表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレイブ・クロニクル・オンライン ~全員が捨てた初期職を7000時間やり込んだら、Lv1で最強になっていた~  作者: ぶらっくそーど


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/375

決勝前半(vs聖銀の盾)

 ギルド王座決定戦、決勝。


 〈深紅の牙〉 vs 〈聖銀の盾〉。



 観戦者数二十五万人。配信視聴者三百万人。BCO史上最大のイベントが始まろうとしていた。




 特設コロセウムの観客席は異様な熱気に包まれている。通常のギルド対抗戦の三倍の規模で設営された特別フィールド。広大な平原の中央に川が流れ、東西に自陣と敵陣が配置されている。




 ミコトの配信が始まった。




『皆さんこんばんは! ギルド王座決定戦、決勝です! 〈深紅の牙〉vs〈聖銀の盾〉! 視聴者数が……三百万!? ちょ、ちょっと、桁がおかしくないですか!?』




  > BCOの歴史が動く

  > 中堅ギルドがここまで来るとは

  > トワ効果だよな、完全に

  > 相手は聖銀の盾。『シーズン一位』の王者だぞ

  > アストレアがやばい。個人戦闘力は全プレイヤー中トップクラス




〈聖銀の盾〉が対面に並んでいた。白銀の鎧で統一された五十人。そしてその先頭に、一人の騎士が立っている。




『アストレア Lv90 聖騎士』




 長い金髪のポニーテールで、全身を光り輝く白銀の鎧に包んでいる。腰に提げた剣は「聖剣ルミナス」──BCOの最上位レイドボスのドロップ武器で、聖属性の攻撃力がずば抜けて高い。




 アストレアがボイスチャットを開いた。




「〈深紅の牙〉のトワ。噂は聞いています。Lv1の旅人がここまで来るとは、正直驚きました」



 トワもボイスチャットで答えた。



「……驚かせるつもりはなかった。歩いていたら、ここに着いただけだ」

「ええ……あなたのその旅人としての言葉は、好きですよ。──ですが、今日は全力で止めさせてもらいます。この王座は、私たちが二年間守ってきたものですから」



 二年間。〈聖銀の盾〉は前シーズンイベントでも優勝している。つまり、アストレアは、BCOの対人コンテンツの頂点に、二年間立ち続けてきた。



 トワが二年間歩き続けたように、アストレアは二年間勝ち続けてきた。



 トワは試合前に、味方の全員に【旅人の祝宴料理】を配った。

 

 全ステ+10%、CT短縮20%。



 セレスがトワの肩の上で、じっとアストレアを見ていた。




「トワ。あのひと、つよい」

「ああ……俺にも分かる。間違いなく強いな、あの人」

「セレス、わかる。あのひと、トワとおなじくらい、まっすぐ」

「そうかもしれないな」



 【ギルド王座決定戦 決勝 開始 ── 制限時間30:00】




    ◇




 開始直後、〈聖銀の盾〉が動いた。



 フィールドは誤魔化しのきかない平地、『大平原』。

 両陣営が守るべき旗は、平原の奥の丘にそれぞれ立っている。



 ──全員が、一直線に向かってきた。



 散開しない。分隊もしない。五十人全員が一つの槍のような陣形を組み、アストレアを先頭に突進してくる。




 トワ:「敵、全軍突撃。五十人が一塊で来る。先頭にアストレア」




 バルトが驚いた。




「全軍突撃!? 旗の防衛は?」



 トワ:「防衛ゼロ。旗は無防備だ」



「……狂ってるのか?」

「狂っていない。自信だ。こちらの旗を取られる前に、うちの旗を取る。そういう戦い方だ」




〈聖銀の盾〉の戦術は単純だった。全戦力を一点に集中し、圧倒的な火力と防御で正面突破する。分散した敵を各個撃破するのではなく、()()()()()()()()()()。ギルド全員がアストレアを中心に固まり、一つの巨大な「盾と剣」として機能する。




 だからこそ「聖銀の盾」なのだ。




 バルト:「全軍、正面で受ける! 散開は逆効果だ! 密集して迎え撃て!」




 五十人対五十人。正面衝突。




 アストレアが先陣を切って突っ込んできた。聖剣ルミナスが光を放つ。




 【聖剣スキル「光断」──前方180度・聖属性大ダメージ】




 光の斬撃が扇状に広がった。前衛のタンク陣が盾を構えるが──



 三人がまとめて吹き飛んだ。全員、ワンパンだった。




「タンクが三人も落ちたぁ!?」

「火力がおかしいだろ、何だあれ!?」




 アストレアの攻撃力は、フォーラムの予想通り──いや、それ以上だった。トワの【見聞録】がアストレアのステータスを読む。




 ATK:12,800。




 トワのATK(セレスの加護込み)が約15,000。数値上はトワが上だが、アストレアの聖剣ルミナスには

「聖属性ダメージ1.5倍」の武器固有効果がある。実質的なDPSは、トワに匹敵する。




 しかも、アストレアのHPは95,000。Lv90の聖騎士に、最上位装備の防御補正。対してトワはHP360。




 火力は互角。耐久力は二十倍以上の差。




 正面からぶつかれば、トワが先に倒れる。




 ──ならば、正面からぶつからない。




 トワ:「バルト。俺が敵の陣形を崩す。レナはその隙に旗を取りに行け。敵の旗は無防備だ」

 バルト:「だが、五十人が一塊だぞ。崩せるのか」

 トワ:「崩すんじゃない。引き剥がす。アストレアを、()()()()()()()()

 バルト:「……どうやってだ?」

 トワ:「俺が一人で走る。するとアストレアは、最大の脅威を追うだろう。俺が逃げ続ければ、アストレアは本隊から離れる」




 ゼクス戦の再戦で【死影覚醒】を走って耐えた時と同じ発想。しかし、今回の相手はゼクスの30秒ではなく──30分間、全力で追ってくる聖騎士たちだ。




 バルト:「……お前、30分間逃げ続ける気か」

 トワ:「逃げるんじゃない。歩くんだ。──少し速めに」



「トワさん、無茶だよ!」



 レナが叫んでも、トワの自信げな顔はぶれなかった。



「無茶じゃない。俺が一番足が速い。そして、一番倒されにくい。被弾してもセレスの加護と糧食の回復がある。──これが、最善手のはずだ」



 セレスがトワの肩から飛び上がった。



「セレス、いく。トワといっしょに、はしる」

「ああ、頼むぞセレス!」


 セレスが【覚醒形態】に変わった。白金色の巨大な鹿。トワがその背に飛び乗る。



 セレスの固有スキル発動――【銀月の疾走】



 騎乗時の移動速度は通常時の3倍になる。更に【旅路の極意】の移動距離加算速度も3倍になる




 奴らが全力でダッシュしても、馬に乗ってもおいつけない、三倍速のスピードだ。



 白銀の鹿が、戦場を駆け抜けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ