罪
加筆修正予定あり
度重なる体調不良で修正が遅くなっていましたが、速度を上げていきます
「ただの人間ね……」
一人呟き朔玖は目にも止まらぬ速さで佐々木の後ろに回りこみ蹴りを喰らわせようとするが、寸での所で受け止められてしまう。
「その早さは……!? 特徴は見当たらないが……キミも化け物になったのか?」
「さぁどうでしょうね……?」
「朔玖どいてろ!」
聖也がここぞとばかりに佐々木目掛けて思いっきり突っ込むが易々と避けられる。佐々木は息を吐き身体を払うと二人を見据えた。
「どっちにしろなりたてじゃ程度なら!」
佐々木は朔玖がしたように聖也の後ろに回りこみ力任せに蹴り飛ばす。激しい音を立てて壁にぶち当たると聖也は倒れこみ呻きを上げる
「せいやっ!」
「……余所見していいのかな?」
朔玖が聖也の方へ目を向けた瞬間、佐々木の手によって目に見えぬ何かに身体が絡めとられた。必死に抜け出そうともがくがその抵抗も虚しく身動きが徐々に取れなくなってきた。
「クソッ!」
「これでおしまいだね……」
佐々木は動けない朔玖の方から止めを刺そうとゆっくり近寄ってくる。
「キミも余所見してたら危ないよ?」
「!?」
真上から急に声がし、佐々木はすぐ後ろに飛ぶがその回避は間に合わず何者かに左足が切り落とされた。その身体に走る熱に顔が歪み大腿を押さえる。
「ぐぅ……足が……! その顔はもしかして……」
「いやぁ、この程度の攻撃で手傷を負うなんて教育がなってないね……ボクがいたときはもっと厳しかったよ?」
佐々木が目の前にいるにも関わらず遅れちゃってごめんねと二人に手を振っている。
「いたぞ! 侵入者と四十七号被験体だ!」
通路から更に様々な武器を持った人達が駆けつける。
「戻りなさい! この人には敵いません……この人は……一号被験体……村上孝助です!」
「そうそう……いのちはだいじにしないとね? まっ、もう遅いんだけどさ」
村上がそう吐き捨て離れたまま刀を振るうと男達の身体は崩れていき無残にもバラバラの肉片になった。
「うっぷ……」
「おいおい、マジかよ……」
凄惨な光景に吐き気を催し朔玖が口を押さえ胃液を吐き出した。同じくそれを見ていた聖也の顔面も蒼白で気分が悪そうだ。
「おっと、子どもにはちょっとグロ過ぎちゃったかな? ごめんごめん」
「……元は同じ人間でしょう? 貴方には情ってものがないんですか?」
佐々木が村上を睨むみながら構えるが、その手は震えている。
「同じ人間を殺し回ってるキミらがそんなこというのかい? 冗談は大概にしてくれよ」
村上は渇いた笑い声を上げて佐々木に近づくと腕を振り上げた。迫り来る凶刃を防ぐ術は見つからずその首を落とした……かのように見えた。しかし、佐々木の首は繋がっており傷一つ無い。
「危なかったな佐々木……」
「風野さん……ッ! この人は……」
「あぁ、わかってる……」
「やぁ、成勝! そろそろ来る頃だと思ってたよ」
「久しぶりだな……また悲鳴を上げに来たのか?」
「ふふふ……言ってくれるね! 後悔しても知らないよ?」
村上の姿が無数に増えていく。
「幻影か……」
風野がその内のいくつかを切り捨てると空気に溶けるかのように消えていく。そして、考えるようにして唸ると目を瞑った。
「敵の前で目を瞑るなんて愚かな行為をするね……そのまま死んじゃいなよ!」
全方位から斬撃が飛んでくるのを紙一重で避け続ける。
「……!? その調子でいつまで避けられるかな……?」
攻撃は徐々に苛烈さを増し、避け切れないのか血が舞う。
「弱い……弱すぎるよなりまさぁ! このままじゃすぐ死んじゃうよ?」
「姿を眩まさないと攻撃出来ない臆病者の分際で口だけは達者だな……」
「そんな安い挑発に乗ると思う? でも、カチンときたからまずはそこの片足の無い彼から死んでもらおうかな」
村上の幻影の群れから数人が佐々木に近づいていくのが見える。
「……そこだ!」
風野が声と共に自身の背後の何も無い空間に一太刀浴びせるとそこから血飛沫が舞った。
「そ……んな……ば……かな……!?」
切り裂かれた場所から村上の姿が現れるが、その腹は割け血が溢れ出ている。その様子からはとても生存は見込めない。それを目の当たりにした朔玖と聖也の未来が絶望に沈んでいった。
「やりましたね……!」
「ふんっ……調子に乗りすぎだ阿呆が!」
風野は刀に付いた血を払うと佐々木の元に向かっていくが、その半ばで身体から刃が生えた。
「ぐふっ……」
「調子に乗りすぎなのは一体どっちかな? あんな猿芝居引っかかるなんてバッカだねぇ! ……まぁ少しだけ焦ったけど」
「まだだ……まだ終わらんぞ!」
風野が突き刺さった刃を腹に力を入れて折り、村上に対して刀を振るう。
「……うっそ!? マジで化け物じゃん? 朔玖くん、聖也くん引くよ!」
村上は素早く聖也と朔玖の所まで下がると床を叩き壊し二人を連れて下へ降りた。
「あわよくば仕留められるかと思ったんだけど……全くやってらんないよ……あんな化け物」
村上が息を吐いて肩をすくめた。
「……村上さん?」
「なんだい朔玖くん? ……親しみを込めてコウくんって呼んでくれてもいいんだよ?」
「いや、呼ばないから!」
朔玖が思わず突っ込む。
「それでどの道を通って逃げるんだコウくん?」
「えっとね……やっぱりその呼び方キモいからやめてくれる? ほら、目の前のそれだよ?」
村上がエレベーターを指差して乗り込むと一階のボタンを押した。
「……どうしてかな? 嫌な予感がすごくする」
「……朔玖……お前もか」
敵の本拠地の中でエレベーターを乗った先の結末など誰にでも想像がつくのだろう。わかりきった未来に二人の顔は暗い。
「やっぱり階段を下っていくと疲れちゃうからねぇ? 二人とも顔色が悪いけどお腹でも壊した?」
「もしかして、下にいっぱい人が待ち構えてるんじゃないかなって思ったりして……」
「え? ……当然いるに決まってるじゃん? 何言ってるの?」
村上は不思議そうな顔で首を傾げている。
「「ですよねぇ……」」
答え合わせの結果で最悪の回答を得て溜息を吐く。死のカウントダウンをされている気分で電光板を眺めていると次第に数字は小さくなり、それが三を示した時に村上が唐突にドアを切り飛ばしエレベーターから降りた。
「何ぼけっとしてるの? ほらいくよ?」
Data
村上孝助(Mr.M)
Age 32
Blood O
Weapon 無銘&袖切
Capa Unknown
Speed 840




