第六章 光の渦
「シュセイ、リンジェの反応が微弱ですが・・こちらへ動いてます・・どうしますか?」
「・・・ほっとけばいいよ」
っとシュセイは特に気にする話題でもないと簡単に答え、コンピューターをいじりだす。
セラの横のテレビ画面には外の映像が映し出されたのは各地の映像。映像には人間共に毒された機械が自分達の同士と戦っている様子。
「醜い戦いだ」
シュセイはコンピューターに向かったままつぶやく。
戦争時シュセイ達はこの世に生まれた・・戦い真っ最中。人間の欲望のために多くの同志が死に・・戦後は人間の身勝手で排除が決まり、処分されていった。
「シュセイ・・」
「セラ心配しなくてももうすぐ完成だ・・それとも心配なのはあの人のこと?」
「はい・・・貴方は敵・・きっとここへ現れます」
セラは表情を曇らせながら言うと、シュセイは顔を上げいつも通りの表情で言う。
「そうなったとしても僕としては何でも無いことだよ、僕らの計画の前には・・どれだけ力を持った者であっても邪魔することなどできないさ」
「シュセイ・・」
「そしてその事を一番解っているのは・・・あなたでしょう?レキ」
電力で動く扉が軽い音をたてて開くと、そこにはレキとシンの姿が。セラの表情は硬いものだが、シュセイはいつもの笑顔でレキを見つめる。
「もうすぐ新世界の誕生ですよ・・新しい僕らの世界」
「シュセイ、悪いがお前の望む世界を作らせる訳にはいかない」
「これは貴方の意志でもあるはずですよ?すべてが憎い・・何も信じられない・・僕は貴方と同じなのだから」
「・・・だが、お前は俺ではない・・・」
その言葉を聞いたシュセイは面白そうに、声を上げて笑う。
「残念ですね・・・セラ」
セラは一つのボタンを押すと、巨大な壁が動き出し・・その向こうに見えたのは・・。
「核爆弾・・・」
見上げても先端が見えないほどの大きな爆弾があった。
「こんなの世界に打ち込んだら・・お前達だって死ぬだろ!?」
「それこそが、シュセイの目的なんだ」
「え?・・じゃあシュセイ達は世界を・・」
「破壊するんだ・・全てを壊して、新たな世界を創造する・・・それがあいつの望み」
「そんな・・」
シンは驚愕の顔でその巨大な核爆弾を見つめた・・・。
その時だった・・何処からともなく水が流れ込んできたと思うと、ボコボコと水が波打ち段々と人の形を作り上げていく。
「誰だ?」
シュセイは聞くがそれに答えず両手を核へ向けて伸ばすと、掌から意志を持ったような水が核に向かって飛ぶ。
「セラ!」
しかしその水は届く前に、セラの体に当たる直前で弾かれた。
「あれに手を出すことは許しません」
セラと空が見つめ合っている中、シュセイは扉から出ていく。
「レキ!シュセイが」
空達が気になったが、今は核を止めないと・・長い階段を下りて行くと広い部屋に行き着いた。扉は開いていてそこには大量の機械人形達の躯が転がっていた。
「皆・・チップが抜かれてる」
機械人形の核とは人間で言えば心臓や脳にあたる。これがなければも直したとしても二度と動かない。
「あれを作るために、使われたんだろう・・」
「そんな・・あんなものの為に」
「急ぐぞ」
「・・・・・・・・・・うん」
重い扉を開けると、さっき見たより巨大な核爆弾が目前に広がる。
「シュセイ」
シュセイはレキを待っていたように、核の横にあるコンピューターの上に座っている。
「僕はずっとこの日を夢見ていた・・人間も、人間に造られた機械人形達も・・・僕にとってはどちらが良いか悪いか何て関係ない」
「ただ全てを憎む・・か・・・」
「貴方は僕と同じ存在。なのにどうして・・・人間側に立つ?」
「憎んで・・壊しても、何も変わらない。何も生まれない・・そんなこと解ってるだろう」
「レキ・・・」
「やはり貴方はカスガに余計なことを吹き込まれたんでしょう・・・まぁ今となってはもうどうでもいいことです・・・・このボタンを押すと各地に配置している核も同じく世界に降り注ぐ・・そして世界は終わる」
上から大きな音と共にガラスの破片が降ってくる。
「セラ!」
ガラスと一緒に上からセラが落ちてくるのを、シュセイが手を空に向け、手が光ったと思うとセラの落ちてくる速度が和らいだ。床に落ちる瞬間光がセラを包みゆっくりと体が横たわる。
「シュセイ・・・・」
「セラ・・あと少しだ、このボタンを押せばすべてが終わる」
「残念だが、それを押されるわけにはいかない」
俺達が核の前に立ちふさがりコントロール画面にレキが手を突っ込む。慌ててシュセイは手に持っているボタンを押したが・・。
「どうした?何故動かない!?」
「シュセイ・・・・すみません」
セラはシュセイに一つのチップを見せる。それは核爆弾を発射するプログラムを記憶しているチップ。
「貴方をこれ以上苦しめたくないのです・・・貴方はいつでも辛そうで」
「セラ!僕はそんな同情なんて欲しくない!!僕が望むのは・・・」
「シュセイ・・・」
その時大きな地震のように大地が揺れ、そんなに離れていない場所から大きな爆発音が鳴り響く。
「レキ!核爆弾が一つ発射されてる!!」
遠隔装置のこのコンピュータは壊したから誰かが直接押さなきゃならないはずなのに・・・。
・・・・30分前、各地では。
「みんな死んじゃえばいいんだ・・・」
コウキの眼帯を同じように自分の瞳に巻きつけ、打ち上げられていく核兵器の高温のエネルギーで人工皮膚は溶け金属の組織が現れる。
「フフ・・アハハ」
炎に焼かれながらリンジェの瞳からはオイルが涙の様に流れていた・・。
「どういうつもり?」
「メグ・・・気づいているだろ?この世界の正体・・」
メグとライメイはお互いの刃によって核部分を一発で貫いた。
「色々探ってみたが・・・どうやら別の答えは無いみたいだ・・・」
「だから心中でもすると?まったくお前らしい単細胞の考え方だ」
「ライメイ!!」
「リラ・・・お前もすべて・・・・」
言い終わる前にライメイはその場に崩れ動かなくなってしまった。
「・・・ったく、自分の始末ぐらい自分でしろっと前に言っただろ?・・・・リラ?すまないな、共にいってやってくれ」
「謝らないでください・・最初からついていくと決めてましたから・・」
リラはその場に立ったままじっとライメイを見つめ、メグはライメイを抱きしめる。
「まったく・・・ほんとバカだよ」
その言葉が終るか否かでライメイの体が光辺り一面爆発が起きた。
シュセイは無理矢理にセラからチップを奪いサブコンピュータへ差し込むとためらわずボタンを押す。
「シュセイ・・」
「これでもう止まらない!世界は新しく!!」
シュセイが歓喜の声をあげるが、背後から空がシュセイの胸を自分の体液で作った槍で刺す。
「シュセイ!!」
「くっ!!この出来そこないが!!!」
核のエネルギーで傷を負っていた空はあっという間に蒸発してしまう・・・。
「レキ!!逃げるんだよ!!」
突っ立っているレキの腕を俺は無我夢中で引っ張る。どこへ逃げたらいい?どうすればいい?そんなことが頭の中をぐるぐると回る。
「シュセイ・・・」
ヒューヒューと息が抜けその場に膝をついて苦しそうなシュセイの元へセラが歩み寄る。
「逃げないのか?」
「・・・どこへ逃げろというんです?私はあなたとずっと一緒にいると行ったはずです・・・それが地獄であっても、シュセイと一緒に」
セラは人の母親のように優しい柔らかい頬笑みでシュセイを抱きしめる。
「・・・セラ」
機械の自分でも他者の温もりを感じるなんて・・シュセイはただ同じようにセラを抱きしめた。
「レキ、止まらないで急がないと!!」
「解ったんだ・・・シン、やっと解ったんだ・・」
レキの表情に迷いは無かった。でも俺には何の事か解らない・・。
「でもこんなことを望んだんだわけじゃない・・・世界が同じ末路を辿ることなんて・・・もう二度と同じことは繰り返さない・・・」
「レキ!?」
「シン・・・これでさよならだ、俺は俺の責任をとるよ」
「何言ってんだよ!!?」
シンの体をレキから発した光で包みこむと急に瞼が重くなる。必死でレキを掴もうとするけど腕が重くて・・・。
「シン・・見つけてくれてありがとう」
世界が光の渦に巻き込まれるのと俺が眠りに着くのとどっちが早かっただろう・・・。
「レキーー!!!」
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