33 信太朗「いい機会だ。これから仲間になるんだから披露しておこう。」
曽我荘で突如行われた武芸大会。
参加者は以下のメンバー。
①弓の達人、那須与一宗隆。下野国那須神田城出身、16歳、男性。
②相模の怪童、曾我十郎祐成。相模国曽我荘出身、14歳、男性。
③天才少女、曾我五郎時致。別名とら。相模国曽我荘出身、12歳、女性。
④平家の貴公子、平朝臣敦盛。別名敦ちゃん。山城国京都出身、16歳、女性。
⑤大学生、信太朗。東京都出身。
「え?俺も出るの?」
「そうですよ、信太朗様も修行の成果をみんなに見せてあげてください。」
見せてあげてくださいて言っても、俺のはちょっとインチキ入っているからな……。
まあいいや、いい機会だ。これから仲間になるんだから披露しておこう。
俺はリュックサックかららクロスボウを取り出し、スコープを取り付けた。
「なんだ、信太朗その弓は?俺もいろんな弓を見てきたが、そんなの見たことがないぞ。」
与一が反応する。
「私は書物で見たことがあります。石弓ですね。それ。」
とらは、物知りだ。
「さすがわが妹。何でも知ってやがんな。賢いし可愛いし最高だな。」
十郎はちょっとうるさいな。
第一回戦は弓術だ。
30メートル程離れた板の的に、10発づつ射る。
的に当たった回数で勝負。
「ちっ、少し外しちまったぜ。」
十郎は10発射って的中8だった。
「うう。兄上に負けてしまいました~。」
とらは的中7。
悔しがり方が可愛い。
「まあこんなもんですかね。」
敦ちゃんは的中9。
嬉しそうだ。
「南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、 願はくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまへ。」
与一は全発的中。さすがだ。
しかし、射るたびに「南無八幡……」とやるから、少しイライラした。
「さあ、最後は信太朗様の番です。」
俺は立ち上がり、クロスボウを構える。
アンダーソン少佐の言葉が頭をよぎる。
「シンタロウ。味方や敵に舐められないためには、最初にガツンとかましてやるのが肝心だ!」
スコープで的を合わせる。クロスボウの引き金を引く。
放った矢は、初速300FTS(秒速90メートル)で飛び、的の板を吹っ飛ばす。
矢は勢いそのまま、数メートル先の土壁に突き刺さった。
既に威力を知っている敦ちゃん以外の面々が、驚きで目を見開いている。
「兄上……。あれは石弓……ではなさそうですね。」
クロスボウは、改正銃砲刀剣類所持等取締法により、令和4年3月15日以降は許可なく所持することは禁止されています。
信太朗は、事前に警察署で許可を取っていますので、ご安心ください。




