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義務

 あれからまた数日が経ち何も無い日々を朔玖が過ごしていると村上から呼び出され部屋へ向かった。

「それで要件って何なんだ? また聞きたいことがあるっていうなら……」

「いやいや、今回は違うよ? 紹介したい子がいてね……そろそろ来る頃かな」

「紹介したい子? 誰と会わせる気なんだ?」

 村上が時計を眺めてそう言うとノックする音が扉から聞こえてきた。

「おっ、来たね! 入っておいで」

「失礼します」

 凛とした美少女が部屋に入ってくる。髪をかき上げこちらを向くと朔玖と視線が重なる。その顔を見て朔玖は驚愕の表情を浮かべた。

「九条さん!? どうして九条さんが?」

「久しぶりね、天野くん。元気そうで何よりよ」

 動揺している朔玖とは違い九条は落ち着いて朔玖に挨拶をする。

「あんた、九条さんも巻き込んだのか!?」

「天野くんは誤解してる。元々私はこうに……村上さんに協力しているの」

 九条は朔玖の言葉を否定し村上の横に立つ。 

「でも、九条さんが何故村上に協力を?」

「それは……」

「女の子の秘密は聞くようなものじゃないよ? 人それぞれに事情があるんだからさ。今日雅ちゃんを呼んだのはもっと重要な案件があるからでね」

 混乱から覚めぬまま訝しげに朔玖が問うと九条は目を伏せて俯く。村上が九条をフォローしてそれ以上の詮索を避けるように話題を変える。

「これ以上に何があるって言うんだよ?」

「聞いてもECTに一人で乗り込むなんて真似はしないようにね」

「そんな犬死にするような事するわけないだろ? いいから話せよ」

 勿体つけて中々話を切り出さない村上に朔玖は少々苛立ちながら話すように促す。

「死んだと思ってたはずの聖也くんが一命を取り留めて生きている……もちろん確認も済んでいるよ」

「聖也が生きて、いる……? 聖也は死んでなかったんだ……よかっ、た……本当によかった」

 頭で反芻しながら言葉を理解すると瞳からは涙が溢れその場に泣き崩れる。しかし、同時に疑問が湧いてきて朔玖の頭の中をぐるぐると回り続ける。

「本当に生きているんだよな? どうして聖也を連れてきてないんだ? 動かせないほどの重傷を負ってるのか?」

「…………」

 朔玖の問い掛けに対して村上は無言で視線を逸らした。

「おい、何か答えろよ? 最後までちゃんと言えよ!」

「聖也くんはしっかりと回復したよ……()()()()()()

「人間として? 化け物から治ったのか?」

「そうだよ……もう聖也くんの心配をする必要はなくなったのかもね」

 何だか腑に落ちない言葉だが朔玖は一先ず安心して息を吐く。

「全く驚かすなよ……不安になるだろ? 村上?」

「ごめんごめん、少し考え事をしてたよ。まっ、これで朔玖くんも落ち着いて任務にあたれるなら喜ばしい限りだ。それと今後は雅ちゃんと一緒に行動する事もあるかもしれないから仲良くするようにね? 用件はそれで全部だから朔玖くんは先に帰っていいよ」

 はっと我に返り村上は何かを隠すように早口で話して朔玖を帰らせる。そんな村上を何かを訴えるような目で九条が見つめる。

「伝えなくてもいいの……?」

「仕方ないよ……ぎりぎりまで利用させてもらわないと彼女を救えないんだから」

「そうだね、お姉ちゃんを救うためなら……例え誰であっても利用しなくちゃ……」

 その想いは二人の心に暗いものを灯す。

「朔玖くんもいなくなったことだし本題に入ろうか、まずECTの動きはどうなってる?」

「第二研究所に不穏な動きがあるみたいだけどそこまでは私も入れなくて……内部の人間から聞いた話だと刃核(アルマアニマ)を使って何か新しい兵器を作ろうとしてるみたい」

「兵器か……数的有利を覆す何かを得ないと第三世代の開発が終わったとしてもこのままじゃ現状維持しか出来ないな。早いうちにもっと化け物を増やすか刃核(アルマアニマ)を大量に得るか」

「中途半端な戦力だと厳しいだろ。それに化け物を増やすのは私は反対だぞ?」

 横から急に反対意見が飛び込んでくると二人はそちらに視線を向けた。

「律ちゃんか、いつの間にきたの? 驚くからノックくらいしてくれない?」

「それは悪いな、第三世代の完成を早く伝えようとしてたら忘れちまってた」

 流すような軽い言葉の中で第三世代の完成をつげる律に村上は思わず立ち上がる。

「本当かい!? あと一ヶ月ほどは掛かると見越していたんだけど思ったよりかなり早いね」

「あぁ、偶然手に入れたものが刃核(アルマアニマ)に反応してな……そこから思い描いたように着々と進んでついさっき完成したからそのままこっちに来てやったんだよ」

 何故か律は頭を掻きながら視線を逸らす。

「経緯はどうでもいいよ。第三世代を宿す子を決めないと! 律ちゃんは第三世代のレポートを今日中に提出して、雅ちゃんにはECTの情報をまた仕入れてきてもらえると助かる」

「りょーかい、早速レポートを書いてくるな! 雅も気付かれないように注意しろよ?」

「大丈夫です。それじゃ私もECTの方へいくね考兄!」

「二人ともいってらっしゃい! さて、レポートが来る前に人選を終わらせないと……分析表で見ると即戦力になりうるのは町田と芳野(よしの)だけどなりたての子の方でも有望なのがいるか……朔玖くんかあの子に出来たらこんなに考える事もないのにな」

 資料の上側に載っている天野と()()の文字に目をやり溜息をついた。

Data

九条雅

Age 16

Blood AO

Weapon 白雷

Capa 240

Speed 500

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