第四話 なくしたもの
「手術は成功した・・・・だが、やはり私は・・残酷な事をしてしまったんだろうな・・」
カスガは数日にもわたる作業に精魂つき、ソファに座るとすぐに意識を手放してしまった・・・。
「カスガ様・・」
傍らで助手をしいてたフェイが心配そうにそっとカスガに毛布をかけた。
その頃、レキは深い深い眠りの中にいた・・。
夢の中は温かくて、いつまでもそこにいたいと思えた。
けれど何かが俺を呼んでる・・。
それが何か解らない、だけど目覚めなきゃって・・・。
夢から目覚めようとした時・・誰かが俺を見てた。
その人の顔は解らないけど・・・優しそうな女の人で、俺を見てたんだ・・。
何故かすごく懐かしくて、そしてすごく悲しかった・・。
「・・・目が覚めたか?」
一番最初に目前にいたのは、白い白衣を来た女の人だった。
「・・・・・・・・・・・・ここは?」
「私の屋敷だ、どうだ気分は?自分の名は言えるか?」
その問いにしばらく考えてから”レキ”と名乗った。名乗ったというよりは、その言葉が一つ頭に浮かび口が勝手にその言葉を言っていた。
「身体を動かしてみろ、もし不具合があるなら治すから」
言われたとおり身体を起こしてみると、長い手足に少し伸びた髪・・。身体は違和感を感じるが、動かしてみると湧き出る力を感じる・・・。
「俺は貴方に造られた・・・?貴方が俺の主人?」
その問いに白衣を着た女の人は一瞬悲しそうな表情をしたような気がした。
「・・そう、私はカスガ・・お前を作った・・」
目覚めたレキは、以前のレキとは違う・・。人間の頃のレキはまだ幼さの残る子供、だが今は青年の姿になり・・昔の面影が少し残るだけの姿。言葉遣いや仕草、行動など時にふと以前のレキに似た部分を見ることはあっても・・今のレキはやはり別のモノ
もう人ではない・・・。
「カスガ・・・俺、行くよ」
レキが目覚めてから2年が経ち、戦況は以前悪化するばかり・・。
耳に飛び込んでくる情報も眉をひそめる話ばかりだ・・・。
そんな時、予想通りとも言えるレキの一言だった。
「レキ、解っているのか?戦場に出ると言う事を・・」
今のレキには以前の記憶は断片的にしか残っては居ない・・。母の記憶も曖昧、自分の事も・・・。
「それでも・・・行くのか・・・」
「あぁ、この力があれば戦争を終わらせる事が出来る・・・」
心は止めたかった、だが人間でもなくなったレキの存在・・存在理由それは・・。
「・・・わかった、フェイ用意を」
フェイはすでに用意しておいた旅支度をレキに渡す。
「カスガ、俺にはよく解らないけど・・母親と言うものが人間にはあると聞いた・・それはきっとカスガみたいな人の事を言うんだろうな」
そう別れ際に言ったレキの言葉と表情は今でも覚えている・・。
何体もの自らの手で造った者達を戦場へと送った、それでも止まない戦火の火・・。
どれだけの人が死んで、どれだけの人が涙を流した?
誰が戦いを起こし・・誰が得をする?
そんな日々をどれだけ考え過ごして来たことだろう・・。
「カスガ様・・本当ニヨロシイノデスガ?・・・機械ニナルコトナド・・」
だが、私は死ぬわけにはいかない・・全てを、この戦争を見続け・・自ら作り出した者達を見続ける事こそが私に出来るただ1つの事・・。
「フェイ、初めから決めていた事だ・・後は頼む」
「解リマシタ・・」
少しの間目を瞑り・・そして次に目覚めた時はレキ達と同じモノになる。
「カスガ様、レキヲ見カケタト言ウ情報ガ入ッテイマス・・」
あれからどれだけの時が経っただろうか・・戦争が一応の終結を向かえカスガが造った者達に会う時も出来た。
だがレキだけは忽然と姿を消してた・・破壊されたわけではないのに、誰一人としてレキのその後を知る者はいなかったのだ。
「レキ・・やはり生きてたか・・」
「カスガ様、会イニイキマスカ?」
「いや・・・もし会う運命なら、わざわざ行かなくても会うことになるさ」
そのカスガの予想は間違ってはいなかった。
数ヵ月後、レキの情報は次々に耳に入ってくるようになり・・それからされに数ヵ月後カスガはレキと再び会うことになった。
「カスガ」
自らの肉体も今や生身の部分はほとんど残ってはいない・・。
だがレキの姿を見た瞬間涙が零れそうな感覚が蘇ってきた。
けれどそれは感覚だけ、実際涙が出ることはないのだ・・・。
「入ったら?」
カスガの声にレキはカスガに表情を動かした様だったが、すぐに元の表情に戻り屋敷に向かった。
戦火の中、戦場へ向かったレキとは明らかに様子が違った。
「なぁライメイ、カスガ・ミヤってどんな人なんだ?」
だけど、レキの側にいる少年を見て私は安心した。
レキはもう1人じゃない・・ちゃんと居場所を見つけてるんだと・・。
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