連戦
共鳴反応が強くなり後少し進んだら辿り着くかと思った矢先に目の前を弾丸が過ぎる。素早く周囲を確認すると横の木の陰から男女四人が姿を現した。
「ちっ、このタイミングで来やがったかッ! 朔玖、お前は先にいけ!ここは私と真浦で抑える」
律は咄嗟に身構え朔玖を先に行かせた。
「律か……姿を消したと思ったらやっぱり村上と一緒にいたんだな! 目的は刃核か……? 早めに片付けて少年の方を追うぞ!」
伊坂は後ろにいるものに指示を出し律を見据えながら銃剣を構える。
「いえ、伊坂さんは先に行ってください……こんなヤツら俺達で充分です!」
「本当にやれるんだな? ちっ……てめえら絶対に死ぬなよ?」
「おいおい、そんな簡単に通らせるわけないだろうがッ!」
「……刃核展開、行け私の子供達」
律は朔玖の下へ駆けていく伊坂を牽制しようとするが幼児ほどの大きさの四体の人形がそれを邪魔するように立ちはだかった。人形を生み出した当の本人は無表情で律を見つめていて何を考えているかは窺い知れない。
「なんだ? こんな玩具で私を足止めしたつもりか?」
「……ゲヴェール」
律が人形を無視して伊坂を追おうとすると人形が取り付けてあった拳銃を取り出して発砲する。横に受身を取り避けるとその弾丸は木をいくつも貫通しやがて止まった。
「ちっ、威力のある飛び道具か……ウザってぇな」
「……ハントグラナーデ」
回避した所に転がり落ちる鉄の塊を間一髪蹴り飛ばすと宙に舞い雷鳴が轟くような破裂音と共に爆発を起こす。
「あぶねぇな!」
「……カノーネ」
「下がってろ律!」
律が避ける間もなく人形の口から砲弾が放たれるが、真浦が律を庇い射線の前に立ち受け止める。周囲では木々が震え遅れてきた衝撃音が身を貫くような悲鳴をあげた。
「バカかてめぇはこんなもん見てからで十分に避けれるのに盾になりやがって……!」
「そろそろ喰らっとかないと熱くなれないからな! はっはっは!」
律は痛々しげな姿を見て顔を歪ませながら文句をつけるとそれを真浦は軽口で返した。
「余所見しておしゃべりとは随分と余裕だな」
真面目そうな眼鏡を掛けた青年が二人の舐めた態度に声を上げた。
「あん? てめぇら程度なんて余所見してるくらいが丁度良いんだよ」
「律……この男達は俺様が貰うぞ? 今ので滾ってきたものを出し尽くさないとな!」
律は余裕振って挑発するが真浦が律を静止して男達の前に出る。
「ふっ、図体だけのバカじゃ相手にもならない」
「確かにこんなとろそうなやつ俺一人だけでもいけそうだしな!」
「御託はいらんぞ? 俺様の熱いリビドーを受け果てるがいい!」
真浦はかかってこいと言わんばかりに両手を広げて男と対峙する。
「それなら私はこっちのお嬢ちゃんと遊ぶとするか! ちゃんと礼には礼で返してやらないとな!」
「……メッサー」
「銃弾すらかすりもしないのにナイフが当たるとでも思ってんのか?」
律が少女と人形達を見据えると人形がナイフを片手に目の前に躍り出る。それを軽々と避けると少女に近づいていく。
「……ブンカー」
「今度は穴掘りか? 餓鬼のお遊びに付き合ってるほど暇じゃないんでなッ!」
人形の内の一体が急に穴を掘り始めると律が少女に向かって駆け出す。
「……ハントグラナーデ」
「はっ、何処に投げてんだ? そんなとこに私はいねぇよ!」
律が迫り動じたのか手榴弾は空高く飛んでいく。それを見定め更に加速を増し少女を捕らえられる距離まで僅かとなると眩い光で視界真っ白になった。
「……パンツァーファウスト」
音で気配を読みながら霞んでいる視界で動くものを捉えるがそれは大型の銃器をこちらに向けている。まずいと思った瞬間には、それは律に着弾していた。
「くっ、やりやがったな!」
律は血が流れ出す左手を押さえながら少女を憎々しげに睨みつけた。
「お仲間心配じゃないのか? やっぱり身も心も化け物なんだな!」
「何を言ってるんだ? 俺様より強い律があんな子どもにやられるはずがないだろう」
「減らず口もそこまでにしといた方がいいんじゃないか? 今からお前は俺達に嬲られ殺されるのだから……」
「お前ら程度がやれるものならやってみろ」
「化け物如きが見下した目で見てるんじゃねえよッ!」
髪を刈り上げた男がナイフを片手に真浦に突っ込む。それを気にも留めないように棒立ちでいると真浦の胸にナイフが深く突き刺さったかのように見えた。
「バカが舐めているからそんな目に遭うんだぜ?」
しかし、微動だにしない真浦をいぶかしんですぐに男が距離を取って確認するもどこにも傷は見当たらない。
「何故だ!? 確かに手応えがあったはず……」
「ふむ、一つ教えてやろう……攻撃とはこうするものだ」
「離れろッ!」
真浦に異様な雰囲気を感じ眼鏡の男が叫びながら数発の弾丸を撃ち込むがあまりの速さに捉えきれていない。そのまま真浦が刈り上げの男の目の前に立つとお手本のような美しい所作で突きを放つ。
「え? あ? うそだ……ろ」
男の腹に拳大の穴が開くと顔に驚愕を貼り付けたまま眠りについた。
「谷岡! よくも仲間をッ! くたばりやがれ!」
仲間をやられ頭に血が上ったのか真浦に向けて際限なく銃を乱射する。真浦は銃弾を身体で受けながらゆっくりとそちらへ向かっていく。
「もっと熱くなれると思ったが、お前らには少しばかり熱が足らないな」
「あっ……そんなッ!? こんなやつに勝てるわけがない!」
男はあからさまに動揺し銃を落とすと少女の下へと逃げ出す。真浦は逃げる男を追いかけもせずに警戒する目でその先の少女に視線を向けた。
「あんなの一人じゃ無理だ……その死に損ないを片付けて二人であの大男をやろう」
「てめぇ……こっちに逃げてきて助かると思ってんのか?」
律が男の言葉が勘に触ったのかイラつきながら言葉を吐き出す。
「強がり言うな! その身体で何ができるんだ?」
「……近寄っちゃダメ……それより谷岡を起こして」
おもむろに眼鏡の男が律に近寄ろうとするも少女の言葉に心臓が跳ね上がり立ち止まる。
「そこで倒れてるのが見えないのか? 谷岡はもう殺されたんだよッ!」
「……よく見て山崎……それは人形で本物はこっち」
山崎がわけのわからないといった顔で見ると先程まで谷岡だったはず死体が人形にすり替わり少女の近くに谷本が倒れている。
「これは一体……谷岡ッ!」
山崎はすぐに駆け寄ると意識を失っている谷本の頬を叩き目を覚まさせる。
「うっ、俺は何で生きてるんだ……?」
「起きたか谷岡! どうやったかわからないが深木が寸前で助けてくれたようだ」
「そう……なのか? でも、この状況はまずいな」
意識を取り戻した谷岡は辺りを見回し悪い夢を見たかのように真っ青な顔で立ち上がり身構える。
「おいおい、手品まで使えんのか? 一体どうなってやがんだ?」
「手応えがおかしいと思っていたらやっぱり何かしていたのか……」
「温存したかったが……朔玖が心配だし全力で行くぞ……真浦!」
「あぁ、わかっているッ!」
律は相手に対しての警戒のレベルを引き上げ身体に紫炎を纏う。それに合わせたように真浦の筋肉が膨張し一回り程身体が大きくなる。
「朔玖待ってろよ……今こいつらをやってそっちへ向かうからな」
律は一つ呟き拳を握り締めると相手を睨みつけた。
Data
谷岡英二
Age 22
Blood BB
Weapon 紅
Capa 280
Speed 250
山崎和也
Age 23
Blood AO
Weapon キース
Capa 410
Speed 200




