20 平敦盛「私は、平家の皆様をお救いしたいです。」
今日は二話連続で投稿します。
敦盛は信太朗に話し終わると、うつむいて自分の膝を見つめ、唇を噛んだ。
しばらく二人とも無言になった。
夜のニュース番組はいつのまにか終わっていて、深夜のバラエティー番組に変わっていた。
信太朗はリモコンでテレビを消した。
静寂がおとずれる。
「先ほどのお香「白檀」は、母上がお好きで、よく炊かれていました。それで記憶が戻ったのだと思います」
「……それで」
信太朗が敦盛の手元を見る。
敦盛の両手は、固く握りしめてられた。
「それで……、敦ちゃんは、どうしたいの?」
敦盛は信太朗を見上げた。
「私……、私は、自分の役目を果たしたく思います。」
「役目……」
「私は、平家一門の、一族の危機を救うために生まれてきました。そう育てられてきました。本当は女性なのに、男性として育てられて、嫌だとは思ったことがありません。」
「……」
「父上や母上、兄上たち。宗盛様はじめ一門の方々。みなお優しい方ばかりでした。笛を上手に吹くと、皆さま喜んでくださいました。弓の腕が上がると、大層ほめてくださいました。」
「……」
「そしていつか、お役目を果たす日が来ると信じておりました。私は、平家の皆様をお救いしたいです。滅亡なんて嫌です。」
「敦ちゃん……」
「信太朗様。厚かましいお願いであることは重々承知しております。どうか、お力をお貸しください。滅びゆく平家を、救ってください。」
宗盛…平宗盛。平清盛の次男で、現在の平家の棟梁です。敦盛のいとこにあたります。
このお話は、必ず完結させます。
毎日更新予定です。
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