第六章 姉妹
「シト様!」
シトと呼ばれた男が、薄暗い建物の中の中心で膝を組んで座っている。
「大丈夫です、必ず捕まえて見せます」
「期待している」
トボトボと道を歩きながらシンは、何も言わないレキに声をかける。
「なぁなぁちょっと思ったんだけど・・」
「・・・」
「レキってどっか目的あって進んでる?」
何か今まで村を2つ通って来たけど、別に何をするでもないしなぁ・・。
「向こう」
なんかかなりアバウトに指を指してるだけにみえるんだけど・・。
「何だよそれ!?」
「俺・・こいつに着いてきて良かったのかなぁ・・」
レキが急に立ち止まったため、シンはその前方を覗き込むと道端に2人の女性がいた・・1人は木にもたれて、もう1人は必死に声を掛けたりしている。
「どうかしたんですか?」
「・・あ、妹が急に倒れてしまって・・」
「ちょっとスイマセン、大丈夫ですよ、少し疲労が溜まっていたみたいですね」
レキがテキパキと具合を見て、症状を姉に教える。
「疲労ですか・・・」
「大丈夫しばらく休んで、栄養が有るものを食べたらすぐに元気になりますよ」
「ありがとうございます」
こいつ人前に出ると態度変わらないか?
「よかったらお礼に私達の村へ来て下さい」
「それじゃあ少しだけお世話になろうか」
女達の家は結構良い家で、待合部屋と言われた部屋も貴重なちょうど品が並んでいる。
「なぁレキ何か変じゃないか?」
「何が?」
「何がって、こんなに良い家なのに疲労なんて・・」
だいたいこんな見ず知らずの人にほいほいついていくなんて・・。まぁ俺の時も勝手についてきてたけど・・。
「まぁ色々あるんじゃないか?」
「人がせっかく忠告してやってんのに・・・何があっても知らなぇからな!!・・俺ちょっと散歩に行って来る!」
レキはシンが出ていった後に視線をやっていると、いつの間にか後ろにいた女の人に声を掛けられる。
「あの、お食事の用が出来ましたので・・お連れ様は?」
「あちょっと散歩に行ってくるらしいですよ」
「そうですか・・・あっどうぞ」
案内されて行く屋敷の廊下にも数多くの装飾品、絵画やつぼなどが飾られている。食堂はまた別格に、中央には長いテーブルとかなりの人数が座れる多くの椅子が並ぶ。
「客人には我が娘を助けて頂いたと聞きました、どうもありがとうございました」
屋敷の主人はバークスと言った、肥満の体つきやにやける顔などを見ると悩みなど無いっと言った感じの金持ち人物。
「いえ、困った時はお互い様です」
「そうですな!さっ挨拶をアルテとビルテ」
「先ほどはありがとうございました」
挨拶をしたのは、会釈をしただけの長女のアルテは、同じ金髪に青い瞳を持っている。アルテの隣に立っているのは、さっき倒れていた次女のビルテで金髪に薄い茶色の瞳を携えていた。
「あ~腹減った、今頃レキの奴いいもん喰ってんだろうな~」
1人腹を立てて歩き、ブツブツいいながら歩いていると、どこからか水音が聞こえてくる。
今にも消えて無くなりそうな砂漠の中、どこから流れているのか分からない湖に女が1人たたずんでいた。月明かりに、長い黒髪をなびかせて振り向いた女は何故か懐かしい感じがするは何故だろうか・・。
一瞬目が合ったと思い急いで隠れるが思った反応は無くて・・もう一度そっと覗いてみると女の姿形も無くなっていた。
「いやー今日は楽しい宴だった!客人よ今日はもう遅い、部屋でごゆるりと休んで下さい」
レキは何か引っかかったが、案内された部屋で休んでいるとシンが慌てて帰ってきた。
「どうした?」
「やっぱりココ何か変じゃないか?」
「そうか、それよりお前腹減ってるだろ?ほれ」
差し出された大きなおにぎりにかぶりつきながらも怒るシンに、レキは苦笑する。
その時屋敷の地下深くから音楽が響く、その音楽は気味悪く、そして何故か懐かしい 。部屋の扉が開きアルテが立っていた。
手には明かりの蝋燭を持って。
「深夜にスミマセン、お客様のために父がお呼びしろと申しまして」
「そうですか、わかりました」
「レキ!」
気味悪いが1一人で部屋で待つことは、できないと判断したシンはしかた無しにレキについて歩く。アルテは薄暗い廊下を迷わず進み、行き着いたのは音楽が聞こえている所。
だが道は無く、大きな絵画の前に立ち止まってしまう。アルテが絵画に描かれた水瓶を持つ女の瞳を指で押すとガガガ・・とお音をたてて絵画の下に通路が現れる。
「こちらです」
地下道を進んでいくと、廊下の両端にいくつもの部屋がありその奥に1つの扉があった。
手も使わないのに扉は古びた音を立てて開く。地下室には明かりが無く、足首位までの水の中にある無数の青い小さな明かりが幻想的な景色を造っている所に人が1人いた。
「あ!さっきの女・・・」
水の上に女神銅像があり、それにもたれる黒髪の女 。
「カラ!?何故ココにいるの!」
カラと呼ばれた女はゆっくりとこちらへ振り向いたその姿は、腰まである長い黒髪に同じ漆黒の瞳、片方の目の方には包帯を巻いてある。
『・・赤鳥・・青龍・・黒光・・・』
何だろうこの感じ・・空気がピリピリするのを感じた。
カラはフワッっと空を飛びレキに近づく、そしてレキの肩に手を置き。
『・・背ニ羽・・右手ニ青力ヲ』
「そこまでだ!!」
周囲はすでに機械兵達にに囲まれていた。
「インドール!?」
っと、館の主人であるバークスは不適な笑みを浮かべている。
「君の顔は良く拝見させてもらっているよ、手配書でね」
ガーディアルが造った手配書ってわけか。
「レキ!手配書ってなんだ!?」
「アルテ、何をしている!そいつを連れてこい!」
アルテはビクッと体を震わす。その時カラの周囲の空気が変わったと思うと、水が一斉に攻撃した。
「お父様!!」
「一瞬青い光が見えた・・じゃあこのカラって女も・・・。」
カラの青い光は翼の形になり、カラの腕に降り立った。
『…舞』
圧倒的な力、恐怖さえ感じる力・・カラは空を舞い消えた。
何とか攻撃は当たらず、煙に紛れて屋敷の外に出る事ができたっと思ったら周囲をすでに囲まれていた。
「またインドールかよ!いったい何体隠してんだよ!!」
「レキ様、どうかお父様を助けて下さい!」
「アルテ!戦乱の世、お前を軍政府から引き取ってやった恩を忘れたか!さっさと捕まえろ!!」
「お父様!もうこんなこと止め下さい!!」
「アルテお前、裏切るか」
「裏切るなんて・・どうかお父様!!」
「ビルテ、行け」
傍らにいたビルテは言われた通りに、レキ達を攻撃しだす。
「ビルテやめて!!」
アルテが銃弾によって倒れる・・・・銃弾を撃ったのは、バークスだった。
「何て事をするんだ!!」
「人間の命令を聞かない機械なんてただのクズだ!!さぁあいつらを始末しろ!!」
しかし命令にインドールは動かない。
「?どうしたと言うのだ!?」
「・・・ア・・姉・・サン・・?」
ビルテは混乱していた、その混乱が近くにいたインドールにも影響したのか。
「ビルテ!!何をしてるんだ、そのクズと一緒に殺せ!!」
何だ!?ビルテが暴走しているのか?・・・機械のビルテが・・妹の死によって・・?
インドールは、急激なビルテの力の増加に次々動かなくなっていく。
「・・・ビルテ・・モ・・ウヤメテ・・」
アルテ自らの心臓部を壊すと、ビルテも同じ様に心臓部が破壊され2人の機械の姉妹は倒れた。
「アルテ!ビルテ!」
「この機械ごときが!!・・すべてを破壊尽くすんだ!我が機械達よ!!」
バークスはビルテの暴走が収まり、動き出したインドールに命令をする。レキとシンを攻撃している間にバークスは逃げた。
「シン、少し伏せろ」
レキの顔から表情が消え赤い光が体を覆うと剣が現れる。その剣は恐ろしいほどの力でインドールを一瞬に倒し、2人の手を握らせる。
「アルテ・・・ビルテこれでいつも一緒にいられるよな・・」
機械であってもお互いを思い失った悲しみは、人と同じ様なのかもしれない・・。
「クソ!あんなに使えない奴らだったとは!!」
いざこざの間に逃げたバークスの前に黒服の人物が2人。
「この失態はどうするものですか?ミスター・バークス」
サングラスをかけ青い髪の長身の男 。
「いや!今一度チャンスを!必ずやつらを!!」
「そうですね~やっぱり機械が古かったからですよね~」
もう1人は少し小柄な感じで、ふわふわの緑の髪の少年。
「えぇそうです!!だから今度こそ・・・」
「ゴミはやはり使えないな・・」
「あ~あ、どうするんだよ~俺達が怒られるのになぁ」
「シト様に言う前に俺達が殺せばいい」
「やった!僕久しぶりに遊べる~楽しみだな♪」
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