表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイブ・クロニクル・オンライン ~全員が捨てた初期職を7000時間やり込んだら、Lv1で最強になっていた~  作者: ぶらっくそーど


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/372

「二人目」

面白いと思っていただけたら、ブクマ・評価・感想・リアクションなど、お願いします!


 海へ出航し、町に戻ってきた翌日のこと。



 始まりの町の港で、アイテムを調達していると──一人のプレイヤーが声をかけてきた。



「あの、トワさん」



 振り返ると、Lv1の旅人が立っていた。旅人の集いのメンバーだ。でも、初めて見る顔じゃない。密林の根切りの時、最も多くの根を断っていた旅人。



 名前は「ハル」。小柄な女の子のアバター。くりっとした目に、肩で切り揃えたオレンジ色の髪。トワやレナと比べるとかなり小柄で、年齢設定は……中学生くらいだろうか。



「密林の時は、ありがとうございました! それで──あの、一つだけお願いがあるんですけど」

「なんだ」

「わたしを、【弟子】にしてくれませんか」

「なに……?」



 冬夜にとって、それは意外な言葉だった。


 弟子……このBCOをやってきて、初めて言われた言葉だ。



「旅人の集いに入って、半年ほど経ちます。Lv1のまま、ずっと旅人を続けてきました。踏破率は……42%です」



 42%。トワの半分以下だが、半年で42%はかなりのペースだ。冬夜が一年目に達成していた踏破率とほぼ同じ。



「トワさんが歩いてきた道を追いかけてます。旅人のスキルも、少しずつ熟練度を上げてます。でも……一人で歩いてると、わからないことが多くて……」

「何がわからない?」

「【見聞録】の使い方です。トワさんがゼクス戦で使ったって聞いて、試してみたんですけど、情報量が多すぎて、頭がぐるぐるしちゃって……」



 至極まともな質問だった。質問の内容が具体的で、自分で試した上で聞いている。

 やる気はある、と見て取れるが……。


「弟子は取らない」



 ハルが、悲しげに顔を曇らせたその時、



「だが、一緒に歩くことは構わない」

「え……?」

「教えることはできない。俺は、自分で自分の旅を見つけてきたからだ。それでも、俺の隣で歩いていれば、見えるものがあるかもしれない」



 ハルの顔が一転して明るくなった。



「一緒に歩いてくれるんですか?」

「邪魔にならなければな」

「なりません! 絶対、なりません!」



 セレスがトワの肩からハルを覗き込んだ。じーっと見つめている。いつもより長い。



「トワ。このひと、だれ?」

「ハル。旅人の後輩だ」

「おんな?」

「女だ」



 セレスの目つきがじとーっと細くなった。ミコトの話をした時と同じ反応だ。



「……セレスのこうはい?」

「お前の後輩ではない」

「じゃあ、トワのいもうと?」

「それも違う。仲間、でいいだろ」



 ハルがぺこりと頭を下げた。



「よろしくお願いします! ──あ、セレスちゃんも、よろしくです!」



 セレスがハルを見つめている。値踏みするような目、さっきより厳しい。そして数秒後──



「おやつ、くれる?」

「え?」

「おやつくれたら、なかま」

「セレスちゃん、おやつが判断基準なの……?」



 ハルが慌ててアイテムストレージを開き、果物を差し出した。セレスがそれを一口齧って、うなずいた。



「おいしい。ハル、なかま」

「やった……?」



 冬夜は苦笑いした。セレスの審査基準は相変わらず食べ物だ。




    ◇




 ハルと一緒に船に乗ることにした。ペレグリナは一人乗りだが──ハルが自力で泳ぐわけにはいかない。



「ハル。お前、船は持っているか」

「持ってません。設計図も……」

「グランから設計図をもらえ。始まりの町の裏路地に、旅人にしか見えない扉がある」

「旅人にしか見えない扉……!? そんなのあるんですか」

「踏破率42%なら、条件は足りていないかもしれない。だが、グランは踏破率以外の条件も見ている。NPC友好度や、旅人としてのプレイ時間。──試してみろ」



 ハルが走っていった。十分後、メッセージが来た。



 ハル:「扉、開きました! グランさんに会えました! 設計図、もらいました!」



 開けたということは、グランの条件を満たしていたということだ。半年の旅人で扉が開くのは、トワ以外では初めてかもしれない。



 トワ:「素材は自分で集めろ。全エリアを回る必要がある」

 ハル:「はい! やります!」



 ハルの行動力は速かった。三日で全素材を集め、船を完成させた。踏破率42%でも、行ったことのあるエリアの素材は集められる。



 ハルの船は──トワのペレグリナより少し小さい、手漕ぎのボートだった。



「トワさん。準備できました」

「よし。──出るぞ」



 二隻の小さな船が、港を出た。

 セレスがペレグリナの舳先に立って、水平線を指差した。



「しゅっぱーつ!」


 ハルが横で必死にオールを漕いでいる。


「ト、トワさん速くないですか!? わたし、全然追いつけないです!」

「旅人歴の差だ。追いつけ」

「がんばります……!」



 二人の旅人が、海を渡った。

面白いと思っていただけたら、ブクマ・評価・感想・リアクションなど、お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ