第五章 赤い化け物
「はぁ・・・・やっと人の居る場所に着いたぁ・・・」
化け狐とか、野賊とかにあって大変だったんだよな・・それもこれも政府の力がゆき届いてないためだろうけど・・。
山の道筋に湖に囲まれた町が見え、意気揚々に町を歩いていると人だかりがあった。
「おい!人にぶつかっといて無視はいけねぇんじゃないのか!?」
見るからにやばそうな男達に囲まれ、フードを頭から被った少年は黙ったまま俯いている。
「おい?何とか言えよ!仲間の治療費もらわなきゃいけないんだからよ」
周りにいる大人達は同情の目は向けるものの、誰一人助けようとするものはいない。
「泣いてもだめだぞ!?払えないって言うんだったらその体にある臓器でも売ってもらおうか!!」
今の時代、どんなに技術が発達したとしても、金持ちや力を持っている者達にしか技術は応用されない・・だから金のない貧困にいる者の主な手術方法は臓器を移植する方法だ。
男達は、少年の腕を無理に引っ張った瞬間強面の男が宙に舞う。
「何すんだよこのガキ!!お前らやっちまえ!!」
6人の男達が手には武器を持ち少年に向かって行くが・・またしても一瞬で男達を吹っ飛ばす。
「あの力・・」
「ッチ!っ撤収!覚えてろよ!!」
男達は少年をいちべつして、慌てて帰っていった。少年は脱げたフードを深く被り直し、シーンと静まった人込みを歩いていった。
「あの少年は?」
「あぁこの町はずれに住んでるやつさ、いつ来たのかしらないけれどね・・あぁやって時々町に降りてきては何か事件を起こして帰って行くんだ」
「そうなんですか」
「あぁこちらとら迷惑なもんだよ、あいつが来てから奇妙な事が起こるようになったし」
「奇妙な事…?」
「よっ!」
「うわぁ!?」
いきなり茂みから人が出きたもんだからビックリして少年は後ろに倒れてしまう。再び脱げたフードから見える顔つきは、13.4歳っと言った感じだ。
「何だよテメェ!いきなり出てきたらビックリするだろ!!」
「いや~悪い悪い」
「っで何でお前、俺に着いて来るんだよ!?」
「俺泊まる所が無いんだ~」
「はぁ!?何で見ず知らずのお前なんかを!!」
「まぁまぁ」
何を言ってもにこにこしながらついてくるのを見て少年はあきらめたようにずんずんと森の中を歩いていく。着いた所は、だいぶ前に建てしばらく使われていなかったっと思われる山小屋。家具が有るわけでもなく、何も無い感じで1つベットが部屋の隅に置いてあるだけ。
ベットの下に落ちていた紙切れを拾うとそれは写真の様で見る前に少年に取り上げられる。
「勝手にいらうなよ」
それから会話をしようとも完全ムシなため床に寝ころび早めに寝ることにした。
真夜中0時過ぎ、少年はムクッと起きあがり、レキが寝ているのを確かめると静かに出て行った。
「たっ助けてくれ!!・・・うわぁぁ!」
夜中の森の中で悲鳴が上がる、その魂の抜けた体をズルズルと引きずる音が響く。その音は洞窟のある場所まで続く。
『もうすぐだ・・』
「何がもうすぐだって?」
『!!』
「お前が町の人が話していた者か?」
レキがつけた松明の火によって、辺りが照らされていく。フードの人物の足下や背後には多くの人間の屍、鮮血が一面を覆っていた。
昼にレキが村人に聞いた話の内容は、夜中にこの周辺の森を歩いていると赤い化け物が現れ人を襲うと言うことだった。
「詳しいことは解らないんだが・・目撃した人の話では赤い姿だって言うんだが、その化け物のおかげで町に来る商人が減るし、ったく商売どころじゃなくなったよ・・・そんで化け物が現れた時期とあいつが現れた時期がよく似てるから、皆あいつに近ずかないようにしているんだ・・まったく気味が悪いよ」
「って言ってたからな」
「それであんた俺を殺しに来たのか?」
「いや」
「じゃあ何しに来た?」
「噂の赤い化け物ってお前だろ、それで機械のお前が何してんだ?」
昼間の大の大人の男達を投げ飛ばした力などを見ても、普通の人間でないのは確かだ。
「・・・人間になるんだよ、人間の血と肉は俺を人間にしてくれるんだ・・・999人の人間を喰い殺せば俺は人間になれる!!」
今まで隠れていたようにしていた少年は陰の場所から出てくると、少年の髪は燃えるような、又血のような不気味な真っ赤な色だった。
「なるほど、これが赤い化け物の正体か・・っで、何故そんなに人間になりたい?」
「お前には関係ない!!」
「この写真の女のためか?」
『シン、あなたが機械だなんて関係ないわ、もっと自分を自由にしていいのよ』
柔らかく微笑む少女の名はセレナ、誰からも愛される優しい人間の少女。戦乱の最中、機械である俺に優しく接してくれた唯一の人間。
『私はずっとシンと一緒よ』
『セレナ・・』
兵士達が扉を突き破りのりこんできた。セレナは自分をかばうように前に立つ。
『機械を壊せ!女、機械を隠しているとどうなるかわかっているだろ!どけ!!』
『逃げてシン!!』
『セレナ!!』
シンを狙った銃口から発射された銃弾は、セレナの胸を貫いた。目の前が真っ赤に・・・なった。
「俺が人間だったらセレナは殺されることなんてなかったんだ!」
怒鳴る声とは裏腹に、表情は悲しみと不安に染まっている。
「こんな事をして本当に人間になれると思っているのか?」
「ドールに聞いたんだ!こうすれば人間になれるって!!」
「こんな事をしてもお前は人間には・・なれはしない・・」
きちんと考えなくても機械が人間になることなんて不可能だ、なのに少年は本当に気が付いていなかったようで、崩れる様に座り込んだ・・。
「そっか俺人間になれないんだ、そうだよな・・・・・」
少年を見つめてから、少年の後ろにある躯に視線を向ける。
「出てきたらどうだ?」
少年は何の事なのか分からなく、レキの視線を追い躯の山を見ると躯の中から出てきたのは、殺したはずの人間!?しかし次の瞬間、そいつは人間の皮を脱ぎ捨て現れたのは機械だった。
「こいつが今までお前を操っていたんだよ」
「俺を操ってい・・た?」
「あぁタイプはお前の方が上でもガキタイプは許容範囲ってもんが少ないからな、操るには丁度いいてわけだ」
「何故こんな事をさせた?」
機械はゆっくりとレキの方へ振り向き面白そうに顔の組織をゆがめ笑う。
「このガキみたいに少数の機械が人間達に惹かれていた、我々機械のプライドも捨ててだ!?だからこのガキみたいに人を憎むように差し向けたってわけだ!あの方の世界を造るために!!」
「憎むようにって、まさか!?」
思い出した・・あの時・・セレナを撃ったのは・・・。
「我々が人間に化けてな、あれは楽しかった」
「テメェ!!」
「ハハッ無理だお前では敵わないさ!」
「こんな奴がセレナを!!俺は又何も出来ないのか!!」
「悔しいなら強くなれ・・だが今のまま憎む力で強くなろうと思っても無駄だけどな」
一瞬にして機械は破壊され、レキによって炎が放たれた。
「あんた何者なんだ?」
「俺はレキ・D・キサラ、お前と同じだよ」
「俺と同じ?」
「じゃあな、お前を惑わしていた元凶は消えたし、後はお前の好きにしたらいいさ」
「・・・」
レキはシキに写真を渡すと、言った通り背を向け行ってしまった。空はもうすぐ夜明け、薄暗い森の中にも光の柱が出来始めた。
「セレナ・・・」
「ネム・・・」
レキはクマの出来た目を擦りながら道を歩いていると、道端から黒い塊が飛び出す。
「発見!!」
「うわ!?」
「よ!俺あんたと一緒に行くことにしたから」
「はぁ?」
「あんた俺が好きなようにしていいって言っただろ?だからあんたと一緒に行く!」
「・・・」
「あんな事までしたけど、まだ答えはでないし・・あんたとの行く道に俺の答えが有るように思うんだ!いいだろ?」
レキは少し微笑みながら。
「・・・好きにしろ」
シンは、ぱぁっと笑顔になりレキの後を着いて歩く。
「俺シン・スゥ-よろしく!!」
それからしばらくして赤い化け物の噂は消え、森に入った人の情報で深い森にさす光の柱の下には数多くの墓に花を供えてあったと再び噂となったのだった。
☆シン・スゥ-が仲間に加わった
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