第二章 戦火の日
第二章 戦火の日
ガーディアルを出た俺は空腹と戦っていた。
「腹減った~」
木の枝に実がなっているが少し採りにくい所にはある・・だが空腹には負ける。間抜けにも実を採ろうとして、崖から落ちて頭を撫でる。
「痛ぇ~」
「あっあの大丈夫ですか?」
薬草を手に持ったバスケットにめい一杯詰め込んだ少女が立っていた。しかも間抜けにも、落ちた所を見られていたようだ・・。
苦笑しながら俺の腹の虫を聞いた彼女はカスミと名乗り、黒髪を2つに結んだ少女はそう言った。
「あの、私の家近くなのでよかった来て下さい・・・」
カスミに着いて行くと森に囲まれた小さな村があった。奇妙にも、村の半分が焼けた状態になっている。
グーっとなる腹を抑えつつ、レキの前にあるテーブルの上には数種類の料理の盛られた皿を見る。
「ささっドンドン食べてくれ客人!レキとやら!」
「っと言っても、あまりいいものは無いのですけど」
目の前には、豪快な感じのカスミの親父さん。
「いえ、スイマセン迷惑を掛けてしまい」
「なーに遠慮せんでいい!」
バシバシと叩く背中はかなり痛く、きっと赤くなっているだろう・・。
「もうお父さん、そんなに叩くと痛いわよ!」
「お?これはスマンなー」
「いえ大丈夫です」
「今日はゆっくり休んで行きなさい」
「レキさんゆっくりしていって下さいね」
「ありがとうございます」
布団をおじさんの部屋に敷いてくれたので、遠慮なく泊まることにした。ガーディアルを出て10日・・・何て事を考えながらも、そのまま俺は久しぶりにぐっすりと眠ることができた。
「おはようございます」
「よく眠れましたか?朝食の用意はできてるんでどうぞ」
「すいません」
「おう起きたか」
「お父さん後はよろしくね、私行ってくるから」
「あぁ気をつけてな」
おじさんはカスミを見送ると席に着き、カスミが作った朝食を食べ出した。
「カスミさんお仕事ですか?」
「いや、妻の墓に行くんだ・・今日は妻の命日なんだ」
「命日?」
「ちょうど1年前に死んじまってな・・この村の姿を見ただろ?ここは1年前にドールに襲撃されてなこのありさまさ」
「ドール?」
「昔なワシも戦場に赴き戦い、機械相手にも武器をとって戦っていたんじゃが手も足もでなかった・・多くの者が悲しいこの土地を出て行ったが、ワシは戦争が終わりやっと妻と一から始めたこの場所をどうしても離れられなくてな」
「・・・」
「しっけた話をしてしまったな、何も無いところだが村を見てきてはどうだ?」
「はい、そうします」
おじさんは森の方へ仕事に行くため途中の道で別れ、俺は村の方へ行く。村人は少ないが皆活気ずいた所だった、悲しい過去を見せもせずにこの地にとどまって過ごしている。
「あら?旅のお方かね?これは美青年だね~」
わらわらとおばさん連中に囲まれ・・家に帰る頃は夕方になって、両手には持ちきれないほどの色々なものを持たして・・持たされていた、その姿でようやく帰るとおじさんは驚いていたが、すぐに笑いだした。
「あのおばんども、若いお前に気に入ってもらおうとしてたんだぞ」
「気に入って・・そっそれにしてもカスミさん遅いですね」
太陽はとうに地平線に沈み、時刻は8時を回っていた。
「そうだな、いつもはこんなに遅くはならないんだが・・ちょっくら探してくるか」
「僕も行きます」
その時すぐ近くで巨大な爆発音が響いた。急いで扉を開けると、村の方で火の手が上がっている。
「カスミ!!」
おじさんが慌てて家を飛び出し、俺も続いて外に出て村へ向かう。村の中心地はすでに炎にのまれているがまだ思ったよりは広がっていない。
路地の方で悲鳴が聞こえ、村のおばさんが仮面をつけた奴に襲われていた。
「邪魔ヲスルモノハ殺ス・殺ス・殺ス・殺ス・殺ス・殺ス・・」
「おばさん立って!カスミさんの家は安全だから皆にそこに非難するように言って下さい!」
「あ・・・あぁ」
おばさんはフラフラする足取りで何とかその場から離れていったのを確認してから、レキは仮面の人物にに向き直す。
仮面は簡単に倒れたものの、付けていた仮面を外すと思った通りだった。
「やっぱり・・」
「カスミ!!」
おじさんの声がして俺が向かうと、表の広場にはおじさんが傷つき倒れ肩口からは血が流れている。カスミの方は仮面軍団に囲まれていた。
「カスミを離せ!!」
「おとうさん!」
「まったくギャアギャアうるさいなぁ~」
仮面の中に一人子供がまじっている、子供は水色の髪を持ち前髪が長いため表情までは見えないが結構幼い。
「この女のどこがいいんんだかわかんないよね~まぁいいや、連れて帰らないと俺怒られるんだよね、イースト達!他はさっさと殺しちゃって」
【イースト:戦争時代の兵器。旧タイプの兵器なためプログラム量が少なく単調な指令しかこなせないが、獣並みのすばやい動きで攻撃をするタイプ。護衛などに適している。】
「おとうさん逃げて!!」
「ガキ、一対多数は卑怯だって教わらなかったか?」
レキはおじさんを抱え、イーストが放った弾をかわす。
「ふ~ん結構やるみたいだけど・・この数のイーストを相手に出来るかな?」
子供はおもちゃを見つけたように面白そうに笑う。
「危ない!!!」
カスミは悲鳴を上げ、目を瞑るがすぐに音は聞こえなくなり・・そっと目を開けると地に倒れたのはイースト達の方で・・。
『ギギィ・・・・』
「・・・え?」
崩れていくイーストをもう一度見ようとしたとき、父に抱きしめられる。
「カスミ、無事か!?」
「・・・・おとうさん」
「レキさん一体・・危な!?」
「敵に背を向けるなんて余裕だな」
レキは瞬時に体の向きを変えかわすが、敵の予想より早い速度に服が破れた。
「ハハ余所見なんかしてるからだ」
子供はどこから出したのか、手には剣を握っている。
「楽しそうだな・・こんな小さい傷でも嬉しいのか?」
「何を!武器も持たずに俺と戦うつもりか!!死ね!!」
レキの左手から紅い剣が作られ、変幻自在の剣はすぐに敵を捕まえた。
「チッ!」
生き残ったイースト達が撤収していく。
「へぇ・・・お前手配書のレキ・D・キサラか・・覚えておけ次は必ずお前の首を取ってやる!!」
イースト達が姿を消すと、空から雨が降り出し村に放たれた火は消えていく。
レキは朽ち果てたイーストの欠片を拾い集める。
「君は・・」
「これが俺の戦友ですよ・・」
おじさんが再び声を出そうとしたとき、鳴りやんだ音を聞きつけて村人達が戻ってきた。
「カスミちゃん無事だったんだね~」
「おばさん!皆!無事だったんだ!」
「あぁ旅人さんに助けてもらてね~!!」
「こいつらのせいで村や皆は!!」
村人達は、もう壊れて動かないイーストを蹴ったり踏んだり・・・。
「やめて!もう壊れたんです、これ以上はやめて」
「カスミちゃん?」
カスミが泣き出すと同時に大粒の雨が降りはじめ村人たちは自分の我が家の確認や話し合いをしにその場から離れて行った。 雨の中、カスミはイーストをすべて拾い集め母の墓の横に埋め花をそえた。
「おかあさん、私思い出したんだあの日のこと」
村が襲われた日、母に連れられ必死に逃げ惑っていた時1体のイーストに捕まり母は・・。
『私は殺していいから、この子は助けて!!』
母は殺され私は母の横でたたずんでいた、イーストは幼い私をじっと見てから私の前で自分を切った。
「私、機械とか関係ないと思うの、確かにおあかさんを殺されて悲しいし憎いけど・・私、信じてみる!いつの日か機械と共に暮らせる日が来たらいいのに、きっとおかあさんも喜んでくれるよね?」
イースト達の墓に埋められた花は、先ほどの雨を受け涙の様に花びらから雫が流れ落ちた。
その頃、家の椅子に腰掛けおじさんは昔を思い出していた。
戦乱の時代、多くの者達が徴兵され戦いを繰り返し・・その徴兵の一人として自分のあの場にいた・・。
戦場の中、日々強くなる機械に皆恐怖を感じ始めてい・・そして敵に囲まれコレまでかっと思い家族の写真を見ると自分の影の上にもう一つ影が上に被さった。
『家族の写真か?』
精密に作られた敵の機械は人間と見分けがつかない位だが、人間の空気は感じられない 。
顔を上げると自分の前に立っていたのは敵兵だと言うのに、不思議と恐怖を感じなかった・・死を覚悟したからかなのかはわからなかったが・・。
『あぁ妻と娘だ、娘が生まれてすぐ戦場に来たからな・・娘がどれだけ成長しているのか、1目見たかったが・・』
敵兵が武器を鞘に片ずけるのを見て・・。
『何故だ俺は敵だぞ?殺さないのか!見過ごす!?』
『もうじき戦いは終わる、今からの戦いは無意味だ』
敵兵は幾つもの血の跡があるが、平然といる姿はきっとその血は敵を倒した返り血なのだろう・・雲間からの光で敵兵の顔の表情が見えた・・。まだ幼さの残る表情の青年・・・。
『お前変わっているな・・』
敵兵は壊れた機械人形を集め運んで行く。
『・・それどうするんだ?また新たな兵器を?』
思わず聞いてしまった、敵兵は少し目の前にいる敵を見つめながら。
『・・なぁ機械は壊れたらどこ向かうのか気にならないか・・自然の摂理にも添っていない我らは・・』
『お前まさか・・・』
ピィィー!!っと撤収命令の笛の音が響くと、その敵兵は背を向け去っていった。
あの時、ワシは助けられ、そして・・・2度も助けられたな。
「レキか・・・」
何となくわかっていた、ドールっと言う事は・・人間でも機械でもないもの・・・。
「お父さん、ただいま!」
「あぁお帰り」
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