第三話 緋色
それから1年が過ぎ、カスガが造った新型の人間兵器は5体になっていた。
「カスガ!」
「あぁ?何だこのガキ」
「なっ!?離せ!!」
長身の男に首根っこを掴まれ、足が浮いたままレキはバタバタと暴れる。
「まったく騒がしい・・何してるんだい?」
「カスガこのガキ誰?」
「ガキって言うな!!」
「2人共やめな」
その一言で一応長身の男はレキを地面に落とす。
「痛てぇ!」
「ライメイも乱暴なことするんじゃない」
「コイツが屋敷の周りウロウロしてるからさ、一応捕まえたんだぞ?」
「はぁ・・レキはライメイを見るのは初めてだったね」
「ライメイ??」
ライメイと呼ばれたのは、長身の男で逞しい体つきだが言葉使いは乱暴だ。
「カスガ、こいつも・・」
「あぁそうだ」
以前にカスガが言ったことを思い出す。人間と機械の狭間にいる存在だって。正直見た目では人間と同じように見える・・けど前にカスガがこもっている部屋を覗いた時に少しだけ正体を見たから・・。
それに力や動きなども人間とは全然違う・・・でもやっぱり見た目は人間にしか見えないとライメイを見ると、ライメイは鼻で笑った様な表情をした・・。
「何見てんだよ、ガキ」
「だから、ガキじゃねぇって言ってんだろ!」
「へぇ、どっからどう見てもガキだと思うけど?」
そりゃ自分より20cmも高いライメイからすれば子供位の自分だが・・・その口調と表情がすっごくムカつく。
ライメイは一度戦前に出たそうだが、故障で街に帰ってきた。
「おい、ガキ俺がいなくなっても泣いたりすんなよ?」
「だれが泣くもんか!!さっさと行けよ!!」
ライメイはバカにした笑いだったが、最後の一言だけ言う時は見たことのないような真面目な表情で小さく言った。
「・・・カスガのことを頼む」
ただその一言だけ・・・。
それから1年後、カスガの不安・・いや誰もの不安の通り・・・戦乱の荒波が押し寄せてきた。
「カスガ様!」
フェイが外の音を聞き、カスガの部屋に入って来た時は・・カスガは部屋で目をつぶり座っていた。
「街ニ火ノ手ガ上ガッテイマス・・攻メテキタノハ、軍ノモノノヨウデス」
「やはり来たか・・・」
椅子から立ち上がり窓の外を見ると、街が焼かれる色で真っ赤に染まっていた。
「母さん!!」
戦火が町の近くまで来ている、慌てて気づいてレキは母を呼びに行った。
「レキ!来てはダメ!!」
母の悲痛な声が響く、静止の声など聞こえるはずもなく扉を開ける。
「レキ!早く!早く・・逃げて!!」
扉をこじ開け、レキが部屋の中に入ると・・。
「!!母さん!!」
母を撃ったのは機械人形・・後ろでは人間達が命令を下している。
「・・レ・・逃げ・・」
力なく落とした腕を・・体温を失い冷たくなりつつある母の体・・。
駆け寄ろうとしたレキの身体を無慈悲な機械人形達は跳ね除ける。
銃弾が横腹に当り・・蹲りながら、近くにいるのに手の届かない母と迫ってくる機械人形達の姿・・。
扉をけたたましく叩く音に、フェイが扉を開ける。
「カスガ様!!!」
居間のソファまで運ばれたレキは全身傷と血だらけで・・。
「レキ、何があった?・・マーサはどうした?」
「母さんを守れなかった・・・アイツらに・・」
空気の通り道である身体の器官に穴が開いているかの様に、レキの言葉にはヒューヒューといった音が混じる。
「・・・レキ」
「・・俺を・・機械に!・・誰にも・・負けない・・力を!!」
ピッ・・ピッ・・と響く機械音にレキは目を開ける。
どうやってカスガの屋敷まで辿り着いたのか分からない・・。
「気がついたかい?」
「・・・カス・・ガ?・・・」
ぼやける視界の中・・カスガを見た気がする。
あの時・・ほとんど感覚のない顔に・・冷たい水が一滴落ちて来たように思えた・・。
「絶対死なせたりしない・・」
「カスガ様」
「たとえ・・・レキ、お前がこの先私を憎んだとしても・・・私は・・」
薄れる意識の中・・母さんが銃撃に倒れた瞬間を、脳裏で何度もスローモーションの様に見ていた・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・母さ・・ん・・」
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