリー、ちゃんと最近掃除してんのか?」
ぎくっ という擬音が似合うような、表情。
「ううん、夏休み入ってからもバレーの試合とかで忙しくて…。」
さすが強豪女子バレー部。
「へー。すげーな、やっぱ。ハリーも頑張ってたしな。当たり前か。」
「そんな…。私は…役に立ってないよー。」
「いやいや、そんな事はないだろ。」
「そんな事あるよー!」
「ありだろ!?認めろよ!」
「いーやー!認めませーん!!」
幼稚に等しいだろうやりとりの末、急に馬鹿馬鹿しいと思い始めたので、止めておいた。
「なあ、この部屋暑いよ。」
「ははは。確かにそうだね。冷房いれるね。」
今までなぜ気が付かなかったのか?この暑さで。
暑さにやられてしまったのか?
「ねえ、いつまでいてくれるの?」
エアコンのリモコン…を探しながら、訪ねてくる。
「ん…ともう少しかな。母さん達も待ってるし。」
「そっか…あと、ごめん 見当たらないから窓開けるだけでいい?」
「ああ、その位別にいいよ。」
「ありがと。見かけによらず優しいよね。」
見かけによらず…か。自分では優しい人だとは思っていない。俺レベルで優しいなら、ほかの皆さんはなんだ。神様か?聖人か?
「褒めんなよ、恥ずかしい。」
「かっこいい!スポーツ万能!明るい!優しい!」
「やあーーーー!止めろぉ!」
「ははは!」
二度あることは三度あるというが…三度目はいつだろうか。 多分、近い気がする。
そんなこんなでも時間の経過は早い。もう夕方だ。
窓から見える庭に映る光景を眺めていたら、雨が降ってきた。
「夕立…か?どうしよう。結構激しいな。」
「…じゃあ、うちにいなよ。どうせすぐ止むし。」
「そうだな。じゃあ、お言葉に甘えて。」
「…うん。 早めの夕飯を作るね。その間に連絡。済ませておいて。」
「分かったよ。ありがとな。」
「いいの。 気にしないで。」
母さんに連絡を入れて、窓から外を見る。
どうせ近いし、ハリーの家だからかすぐに承諾してくれた。
キッチンで調理中のハリーに話しかける。
「いいってさ。 ごめんな、それに料理までご馳走してくれるなんて。」
「いいよ、全然。普通の男子だったら、止めるけど」
俺は普通じゃないのか。母さんも少数だっていってたからなあ…
「ふーん。やっぱ、そうなんかなー。」
一向に止む気配のない雨の音を聞きながら…俺は夕飯を待っていた。




