第一章(後編)
第一章(後編)
それからガーディアルの中は不穏な空気の中にあった。キメラがガーディルの中に現れたことは人々の中に恐怖を植え付け、反発などに勢いを与えた。そんな中なのに俺達は、外に研修に行くことになり、数台の車に生徒達を乗せ砂漠を走っていた。
「俺ガーディルの外に出るのって久しぶりだ」
「5年ぶりかなぁ~」
多くの者がガーディルに入ってから出たことは無い、それは外に出るための許可証が簡単には卸してくれないことだったからだ。
「レキこっちに来て見ろよ~ミツキも来たらよかったのにな」
ミツキは、アキトの件から調子が悪く今日もガーディアルで留守番をしている。友達が急に亡くなったら誰でも辛いものだ・・。ギルだって悲しみを隠しているのはわかるけど、ギルにとって初めて見る外の世界に少し元気も出たみたいだ。
しかし暫く車が進んで行くと、外は思った以上な後景に皆顔を覆った。砂漠の砂に埋め尽くされ井戸からは砂がこぼれ、廃墟となった町には多くの横たわった子供も大人も死体が転がっていた。
「どーなんてんだよコレ!?」
急に車が止まり、運転手を覗き込んだ一人が大きな声でさけんだ。さっきまでの運転手がキメラに変わっていたからだ。
「キメラ!?何で!?」
「周り取り囲まれてるぞ!!」
周りの廃墟からも次々にキメラが現れ、あっという間に車の周りを囲まれ・・・すばやい動きで俺達に襲いかかってくる。
俺はギルがキメラに捕まったのを見て、周りを見渡したが武器になるようなものはない。少し考えた・・けど今それ以外の方法もなく、キメラに手をかざすと腕から赤い光が現れキメラは一瞬の内に炎上。悲鳴を上げながらその場に倒れた。
「!!レキ!?」
残ったキメラもレキが手をかざすと一瞬に炎上し灰になった。助かった生徒達は喜ぶよりも、奇妙な力でキメラを倒したレキから離れる。
「・・結構強いのね」
長い赤い髪とハデな服を着た女が壊れた建物の中から出てきた。女が手に持っている扇子を振ると土の下からキメラがどんどんと出てくる。
「せっかく強い奴がいるって言うから出てきたのに、弱い人間ばっかで退屈してたのよね」
「お前が俺達にキメラを向けたのか!死んだらどうしてくれる!!」
そこへ1人の生徒が女に近寄るが、生徒は瞬時に伸びた女の爪で体を貫かれ、地に倒れた。それを見て他の生徒達は動かなくなった生徒を見て息を呑む。
「まったく人間ごときが私に触らないでくれる?まったくいつなっても人間は醜い物だわ・・・・そこの人間ども殺さないの?」
「どう言うことだ?」
レキの変わりにギルが聞くが女はギルの方は見ない。レキの方は表情は背筋が凍る様に冷たい、俺達が知っているレキじゃないのかと思うほどに・・・。
「まぁ人間ごときと手を組むなんてバカな事はしないで、私達と手を組まない?」
「・・・死にたいのか?」
女は多少表情を変えたが、すぐに元に戻り右腕の服をめくりあげると今はもう存在しないハズの紋様が記されていた。
「ドール!?」
生徒の一人が叫んだ言葉に生徒達は氷つくと同時に、女の体はドンドンと変化していく。
「インドール!!」
【インドール=ドールとは違う旧タイプの機械兵器、主に処分されている、処理も早く状況に応じ自分で行動したりする戦闘型】
誰かが叫ぶと同時に生徒達は慌ててその場から逃げる。異形と化した女は体を蛇のように動かしながらレキを睨む。しかしレキの方は身動き一つしなかったが、よく見ればレキの体を覆いつくす、赤い・・紅い・・・炎。
レキの炎が瞬時に女の体を捕らえ、女は身を焼かれながら激しい悲鳴を上げる、炎によってさっき見せた紋様は消えた。
「この力・・・もしそうなら・・・あのお方にお知らせしないと・・・」
女が頭に飾っていた赤いかんざしが鳥になり、空へ飛び立った。 不気味な高い笑い声を上げると、女の体は灰になった。乾いた灰が砂と一緒に風によって空中を彷徨う・・。
「どうなってんだよ!!」
「そうだ!お前何者なんだ!!!」
口々に助けてもらった人物に罵倒を浴びせる・・そう俺たちは今レキがいなかったら、死んだいたのに。
「お前ら今はレキがどうなのか関係ないだろ!これからどうするかの方が大切じゃないのか!!」
そのギルの声に罵倒をあびせていた者達が静まり返る。車はすでにキメラに壊され動かせないし、こんな廃墟と化した村は一刻も早くに立ち去りたい・・。
「そうだ俺達と連絡を取れないとわかると、ガーディアルが助けに来てくれるさ!」
その一言でその場はおさまった。ひとまず知らない地を闇雲に歩くのは危険とみなし、迎えを待つために皆思い思いの場所で一夜をあけることにした。
それから3日経っても迎えは来ることはなく、食料も残り少ない・・。
「このまま迎えが来なかったらの話だよ!このままじゃ俺達ココで死んじまう事になるんだぞ!?」
不安な言葉が一つこぼれると、あとからあとから不安は増大する。その中で一人が立ち上がる。
「・・・僕は自分で帰ります・・今の時期の星と太陽を見ながら方角を調べて歩いていけば・・」
「そうだ!そうすれば帰れる!!」
「・・だがどれ位の距離があるか、食料や水はどれだけいるか・・この砂漠じゃ水一滴手に入れるのだって至難の技だぞ?」
「ヘッ腰抜けはココで待っていればいいさ!」
「何だと!?」
結局救助を待つ組と自力でココから帰る奴らとの2つに分かれる結果となり、自分達の食料を持って行ってしまった。2日はすぐに経ち、残った者は死を考えるようになった。
「レキ・・水」
「お前こそ飲んでないだろ?」
「俺だって平気・・」
ギルは意識を失いかけ急いで水を飲ます。もうここに残った者は限界に見える。食料も水もなく・・。
「大変だよ!スガルが!!」
生徒の一人、スガルは日陰で細々と息をし、水さえもろくに飲めなくなっていた。仲のいい友人は皆スガルをどうしたらいいのか戸惑っている。
スガルの他にも、ココに残った13人の内4人は、行き絶え々の状態になり死がそこまで迫っている・・。
「ディー・・ミナミ・・」
「スガル!!」
スガルは目立たない生徒、別に成績がいいわけでもなかったが多くの友人がいた人望のあつい者だった。最後の力だったのか・・友の名を呼び力尽きてしまった・・泣き叫ぶミナミを引き離し、スガルを砂に埋葬した。
「スガル・・・」
何とか皆をなだめて帰って来たギルもすごい顔になっている。
「あぁ、なぁレキ俺達どうなるんだろ・・最初は迎えが来るって信じてたけど・・今はもう来ないんじゃって思ってる」
レキはギルに顔を向けずガーディアルでは見ることが出来ない、無数の星達を眺めていた。
「レキ・・お前一体・・・ゴメン!今こんなこと話してる場合じゃないよな!・・・」
「ギル、ココから逃げ出す方法はあることにはある・・」
「本当か!?」
「この砂の地下には多くの地下水脈がある」
「それを使う!!でも何でもっと早くに言ってくれなかったんだ?」
「・・地下水脈はほぼ死んだに近いが、まだ水が通っている箇所もある・・その水が海の方へ引き潮となり地下水脈を使えるのは、月が満月の時だけだ・・・だが、それもすべてに起きるわけじゃない・・」
「満月・・明日か!・・危険でも今の状況よりはましだろ?いちかばちかだな!!」
ギルは嬉しそうに皆に報告をしにいったが、やはり危険を冒しても死人がでる前に言え!っと言う批判はあびた。
「いやだ!スガルを置いていくなんて!!」
「ミナミ・・」
何とか皆今はそれどころじゃ無いことは解っているため念入りな準備を行った。
「ココから行くのか・・」
地下水路の入口は村から少し離れた砂の中に埋もれていた。人1人が通れる位の小ささだったが中は結構広い空間が広がっている。
「へぇ~地下にこんなのがあるなんて知らなかったな」
「すげ~」
かなりの距離だし気温は低く、色んな所に穴や通路がありレキの案内がなければ迷っていまう所だ・・。
「おい、いつまで歩けばガーディアルに着くんだ?」
確かに、3日間歩き通しでも地下道はどんどん続いている・・この薄暗い中にいつまでも居たら気が狂ってしまいそうだし、その上調子が悪い者の体力は限界に近い。
「お前本当は俺達を殺すつもりなんじゃ無いのか!!?ココの事はお前しか知らない、この間のキメラの所へでもつれて行くんじゃないのか!!」
キメラの声に皆がざわめく。
「それに変な赤い光をだしてたじゃねぇか!!」
「どうゆうことなんだよ!!」
「おい止めろよ!!」
「うるせー!!」
止めに入ったギルはふっとばされる。
「ギル!!」
「レキ!!大丈夫だから」
「わかってるよ・・・そろそろだ・・壁の土を落として見てみろよ」
レキを疑った人物に見るように言う。言われた通りすると確かに土が落ち、現れたのは古びた扉。
多少錆びて開きにくいが、数人が力を出すと扉は開きそこには久しぶりに見る外の光に、皆目を細める。
「外だ!!」
「・・!?おい!見ろ!!」
遠くの方に見えるのは確かに自分達のガーディアルだった。
「やった!俺達帰ってこれたんだ!!」
皆、嬉しそうに走って行くのにレキはその場から離れようとしない。
「レキ、行かないのか?」
「俺は他に行くところができた・・」
「?何言ってんだよレキ、俺はお前を信じてるよ!・・一緒に・・!!」
「・・・」
「・・・何かあるのか?」
ギルの問いにレキは答えない、でも邪険にしているんじゃなく、言えないって事をギルは何となくそう思った。
「俺やアキトとミツキはお前の親友だよな?」
「・・あぁ」
「・・・レキ絶対また会おうな!!・・・・待ってるからな!!」
そしてギル達の姿が見えなくなる・・。
「そろそろ出てきたらどうだ?」
少しの間を置き後ろの地下水路から出てきた人物は・・この間死んだハズのスガルだった。
「やはり気がついていましたか」
太陽の下に現れたスガルの姿は、人工皮膚が剥がれ落ち、中身から流れているのは血ではなく鉄の組織体。
「どうして・・って思いますよね、僕はこの通り機械人形です、僕はあのガーディアルでスパイとして働いていた機械人形・・学生達に紛れ込み情報収集が仕事だったんです・・」
「・・あんたこれがどうゆうことか知ってか?」
「えぇ・・ガーディアルを裏切るって事は、僕の中にある自爆装置が作動するってこと・・いいんです、こんな僕を友と呼んでくれる人をだます事はもうできません・・・僕は卑怯です・・でもこれでやっと戦友(仲間)に会うことができる・・・レキさん、あなたはやはり・・・」
レキはまっすぐスガルを見つめる、それがスガルには答えだった。
「あの・・・僕らはやっぱり死んでも人間のように、友達にはなれないんでしょうか?」
「それはお前の意思次第だ」
レキは淡々と答える、その答えの中にはなんの興味も感情も無いように聞こえたが・・・。
「少なくともあいつらはそう思ってたのじゃないか?・・・例えお前が人間じゃなくても・・・」
「そうですね・・・でも今度は、今度生まれ変わる時は、人の子のディーやミナミと同じ様にこの地を駆け回る事が出来たら・・」
スガルからピーィと言う電子音が鳴る。自爆の合図。
「・・ディー、ミナミ・・」
もう一度空を仰ぎ見たスガルの表情は、生まれ変わらなくとも・・・。電子音が激しく鳴り始め、スガルの体中の機械の細胞が動き出し、スガルは一瞬にして爆発した。爆発の間際のスガルは微笑んでいた・・。スガルの体はバラバラになり地に落ちてた・・新に吹く砂塵に埋もれながら。
巨大な爆発音にガーディアルの側まで来た生徒達が振り向くとそこには、雲ひとつも無い果てしなく続く青空が広がていた。
ガーディアルにある裏コンピューターのデーターが飛んだ事件で理事長室内は嵐だった。
「理事!ダメです!データーの8割はウイルスにやられました!!」
レキの部屋やコンピューター回路が爆発し、それと同時にガーディアルにコンピュータにウイルスが流れ込んだため、マザーコンピューターは無事だが大抵のものはウイルスに侵された・・・。
「レキ・D・キサラか、いい置き土産だな・・やつを連れ戻すんだ!!」
「御意!!」
「あいつは私のものだ!!」
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