32 信太朗「俺は、こうして、今までのあらましを3人に話した。 ……疲れた。」
朝餉を済ませた後、一同は作戦の内容を確認する。
①熊谷家は戦の準備を秘密裏に進める。
②その間、敦盛と信太朗は、作戦の仲間を集める旅に出る。
③一月後に再集結し、決戦の地、四国屋島へ向かう。
ざっとこんな感じだ。
「お二人だけで大丈夫ですか、こちらの者を何人かつけましょうか?」
小次郎が言ってくれる。本当にこいつは良いやつだ。
「いや、少数の方が目立たなくていいでしょう。この作戦は義経にばれたら終わりです。」
そうなのだ。義経方、源氏方にばれたら、もしかすると義経が、屋島の戦いで渡海してくれなくなるかもしれない。
そうしたら、義経を討つ機会は、おそらく、もうない。
同じ理由で屋島の平家に助けを求めるわけにはいかない。
源氏方も出入りを警戒しているだろうし、平家内にも密偵が少なからずいるとだろう。
「ところで、敦盛殿、信太朗殿。仲間を集めるとは、もう目算はついているのですか?あまり大きな強い御家人は難しいでしょうし、力になれない者を集めてもしょうがないですよ。」
「心得ていますよ小次郎殿。少数精鋭の輩をピックアップしてあります。」
俺は懐から、「平家物語」の文庫本を出して、ニカッと笑った。
時は戻り
(寿永4年(1184年)12月。)
(相模国曽我荘)
「で、その少数精鋭の輩ってのが、俺たちってえわけか。」
「兄上、これは思った以上に需要な任務ですよ。」
「それでは俺たちはこれから熊谷郷に行き、合流して義経公を討ちに行くのか?」
「与一殿。与一殿には前にも何度も説明したでしょう!」
「そう怒るな。それに『与一』でいいってば。話しがすんだら、さあ曽我十郎。手合わせと行こうぜ!何にする?剣か、棒術か?弓はやめとこうか、おれが絶対勝っちゃうからな、はっはっはっ!」
「何言っていやがる。それじゃあその弓で勝負だ、那須与一!」
「私も混ぜてください兄上!」
俺は、こうして、今までのあらましを3人に話した。
……疲れた。
3人はもう庭に出て弓勝負の準備をしている。
こいつら大丈夫か、と思いながらも、俺は頼もしさを感じた。
隣を見ると、敦ちゃんが何かソワソワしている。
「信太郎さま……。」
何かをねだるような顔つき。可愛いけど、何だろう?
ああ!そうか!
「いいよ。参加しておいで敦ちゃん。」
敦ちゃんは嬉しそうに笑うと与一たちの方へ走っていった。
「おーい。私も参加するぞ~!」
結果は次回発表します。
もう1~2話進んだら、信太朗たちは、一度現代に戻る予定です。




