表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイブ・クロニクル・オンライン ~全員が捨てた初期職を7000時間やり込んだら、Lv1で最強になっていた~  作者: ぶらっくそーど


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/369

【迷子】


 裏世界の探索を始めて五日目。



 記憶断片は十二個集まった。地形変化のサイクルは二十分まで延びている。裏世界のあちこちで、色彩が戻り始めていた。



 その日は十人パーティのうち五人──トワ、セレス、タマキ、ハル、ゼクスでより深いところを探索していた。レナたちは表の世界で、ギルドの仕事がある。



 宮殿の回廊を進んでいた時──地形変化が起きた。

 でも、いつもと違う。通常の地形変化は予測可能だった。【星図】があれば次のパターンが読める。だが今回は、星図の予測と全く違う変化が起きた。



 宮殿の床が──割れた。

 回廊の真ん中で、足元が崩壊した。トワだけが狙い澄まされていたかのように落下していく。

 肩に乗っていたセレスも、トワと一緒に。



「師匠!!」ハルの声が上から聞こえる。

「トワ!」ゼクスが手を伸ばすが届かない。

「トワさん!!」タマキの悲鳴。




 そして、落ちていった。

 暗闇の中を落下し──水面に叩きつけられた。




    ◇




 目が覚めると、暗い場所にいた。



 地下水路のような空間だ。天井が低い、水が膝まで浸かっている。



 HP──残り180。落下ダメージで半分削られた。



 セレスは──いた。トワの胸元にしがみついている。翼がびしょ濡れで、ぶるぶる震えている。



「トワ……みず……つめたい……」

「すまない、大丈夫か」

「だいじょうぶ。でも、つめたい。みず、きらい」



 セレスを胸ポケットの位置に移動させた。



 周囲を確認した。【見聞録】を起動──



 ──反応がない。




【警告:裏世界の深層では、一部のスキルが不安定になります】



 見聞録が使えない。温度センサーも、魔力感知も。

 裏世界の深層はスキルが不安定になるエリアらしい。



 つまり──目と耳と勘だけで動くしかない。最終試練の時と同じ状況だ。



 でも最終試練とは違う点がある。──セレスがいる。そしてどこかに仲間がいる。ただし、はぐれた。

 チャットを開いた。──繋がらない。チャットなどの機能も不安定になっているのか。




「セレス。【月光の目】は使えるか」

「やってみる。──……だめ。ここ、セレスのちからも、うまくうごかない」



【月光の目】も使えない。

 完全に孤立した。



 冬夜は水路を歩き始めた。方向はわからない。ただ、水の流れに沿って下流に行けば、どこかに出るはずだ。




「トワ。こわい?」

「怖くはない。暗い場所は慣れている」

「セレスは、ちょっとこわい。でも、トワがいるから、だいじょうぶ」

「ああ。大丈夫だ」



 水路を歩く。暗闇の中、足元の水の音だけが響く。たまに壁にぶつかりながら、手探りで進む。



 ──こんな旅も、久しぶりだ。



 BCOを始めたばかりの頃は、何もわからなかった。地図もなく、スキルも弱く、方角もわからない中をただ歩いた。あの頃と同じだ。



 三十分歩いた。




 水路が広い空間に出た。暗いが──遠くに微かな光が見える。


 光に向かって歩いた。


 光源は──壁に埋め込まれた記憶断片だった。



 【ソルシアの記憶断片(特殊)を入手しました】




 触れた瞬間、映像が流れた。



 ──ソルシア王国の地下水路。かつて旅人たちが使っていた秘密の通路。地上が崩壊した後も、この水路だけが残った。水路は──王国の中心、ノクスのいる場所に繋がっている。



「トワ。みえた。ここ、ノクスのとこに、つながってる」

「……偶然か。それとも──」



 落ちたのは偶然だが、落ちた先がノクスへの最短ルートだった。


 運がいいのか、悪いのか。



「行くか」

「いく? ふたりで? みんな、いないのに?」

「仲間と合流してからの方が安全だ。だが──この水路がいつまでもあるとは限らない。裏世界の地形は直ぐに変わってしまう」

「じゃあ──いま、いく」

「ああ、行こう」

 


 二人で水路の奥へ進んだ。




    ◇




 一方、地上。

 ハル、ゼクス、タマキの三人が──崩壊した回廊の縁に立っていた。



「師匠! 返事してください!」


 ハルが穴に向かって叫んでいる。返事はない。


「チャットも繋がらない。深層に落ちたようだな」


 ゼクスがチャット欄を睨んでいる。


「ど、どうしよう……トワさんが……」


 タマキはあわあわと動揺している。



 そんな時、ハルが立ち上がった。




「わたしが行きます」

「行く? どこに」と、ゼクスが聞いた。

「下に。師匠を探しに」

「この穴は深いぞ。お前のレベルでは──」

「大丈夫です。わたし、温度センサーが使えます。暗い場所でも、師匠を見つけられます」


 ゼクスが、ハルを見つめた。


「……お前、度胸があるな。だが……ふむ。そうだな、俺も行こう」

「ゼクスさん……」

「トワが落ちた場所に、あいつを放っておけるわけがない。──だが」


 ゼクスがタマキを見た。


「お前はどうする。ここで待つか、一緒に来るか」



 タマキが──唇を噛んだ。怖い。暗い穴の底に飛び込むのは怖い。BCOを始めて十日目。レベルは5。戦闘力は皆無。


 それでも、



「行きます。トワさんの回復は、わたしにしかできないので」



 薬師の回復。Lv5の基本ヒール。大した性能ではないが、この三人の中で、回復ができるのはタマキだけだ。



「よく言った。行くぞ」


 ゼクスの合図で、三人は穴に飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ