第一部 最終章 ガーディアルの崩壊
最上階にある、理事長の部屋の前に立つと俺達を待っていたかのように自動的に扉が開く。
「クスクス・・」
ガーディアルの巨大なマザーコンピューターの上に座っている少年・・そしてその傍で血を流し倒れているのは・・理事だった・・。
「・・レ・・キ・・」
「アキト!?」
壁にもたれるようにして倒れていたアキトは、同じく大量の血と傷を負っていた。
「ようこそ、伝説のドールと称えられたレキ・D・キサラ」
「・・お前は?」
頭から被っていたマントを取り、腰かけていたコンピューターからふわっと浮いたと思うと軽い音をして降りてくる。
「僕はシュセイ・・新しい世界を創造する者だよ」
シュセイと名乗った少年は肩までの少し長い銀色の髪と、青い瞳を持ち肌は透けるように白い・・表情は柔らかく微笑んでいるが、瞳はどこか冷たさを感じる・・。
「新しい・・世界を創造だと・・?」
・・・何だろう・・この感じ。シンは得体の知れない感覚に戸惑っていた。
「そうだよ、この人間の性で腐りきった世界を蘇らすのさ」
シュセイはとても楽しそうに笑ってそう言う。
「シュセイ、そろそろ時間よ」
扉から入ってきたのは、青い髪をした女性に声を掛けられるとシュセイは素直に立ち去ろうと背を向けた。
「待て!」
「今日の所はこれでお別れです、生きていればすぐにでもまた会えますよ・・その時は同士としてか敵かはわかりませんが」
シュセイの姿が消えると、違和感が無くなったことにシンは君の悪さを感じていたが、外から聞こえる巨大な爆発音に意識を向ける。
「「!?」」
ガラス張りになっている壁の側に行き、下を見下ろすと・・・。
「レキ!あれって!!」
下の方では今だ戦いが続いているようだが、その中央で次々に人間達を倒しているのは・・。
「ライメイ!!」
激しく鳴り響く警告音。ライメイに気を取られている内に、死んでいたと思っていた理事がマザーコンピューターの前にいた。
『自爆装置作動開始シマス・・』
「あいつ!!・・・レキ早く逃げないと!!」
レキが理事の側に行った時には、すでに理事は事切れていた・・。
「レ・・キ・・父さんは?」
アキトは足を引きずり、片腕をダランと下ろしたまま近付く。レキは、ゆるく首を横に振る・・。
「・・・・レキ早くココから逃げろ・・自爆装置と一緒に研究施設にある核が同時に自爆するプログラムだ・・ここら一帯は・・」
プログラムを見たアキトは、理事の横に腰を落としながら言う。
「ごめんな・・最初から最後・・まで、迷惑ばっかりかけちゃったな・・」
「アキト・・」
「俺はこの様・・もうすぐ動けなくなる・・レキ早く行け」
「俺にもう一度、お前を殺せって言うのか?」
レキの声は震えていた・・・それを見てアキトはレキに微笑む。
「・・レキ・・違うよ、俺はお前に生かせてもらってたんだ・・・」
アキトの口調は穏やかな者だった・・腕に冷たくなった理事、自分を苦しめた父を抱き、死が迫っていると言うのに・・。
「俺は父さんの事も、自分自身の事にも決着を着けなければならないだけだ・・」
無言のままレキは立ち上がり、アキトに背を向ける。
「ありがとう・・レキ・・」
「行くぞ、シン」
アキトの言葉に少し背を向けたまま止まっていたレキだったが、すぐにそのまま振り向かずに歩いていく。
「う・・うん」
急いでレキを追いかけようとした時。
「レキを助けてあげてくれ・・」
「・・・・うん」
シンは少し返事に迷ったが、すぐに一言返事をした・・それを聞いたアキトは本当に優しい笑顔だった。
「さぁもう行って・・」
シンはアキトに頭を下げ、そしてレキの後姿を追っていった。警告音は段々と止み、辺りを不気味な死の空気が漂っている・・。
「父さん・・一緒に行こう・・・母さんの所に・・これからはずっと一緒だから・・」
冷たくなった父の目を閉じ、固い装甲のガーディアルの天上をアキトは仰ぐ。
「・・・・・・・・・・・・・・レキ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんな」
巨大な爆発音と強烈な光の光線・・大気が・・すべてが震える様だった・・・。
シン達はどうにかその爆発域から脱出することができたが、ガーディアルの姿はどこにも無く・・その周りで争っていた者達もすべて無に帰っていた・・。
「レキ!シン!」
「メグさん!!」
走ってくるのはメグや生き残った意志のある機械人形達だった。
「皆無事だったんだ!・・ライメイは?」
ライメイの名にメグの表情が変わる。
「ライメイの奴・・私達を裏切ったんだ・・・」
「え?じゃぁやっぱりさっき見たのは・・・・」
「これからどうしますか?」
機械人形達がレキに指揮を仰ぐが先に答えたのはメグで。
「一先ず撤退だ、今ここにいても何もならないだろうし・・なぁレキそれでいいだろ?」
メグ達が視線を向けると、レキはガーディアルの方を見ていた。
「あぁ」
「それじゃ決まりだね、みんな用意して!」
メグ達が準備に取り掛かり始め場を離れ、シンがレキの方を振り向くと。
「・・・・・レ・・・!!レキ!?」
レキの姿がグラッとふらついたと思うと同時に、レキは倒れ込んだ。
「レキ!レキ!」
急いで駆け寄ったシンの必死の呼び声にも、レキは反応を示さなかった・・・。
そしてレキの頭の中には、再びあの声が響く・・。
『お前はずっと苦しみと共に生きるがいい・・・それがお前に与えられた宿命だ・・』
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これで第一部は終了です。
次回から第二部へと続きます。
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