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ドール  作者: りょく
第二部
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第五章 対面

「なぁ!レキ!!空は何をしようとしてんだ!?」

シンがレキに詰めよって聞くと、レキは少し目を閉じてから話し始めた。

「空は・・・シュセイを倒しに行ったんだろう」

「どうして空が??シュセイと何か関係でもあるのか?」

「俺と空、シュセイは一つのモノから生まれたんだ」

「え・・・・・?」

「カスガが俺を造る前にドールはすでに2体完成していて、それが空とシュセイの2人・・・意思を持ち、自ら行動できる半機械の存在・・・けれど俺が目覚める前にシュセイはカスガの元からいなくなった」

「いなくなった?」

「あぁ、シュセイは感受性が強く、人間達に連れられ戦場へは行ったがしばらくして姿を消したっと・・」

「じゃぁ・・空は?」

「空はカスガの元に残った、意思がはっきりしていなくてな・・能力の水もこの砂漠化した世では難しいこともあったが・・」

「でも、さっきの空・・普通っぽくない?」

以前の空は人間味というか、動き言動すべてがどこか変だったように思ってたけど・・。

「空の意志は混濁していて俺やシュセイの様に自我を持っているわけでは無かったんだ・・後に空の意志は新しく作り変えたんだ」

「新しく??」

「あぁ・・・・空の意志は元々、俺の意志・・・正確には俺の意志だったもの」

「え?どう言う事??空の今の意思が元はレキの物??」

「俺をドールに造り変えるには、色々問題があってな・・もともと人間の意志って言うのは巨大なデータで、すべてを新しい俺に移す事は出来なくて、意志のはっきりしない空に移植したと言うわけだ」

「でも・・・じゃぁ今、空がしている事は・・」

「俺の意志でもある」

「・・・・・・・シュセイは人間を殺し機械人形の世界を作ろうとしている、そして空はそのシュセイを倒しに・・新しく作り変えた意志なら空には空なりの考えがあるんじゃ・・・」

「それは俺にも解らない・・・空には欠ける部分が多すぎる」

目覚めてから空の意志ははっきりせず、その間にレキのデータ・・そして新たなデータで作り変えられた空の考えを俺がどんだけ悩んでも解るはずない。だけど嫌な胸騒ぎが残るのがシンには気になった。


「さて、お前はどうする?」


壊れたコウキを抱きしめピクリとも動かないリンジェに声をかける。その声にビクリと体を揺らし、こちらを向いたリンジェの顔は虚ろな人形の様で・・。

「コウキを殺ったアイツは・・・シュセイ様の所に行くのか?」

「たぶんな」

それを聞くとリンジェはむくりと立ちあがり、コウキの付けていた眼帯を握りしめ歩きだす。

「っちょ!どこに行くんだよ!?」

「ほっとけ」

「っでも・・・」

リンジェの小さな後姿がすごく悲しく見えて・・・でも、人間のように涙を流して泣くこともできない・・・。そんな機械人形がとても悲しい者に見えた・・。

「シン、行くぞ・・俺達も出発だ」

そう言うとレキは、休憩している仲間達の方へ歩きだす。その後ろを着いて行こうとしたとき一瞬ぐらりと目の前が歪み何か違う場所が見えた気がした。次に聞こえたのは聞き覚えがある声・・。

「俺を呼んだのは誰・・?・・・・・・え?俺何言ってんだ・・???」

シンは自分が言った言葉に疑問を浮かべながら、レキの元へ慌てて走って行った。



あれから数日、シュセイの本陣であるナーバレイへ向かい車を走らせている。

「レキ様、敵の本陣らしいのですが・・・気配が・・」

ココへ向かう途中も敵や罠などは見られなかった・・。

「誰もいない?ほんとに誰もいないの?」

メグは訝しげに、先に状況を見に行っていた者に聞く。

「はっはい!本当に誰もいないんです・・」

レキ達は車を降り、本陣のある所へ行って見るが・・・やはりそこは人一人ばかりが、置いてある物もガラクタばかり。

「静か過ぎるな・・・」

メグは眉間に皺を寄せて呟く。

その時だった、仲間の1人が大きな声を上げた。

「わぁー!!!」

「どうした!?」

「てっ敵が!!」

怯えて剣を振り回すが、レキ達の目前には何も見えない。けれど、その仲間の声に共鳴するように他の仲間達も悲鳴を上げ、武器を振り回す。

「メグ」

「一旦ここから離れろ」

叫び声を上げた者達は、建物から離れると落ち着きはしたが瞳はまだ虚ろで体にも力が入らないようで座り込んでしまっている。

「前にガーディアルでの時と同じだな・・機械人形のプログラムに直接電波を飛ばしているのだろう・・」

「レキ、これでは機械人形はダメだ・・・ここから先は人間か・・自分達が行くしか無いな」

シュセイの動きで世界は混乱しているけど、新政府が動いたという情報はない。結局人間はいつまでも臆病で・・平和な世の中でのみ自分達が偉いのだと言い張る。その平和を作っている彼ら達の存在は無視し。自分たちの世界なのにどうして他人事のように眺めることができるのかシンには解らなかった。

「レキどうする?」

「・・・電波にハッキングされそうな者達は他の所へ向かってもらったほうがいいだろう」

「他の所?」

「あぁ・・ここと同じような建物が各地に数十箇所ある・・そこも以前はシュセイ達が使っていたと思われる跡があったそうだ・・」

「確かに・・そこから電波が来ているかもしれない・・わかった、そう言ってくる」

メグの命令通り、仲間の機械人形数人は車に乗り込み走り去った。

「レキ、私はカノンと共に電波の元を切る事にする」

電波を切ると言うのは、ハッキングして機械人形に有毒な電波を止めさせること。

レキは俺と人間10人と機械人形を5名連れて、シュセイの元へ行く事になった。相手の出方が解らない以上、無闇に人数を連れるのは危険なのでこの人数になった。

「レキ・・・ほんとうに誰もいないのか・・・?」

建物の側まで来た時だった、ギギギィっと言う巨大な音がしたと思うと砂漠の中から機械人形達が現れた。

「レキ様!!ここは自分達が食い止めます!!」

仲間達がそう言って、武器を構え敵に向かっていく。

「シン、行くぞ」

「うっうん・・・レキあの機械達のあの姿って・・」

どう見ても尋常じゃない機械達の姿・・・体の一部には人間の皮膚らしきものや臓器がむき出しに見える。あれがキメラだろうと説明されなくてもシンは何となく気づく。

最上階へ行くまで、敵の姿は無く・・大きな扉は一つだけ。

「入るぞ」

扉を開けると、予想通りシュセイが待っていた。

「やぁようこそ」

シュセイは微笑のまま椅子に座っているが、その眼光は鋭いものがあった。

「シュセイ・・・」

「思ったより早かったね、まぁ残り時間も後少しだし最後に君と話せて嬉しいよ」

「最後?」

シンが思わず聞くと、シュセイは冷たい目線を向ける。

「まだそんな出来そこないを連れてるんだ、君の趣味にけちつける気はないけど・・・やはり君はダメだね」

「・・・シュセイ、お前は何を考えている?」

「セラ」

シュセイがセラと呼んだ青い髪をした女性は、軽く頷き近くにあったボタンを押す。それと同時に巨大なスクリーンが現れ、そこに写されたのは廃棄処分をされる機械人形達のデータ。その映像を見る限り、機械人形達に誰が・・・魂が・・命がないと言えるのだろう・・。

・・シンは自分自身の奥底から生まれる感情に驚いた。人間達にはわからないかもしれない・・でもこの形も崩れたものたちの声が聞こえる。こんな姿になっても・・人間達に好きなように扱われているのに・・・。彼らの声はいつまでも平和と安静の世・・・。

「僕らのやろうとしていること、それは彼らの意思、平和への願い・・けれど人間達がいるかぎりこの世の平和など訪れることはない・・そうは思わないかい?」

こんな映像や話を聞くと誰だって人間を憎むと思う・・・レキはどう思ってるんだろう・・。

シンはレキを信じていた、けれど・・・レキの本当の心はまだ殻に閉じ込められているように思う。レキは人間であり機械であり、そしてそのどちらでもない存在。

「言いたいことは、それだけか?」

「何?」

「悪いがそれだけなら、即刻ここで終わりにしてもらう」

「貴方でも焦りますか?」

セラは表情の無い瞳でたんたんと尋ねる。

「あぁお前達の計画は自分達の楽園を造る事じゃない・・・世界を壊すことだろ?」

シンは想像も付かないことに驚くがレキはこのことを始から知っているようだった。

「やはり最後まで邪魔をするんですね」

シュセイは少し俯いてから、顔を上げるとシュセイの顔半分は焼け焦げたように爛れていた。

焼け爛れたその部分は確かに人間の肉のように見える・・普通の機械人形は人に似せるために人工皮膚を表面に使うが、シュセイのは・・・。

「貴方と同じけれどあなたとは違う、僕は生まれてた時からこの姿・・・忌まわしき姿」

シュセイ達は動き出したコンピューターによって現れた扉の向こうへ消えてしまった。

レキは一言そう言うと、シュセイの後を追う。

「追うぞ」

「うっうん・・」



「ギャァ!!」

「カノン!!・・ライメイ」

「メグか、こんな所で何をしてるんだ?」

カノンを簡単に殺し、ライメイはいつも通りの表情を向ける。

「ライメイ、もう少しマシだと思っていたけどやっぱり・・・」

「やっぱり?」

「あんたも落ちたものね」

そのライメイを侮辱する言葉に影から人影が飛び出してきそうだったが、ライメイがすぐにその人物に向かって静止を呼びかける。

「あのシュセイって子に従って・・本当にあの子が言う世界なんて信じてるの?」

ライメイは何も答えずに銃口をメグに向ける。

「私達は戦ってきた、平和な・・人間と機械が共存していける世界のために・・けれど結果はこうだった・・確かに私だってレキだって落胆はしたわよ・・・多くの仲間を人間の勝手で失って」

メグはライメイの方へ呼びかけながら一歩一歩近付いていく。

「シュセイを倒したって私達は共存なんて望めない・・けど・・・私達が何のために作られたか、教えてくれたカスガはいないけど・・・ライメイあんたも解っているハズよ・・」

「カスガ死んだのか?」

「何を言ってるの?シュセイに殺された・・・こうなる事位その頭でも解ってたでしょ?」

「ライメイ・・・」

影から出てきた人は、ライメイを困惑した表情で見つめる。

「カスガの望みだろ?」

メグは厳しい表情を向ける中、ライメイはいつも通りの口調でそう言った・・。

「そう・・・・やはりライメイあなたを倒すしかなさそうね・・」

メグの体を碧色の光が覆うと次にその光が手に集まり、槍に姿を変える。

ライメイも同じように黄色の光を纏い、手にしていた銃口の引き金を弾いた。



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