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12-Y ☆

 歯を磨いたり、読んでいた本をしまったり…… どうもアルトは眠る支度をし始めたように見える。私には何もせずに一人で寝るつもりだろうか。私は彼が性的な行為を望んでいるのか分からなかった。あんな仕打ちをした女など触れたくもないだろうと考えるのは簡単だが、アルトの場合はどうだろうか……?

 もし、そういうことをしたいと思っていたとしたら、彼は遠慮してしまうだろうというのは確かだ。きっとずっと言い出せないに違いない。それではだめだ……

「アルト、もう寝るのか」

「あ、ユキ。うん」

 キッチンで水差しに飲み水など汲んでいる彼、それとなく聞くが、予想通りの答え。私がどうしたものか考えていると。彼は私は好きな時に寝ればいいという。

「いや、そうではなくて……」

 もう上手く聞く方法も思いつかなかった。

「私は、構わないぞ…… その……」

「それは……」

 アルトは私の言わんとすることは察したようだが、逡巡している。やはり私の勇み足だっただろうか。

「す、すまない、出過ぎた発言だったかな…… やはりあんなことをした女を抱くなんて、嫌、か……?」

「そんなことないよ! 嫌なんかじゃない…… むしろ本当は、その、そういうこと、し、したいよ、ユキと……」

 私は彼の答えに心底安堵した。ここで拒否されたら、私にできることはもうほとんどなかったから。そして、彼はまだ、私を抱きたいと思っていてくれることにも……

「そ、そうか…… それは、良かった…… では遠慮することはないさ……」

「でも昨日…… あんなこと……」

「私はもう気にしていないから…… それに私は君の奴隷だというのに何もしていない。このくらいは恩返しさせてくれ。私で構わなければ……」

「う~……」

 アルトはやはり躊躇っている。私がリードしてやらなければ。彼の意思で選択させたのでは、おそらく彼の良心が自身に疑問を投げかけ続けてしまう。ここは少し強引でも私から……

 私はアルトの手、指と指を絡め合わせる。

「ユキ……」

「本当に嫌だったら、言ってくれ。すぐ止めるから」

 アルトの手を引いて、寝室へ向かう。アルトは大人しく着いてきてくれた。


 アルトの部屋と私の部屋、どちらがいいか聞くと彼自身の部屋だと言う。私たちは部屋の中へ…… 一瞬、明かりを暗くするか迷ったが、付けたままにしておいた。暗闇で彼が怯えてしまう可能性はある。2人で並んでベッドへ腰かける。私に与えてくれた部屋のもそうだが、とんでもない大きさのベッドだ。

「やり方は分かるか……?」

 念のため聞いたが、やはりアルトは首を横に振る。

「初めてなのだな…… では、私がするから…… 優しくするから、安心してくれ」

 アルトは何も言わないが、不安げな表情で私を見つめ、私の手を弱々しく握る。体も、呼吸も、少し震えているようだ。きゅん、と私の胸が締め付けられる。彼はまるで、親とはぐれてしまった子犬だ…… 道に迷い、どうしたらいいかもわからない、自分がこれからどうなってしまうのか不安でいっぱいで…… ああ……♡! 少しでも彼を安心させてやりたい……! 大丈夫だから、私がいるからな……

「アルト……」

「あ……」

 私は彼を抱きしめる。嫌がる反応を示さないことを確認しながら……

「大丈夫…… おかしなことはしないよ…… 今日最後までしなくてもいいから…… ゆっくりしてやるからな……」

 アルトの頭をゆっくり撫でる。一方向へ、同じ間隔で…… 赤ん坊をあやし、寝かしつけるように、刺激ではなく、安堵を与えるように……


 しばらく撫でているうちに、アルトの震えは収まった。少しくらいは緊張がほぐれただろうか。私は徐々に撫で方を変えていく。決まった方向ではなく、撫で下ろしたり、撫で上げたり。時には彼の髪に触れるか触れないかの力で、また時にはおもむろに彼の耳を触ってみたり…… アルトの反応を見ながら、彼の好むところを確かめていく。一度は落ち着いていた彼の呼吸は、別の意味で荒くなってきた。

「ユキ……」

 いったん体を離して、彼の顔を見る。まだ完全に不安が消えたわけではないが、さっきよりは…… もうこの子犬には、見知らぬ場所で独りぼっちという不安は無くなった。今はお腹を空かせて、私に訴えかけるような目で……っ♡ 愛おしい彼の顔を撫でてやる。獲物の獲りかたを知らぬ彼、私が与えてやらなくては……

 アルトに目を閉じさせる。

「ん……♡」

 私は彼に最も軽い部類のキスをしてやる。唇同士を触れ合わせるだけの……

「ん、は……♡」

「ん…… これも、初めてだったか……?」

 アルトは頷く。そうか、私が彼の初めての唇を奪ったのか。私は、今まで感じたことのない悦びが湧き上がってくるのを自覚していた。いや、正確には今朝アルトにご飯を食べさせてやったときにも一度感じた、この感情…… いったい何と呼び名を付ければいいのか、庇護欲、独占欲、母性愛……? まあ名前などなんでもよいか…… もちろん背徳感もある……

「10才の子供に私は…… ふふ、私はとんでもない悪女だな」

「そ、そんなことないよ! も、もっとしてほしいっ……!」

 彼はついに自分からおねだりする。一口では物足りない、もっとほしいと、私を物欲しそうな目で見る…… ああ……♡

「悪いことを教えている気分だ……♡」

 私が再度キスすると。彼は我慢できなくなったのか、私の方へ崩れかかる。

「んふ……♡ ん、ちゅぅ……」

 そのまま押し倒されるのもやぶさかではないが、そうすると彼がこの後どうすればいいのか分からないだろう。私はアルトがバランスを崩さないように支えてやる。彼の愛らしい求めに応えるように、軽くアルトの唇を吸う。彼は言いつけ通りに目を瞑って、初めての口付けを必死に味わっている。もっと与えてやらなくては。

 私は舌でアルトに合図を出す。彼はすぐに理解したようで、口を開けてくれる。私はゆっくりと彼の口内へ……

「ん…… れる……」

 初めは控えめな動きだった彼の舌だが、私が優し目に刺激してやると興奮したように激しく舌を絡め合わせてくる。

「っぷあ……! はあ…… はあ……」

 しばらくそうしていると息が苦しくなってしまったようで、アルトは口を離してしまった。

「ふふ…… 積極的じゃないかアルト…… 気に入ってしまったのかい……?」

「はあ、はあ、キス気持ちいいっ……! もっと、もっとしたいよ……!」

 私は欲望に火が付き始めたアルトを少しからかってみるが、彼は既に言い返す余裕もないようで、必死に私を求めてくる。彼の精一杯の求愛、私の下半身も熱を帯び始めていた。

「いいぞ……♡ 君が満足するまで…… ほら……♡」

 可愛い子犬に私の唇を奪わせる。アルトは私の両肩をぎゅっと掴み、もはやしがみつくようにして激しくキスしてくる。

「んっ、れる♡ はっ、れろぉ……♡ ちゅ、ちゅぱっ♡」

 彼の小さな舌が私の口内を味わっている。技術も何もない彼の拙いキス、アルトの口内からは唾液があふれ出してしまい、顎から滴り落ちるほどだ。暴れまわる彼の舌に私のそれを這わせる。そっと、しかしこれを宥めるのではなく、より刺激するように……

「んはぁっ、ゆき、ゆきぃ……!」

 アルトは今度は私の胸に顔を埋める。切なげな声で名前を呼ばれると、私の下腹部がより熱くなる。アルトの中で悦びと興奮が、彼の処理できる閾値を超えてしまったようだ。もっともっと私のことで一杯にして、その声を溢れ出させたいっ……♡

「アルト……♡ なあ、やはり今日最後までしてしまおうか…… 私もなんだか……」

 この状態のアルトが断るはずもなかった。恍惚の表情で頷く彼を抱き抱え、体重がかからないようにゆっくりとベッドに押し倒す。

次回は完全に大人向けのシーンになりますので、恐らくミッドナイトノベルズ限定の投稿になります。

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