望むもの
ECTの本社ビル内の渡り廊下を一人の女が靴音を響かせて歩いていく。女が第一研究所の前で立ち止まるとその扉を開いた。扉が開いた事に近くの研究員が気付き女に駆け寄ってくる。
「お疲れ様です久月常務! 研究の進み具合を確認しに来られたんですか?」
「ええ、そうね。今はどの辺りまで進んでいるの?」
研究員が他の研究員を呼びつけ資料を持ってこさせ麗華に手渡した。
「現在はこちらの資料の通りで……人体への影響を最小限に抑えられれば実用化に移せるかと」
「ようやく完成するのね……これも全て聖也くんの協力のおかげかしら」
「そうですね、彼が素直に我々に協力してくれた事も研究を大きく進めた要因の一つでしょう。そういえば、聖也くんに第二研究所のやつらが協力要請をしていましたが……」
「第二研究所……瀬戸博士がまた兵器を作ろうとしているのね。研究が遅れているという理由で聖也くんを引き渡さないようにしなさい」
「そうするつもりですが、会長も第二研究所を贔屓している現状では中々厳しいものがありますね」
麗華は何かを考え込み思い立ったように何処かへと電話を掛けた。
「もしもし久月だけど例の件について話し合いがしたいの」
『誰かと思えばECTのとこのお嬢さんか! 例の件っていうとあれでいいのかい?』
「ええ、明日の午前に時間は取れるかしら?」
『それはまた急だねぇ……まっ、いいだろう。そちらまでお出迎えは必要かい?』
「いえ、私がそちらの日本支社まで出向くわ」
『それなら気長に茶菓子でも用意して待っておこうかねぇ……』
「長居する気はないから気を遣わなくても結構よ。それじゃ要件は伝えたから切るわね」
「今のはエルグループの……?」
「会長の件は任せて貴方達は何も考えずに研究に励みなさい。私は仕事が残っているからそろそろ戻るわね」
麗華は自分のデスクまで戻りパソコンを起動してから首につけているペンダントのロケットを開ける。そこには一人の少女と麗華が仲が良さそうに手を繋いでる写真があった。
「凛……私が必ず救うわ」
そこに扉をノックをする音が聞こえてきた。
「久月常務、報告があります」
「入りなさい」
麗華がロケットを閉じて許可を出すと男が扉を開けて室内に入ってくる。
「失礼致します」
「それで何の報告かしら?」
「例の反応を調査した結果、富士付近にて刃核が複数確認出来ました」
「そうなのね、それで確保はもちろん出来たのよね?」
麗華の言葉に男は苦虫を潰したように顔を歪める。
「それが周囲に百を超える化け物が湧いていて近寄る事すら出来ませんでした……」
「それほどの数の化け物が何故……?まぁわかったわ、それなら風野と成瀬……それと鈴木を連れて確保しに行きなさい。それでも無理ならまた考えるわ」
「わかりました!では、失礼致しました」
男が出ていくと麗華はすぐに仕事に取り掛かった。
Data
久月麗華
166cm
45kg




