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腹黒

「そろそろ帰ろうか」

「もう夜になっちゃうもんね」

「そうだね、長居し過ぎたかな」

 帰り道を夕日が照らしているが森の中は薄暗く何処からか鳥の鳴き声響いてくる。

「少しは息抜きになったか?」

「ええ、久々に普通の人を見て何だか落ち着きました」

「戦いばかりだったからな……普通の高校生にはきついか」

 神社の前に着くと入り口の前に村上が立っていた。

「おかえり二人共。意外と早かったね? てっきり朝帰りしてくるものだと思ってたのに……」

「なッ!? バカ言うな! 誰がこんな子どもと……」

「いやいやいや、何言ってるの!? 朝帰りだなんて」

 村上がからかうと二人は強く否定しながらもその顔は夕日のように赤く染まっている。

「結構お似合いだと思うんだけどね? あっ、そっか朔玖くんにはあの子がいたか」

 否定を受け村上は思い出したかのように爆弾を投下すると律の表情が変化していく。

「あの子って誰だ? 朔玖には彼女でもいるのか……?」

 平静を装っているが律の声は低くなっていて威圧感が増している。

「いや、彼女なんかいませんよ」

「ふーん、朔玖は可愛い顔してるから女にモテても不思議はねぇけどよ、腑抜けてたらぶっ殺すからな?」

 律の冷たい眼差しが突き刺さるがどうして怒っているのかわからずに朔玖は戸惑う。

「おっと、これは禁句だったかな」

「村上、あっちで詳しく聞かせろ! それとワンピースの件も許さねぇからな」

「いや、それ似合って……ごふっ」

 律は腹を殴り膝を崩させると村上の首根っこを掴んで森の中へ連れて行こうとする。

「朔玖くん、ボクが生きて帰ってこなかったらマシューの世話は任せたよ……」

「あっ、あぁ……」

 連れて行かれる村上を見過ごすものの朔玖は手で十字を切りその無事を祈った。

 律が森に少し入った所に村上を投げ捨てる。

「ここでいいか、それじゃ朔玖の女について聞かせてもらわねぇとな?」

「えー、どうしよっかな? ごめんなさい嘘です腹を殴ろうとしないで! えっと、朔玖くんの同級生に可愛い女の子がいてね。律ちゃんみたいに彼にお熱みたいでね」

 村上がふざけた態度を取ると律の拳は固く握られる。これはまずいと判断した村上はすぐに態度を翻し保身に走った。

「他には何かないのか? 隠し事してたらぶっ殺すぞ」

「いや、全くこれっぽちも嘘偽り無く話しているよ。ということでもう解放してくれてもいいんじゃないかな?」

 しかし、律の拳には更に力が篭められているように見える。

「隠し事がないならそれについてはもういい……あとはこの服を持ってきたことに対する怒りをお前にぶつけるだけだな」

「え? さっき一発殴ったじゃん? ちょ、まって」

 紫炎を纏った容赦のない一撃が村上に入るがその姿は揺らいで消える。

「ちっ、避けるんじゃねぇ!」

「いやいや、避けるに決まってるじゃん!? 流石にそれはきついよ」

 村上は止まない律の猛攻を避け続ける。

「そろそろ気は済んだ?」

「当たらないで気が済むわけねぇだろ……相変わらず嫌な動きだな」

「いや、ワンピースの事は悪かったよ。それでさ、ちょっと真面目な話があるから聞いてくれる?」

 手を合わせて謝りながらも村上は話を切り出そうとする。

「だから最初の一発はわざと喰らったのか?」

「あれバレてた? 我ながらいい演技だと思ったんだけど」

「お前にあの程度の攻撃が通じねぇって事くらいわかるに決まってんだろ……それで何の話だ?」

 律が言葉の先を求めると村上は一転して真剣な態度に変わる。

「朔玖くんの行動に怪しい所はなかった? 例えばどこかに連絡したり」

「はっ? 朔玖がECTと通じてるとでも言いたいのか!?」

 仲間を疑う言葉に律の怒りが露になる。

「いや、そうとは限らないけど一応念の為だよ。朔玖くんにはわからない所が多すぎてね……」

「朔玖は今まで化け物の事も知らなかったんだぞ? それにあいつは裏切るようなやつじゃない……はずだ」

 そう言いながらも律にははっきりとした確信が持てなかった。

「だと良いんだけどね。あまり待たせてもあれだから戻ろうか」

 村上が先に朔玖の下へと戻る。

「裏切るわけないよな? もし裏切ったら私がお前を……」

 律の眼にはあどけない少年の姿が映る。

「いやぁ、律ちゃんに殺されるかと思ったよ」

「そんな顔で言われても説得力ないんだけど……」

「いつまでふざけてんだ! こんなとこにいても寒いから中に入るぞ」

 隠れ家へと帰ると律はまた研究室に引き篭もり、村上の言葉を忘れるように研究に打ち込んでいった。


 村上は自身の部屋で誰かとチェスを打ちながら何かを考え込んでいる。

「もし朔玖くんが裏切ったら律ちゃんはどっちにつくんだろうね」

 村上が盤上のクイーンを手に持ちながらそう言った。

「律がどちらについても何も変わりませんよ」

 チェスの相手をしている戒人がそう答えると村上は悲しそうな顔で遠くを見つめた。

「そうだね、律ちゃんが敵に回ったらマシューを使って排除するだけだからね。ほら、チェックメイトだよ」

「ふぅ、相変わらず村上さんは強いですね。もし律が敵に回るなら戦力は増やしておいた方がいいですね」

 戒人が何の感情も見せずに淡々と言いのけると村上の表情が少し歪んだ。

「忠誠心があるのはいいけどキミのそういう所はボクはあまり好きじゃないな」

「仕事に私情を挟むなって良く言ってませんでした?」

「そんな事言ってたっけな……遠い昔過ぎて覚えてないなぁ。そろそろ寝るからもう帰っていいよ」

 過去の自分が一瞬脳裏によぎるがそれを消し去ると戒人を帰らせ村上は眠りについた。

Data

村上孝助

174cm

52kg

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